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レコード棚を総浚い #27:『Billy Joel / THE STRANGER』
フィル・ラモーンをプロデューサーに迎えて制作された5thアルバム『ストレンジャー』
知らぬもののない大名盤の登場だ。
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友人から譲り受けたこの盤はCBSソニーの高音質規格「マスターサウンド」盤であった。
複数の規格を持つマスターサウンドだが、この盤はマスターテープとカッティング・ターンテーブルのスピードを半分に落としてカッティングする「ハーフ・スピード・カッティング」規格のもの。
高音域の再現に有利だという。
それにしてもこの印象的なジャケットはどうだ。
ベッドで見つめる仮面は、タイトルトラック『ストレンジャー』に言及される「もうひとつの顔」、そして仮面を取り去ってありのままの君でいてくれと歌われる『素顔のままで』のメタファーだろう。
そして壁にかかったグローブで彼は何と戦っているのか。
リリースの前年公開の『ロッキー』を連想させるのは、家系にビリーと同じ、アシュケナジム系の血を持つスタローンへのシンパシーを感じるからだろうか。
このアルバムからは『素顔のままで』が、本国で大ヒットし、日本では『ストレンジャー』が大ヒット。
『素顔のままで』はつんくさんや杉山清貴さん、変わったところでは高中正義さんなんかがカバーしているが、『ストレンジャー』のカバーには聞き覚えがない。
サウンド、口笛、あの歌唱。
『ストレンジャー』には、この曲はこの演奏でなくてはという、カバーを寄せ付けない完成度があるのだと思う。