
レコード棚を総浚い #86:『The Doobie Brothers / Farewell Tour』
トム・ジョンストンのドゥービーズとマイケル・マクドナルドのドゥービーズ。
一聴まったく違う音楽性にも感じるが、こうして新旧メンバーが揃って演奏するライヴ盤を聴いていると驚くほど違和感がない。

各メンバーのソロ活動が活発になり、ただひとり残ったオリジナルメンバー、パトリック・シモンズの提案により活動休止に入るこの時期にも新旧メンバーが客演しあいながら活動していたようで、自然な流れでこの大規模なフェアウェルツアーが行われ、意外だがドゥービーズ初めてのライヴ盤が残された。

第2面で『リッスン・トゥ・ザ・ミュージック』がマイケル・マクドナルドによって、マクドナルド的なアレンジで歌われたあと、最終4面の最後の2曲で、トム・ジョンストンが紹介され会場の声が最高潮にブチ上がると、『ロング・トレイン・ランニン』『チャイナ・グローヴ』が、あのジョンストン節とサザン・ロックそのものの長尺ギターソロとで歌われるという、まさにドゥービーズのバンドとファンが共有する懐の広さを感じさせる傑作ライブ盤だ。