ポストコロナの公演制作#2【横浜の現状】
まず、ヒラルディージョの拠点となっている横浜のホール運用にかかわる現状の把握と、それについて考えることから始めたいと思います。
横浜市のガイドラインについて
6月18日現在横浜市の公開しているガイドラインがこちらになります。
これをもとに横浜市内のホールは、それぞれ運営方針を策定しています。感染状況が落ち着いていれば、今後6月19日、7月10日、8月1日と段階的に基準が緩和される方向ですすみ、あとはそれぞれホールの実情に合わせて微妙に違いはでるのですが、大枠は変わらないかと思います。
一般的に行われている感染予防対策(アルコール、マスクなど)は当然のこととして、公演制作の上で特に重要なのは以下の3点。
1、来場者は、会場定員の半分。
→一時話題になった、定員の15%などという「何をどうしても無理」という状況は脱しましたが、コロナ禍前と変わらない条件で開催した場合、確実に赤字になってしまう。
2、飛沫か広がる可能性のある歌唱、ダンス、演出は不可。
→フラメンコ、タンゴの踊りや歌は当面厳しそうで、演奏会にせざるを得ない。また演出面でも感染防止を考える必要がある。マイクを使った歌唱やソロダンスは緩和される可能性もあるが、特に合唱、ペアダンス、群舞などは、超濃厚接触で、最後までNGになりそうです。
3、今後の状況によっては、急に施設の利用停止になる可能性がある
→これが主催側としては一番きつく、宣伝告知して、定員半分まで予約を受付け、1週間前になって、「会場使えなくなりました」といわれる可能性があり、そうなったとしても、補償も何もない。
まぁ、「赤字でも喜んでもらえれば」、「会場が使えなくなったら自分が責任を取れば」などと腹をくくってしまえば、やれないこともないのですが、そういった状況で企画を進行せざるを得ないのは、きついですね。
そしてポイントとなるのは、「これがいつまで続くのか」誰もわからない。今後の感染状況によっては、次のステップに移行しない可能性もある。ですので、今企画するとしたら、このルールのもとで公演を制作し、中止になることも考慮し、途中で緩和されればラッキーみたいなスタンスでしか進められないかと・・・。
では、極端な話、会場は押さえておき、1週間前に開催決定し、それからSNSなどで宣伝告知をすれば可能かもしれませんが、シンプルな演奏会以外は、公演準備が間に合わない、リハーサルも満足にできなし、よっぽどの人気アーティストでなければ集客も無理ですよね。
感染予防対策のコスト
「感染予防対策は当然」と最初に書きましたが、これにかかる時間とコストが馬鹿になりません。アルコール、マスク、手袋、シートなどなど、これまで必要なかった経費が増えました。また、感染予防対策にかかる時間がどのくらいか予想し、タイムスケジュールを組まないといけません。
さらにソーシャルディスタンス、座席の誘導などを円滑に進めるため、スタッフを増やす必要もあるかと思います。また感染リスクを考えると、一番観客と接する機会の多い、受付や会場案内業務などのスタッフの感染リスクが一番高いことが想定されます。どうやったら安心して業務にあたってもらえるか、検討が必要となります。
また、会場によっては、終演後、客席などをスプレーなどで除菌することを求める場合もあり、そういった業務を含め利用時間内で終わらせる必要が新たに生まれました。
公共施設の特徴について
利用する施設が民間か、公共かにより、スタンスも違ってきます。
個人的な経験ですが、個人オーナー所有のライブハウスより、公共施設のほうが、コロナ対策はより入念で、感染防止を気にしていると思います。(ライブハウスが杜撰だとは言っていませんので、念のため。)
音楽、ダンス、演劇などを開催する多くの施設は、規模、形態、財務状況、経営方針など、同じところなど一つもない以上、いつまで休業できるか、どこまで対策をとるか、それぞれ差が出るのは致し方ないことです。個人経営のお店が、毎月の資金繰りから、できれば可能な限り早く再開したい気持ちが先行しているは事実でしょう。また個々のお店によって、その対応に大きなばらつきもあります。
それに対し、公共施設は、(詳しい契約内容は知りませんが)自治体から運営の委託を受けているので、資金繰りに悩むことは少ないかと思いますが、その「公共」という位置づけからして、感染防止をより重視しております。万が一、施設内で感染者が出た時のことを想定すると、住民からの容赦のないクレームや、対応を誤ると自治体の責任問題にもなりかねず、ライブハウスより慎重になり、再開が遅くなるのも致し方ないのかなと思っています。
次回は、それ以外に企画する上での問題点を挙げたいと思います。