アセンションしたのに統合失調症って無理ゲー! 〜第18話〜
2度目の儀式は、京都
ティピーの中心には、白くおぼろげな光がゆらゆらと揺れている。
私はシャーマンの『視野拡張法』を使って「3次元の空間を2次元の平面へ」次元変換を試みる。
この世は【魂】が投影された影のような幻である。
魂を研削し経験を貯めるために、この世で心を震わせたり人として大切なことを学んだりする。
魂の旅をするときには【魂】の末端部門の【心】を切り離す。
道徳などで学ぶ社会が大事に考えている思考は、一切未練なく切り離す。
魂を無力化する説法は宇宙に行くロケットブースターのようなもので、旅の途中で切り離す。
人間は悲しくも心を反復幅跳びのように揺らすことで、魂を研削する。無駄な事など起こりはしないのだ。だから心を揺らす経験を、この世で背負わされているのだ。
【身体】=【魂】+【霊体】+【肉体】
【心】は、魂の下位部門で優れた心は魂の一部となる。道徳を無視するわけではない。ただ連れてはいけないのだ。
人生で起こる苦しいことも無駄ではない、燃料として魂を飛す。
グレートスピリットとは、地球創生からの人類の思考が流れる、大きな河のようだ。
ティピーの中心部のおぼろげな光の渦に吸い込まれるように、昇天していく。
【肉体】という重りを平面定点に置き、そこが沈み凹むので、その凹みに目印に戻る。
自分と自分が視えている視野ごと板状の空間に転移すると、上下左右という感覚もなくなる。ただ自分の人生の光の厚板を外から眺めるのだ。
厚板の材質は、水気を含んだ砂を寄せ集めたもので、曲線を描きながら曲げ伸びできる。
【魂】を両手で抱いた【霊体】は薄い透明な膜で覆われており、その膜からグレートスピリットの一部の濃い霧のようなものが浸透してくる。
水から泡が浮かんでくるように霊体から魂が浮かび出てくる。
霊体は手を伸ばし、ふたたび自分の魂をしっかりと抱きしめる。
グレートスピリットの一部である『光る鳥』に掴まって戻ることを選択する。
旅の終わりを告げる門はこちらの意志とは関係なく閉じられ、気がつけばティピーの中で、手のひら程の大きさの光る鳥が私を観察していた。
光る鳥は『もう落ち着いたようね』と私を確認してから、おぼろげな光と共に小さく細い光の柱をゆっくりと昇っていく。
光の昇天を見届けた後、私も呪術を使用した巫師自身も安心して目を合わせて儀式の終わりを確認しあった。
+++++++++
座ったまま少し語る。その巫師は奈良からきたらしい。内心は何事が起こったのか詳しく聞きたかったのだが、この時空の停留所から離れる波がきて、私は先に助手を連れてティピーを出た。
その後は助手をしてくれたK君の仲間のもとでお祭りの夜を過ごしたが、まったく記憶がない。
まさか人間が待っているなんて、グレートスピリットだなんて、何よりなんなんだこの“時空間の波・泳ぎ方“は!?
+++++++++
グレートスピリットを渡されるまでの一連をまとめて書き残します。
・お祭りから帰ってきた人間に精霊がついていて、精霊に呼ばれる
・お祭り会場近くで、精霊と一体化し変性意識状態に入る
・ある時ある場所に自分がいる未来の特異点(時空の停留所)の渦を確認する
・渦の波に乗るように移動し、同じ波に乗っている人を巻き込む
・未来の特異点に到達するのは知っている。が、門が開くのか?は分からない
・他の巫師が門を開いてくれたので、私は中に入ることができた
・自死しない契約済みなので、戻る選択ができた
・渦は時空間にあるので、また渦の波に乗るようにして移動する
・波が収まったころに、徐々に数日かけて通常意識状態に戻る。
>>> つづく