見出し画像

まもののまもの を読みました。

NovelJam2024で水鳥たま季さん https://x.com/mizudori_tamaki の作品。

2人の姉弟が搾取と暴力で支配されるシェルター施設から抜け出し
マモノから逃げるというお話。

施設の2人

生家でネグレクト状態にあった姉弟、保護されて施設に来た後も彼らの状況は改善しなかった。
暴力を与える相手が変わっただけ。
この辺りは本当に読むのが辛かった。特に親になってからこの手のストーリーにとても弱くなった気がする。
姉を想う弟の言葉に、弟が傷付いていることを知り2人は施設を抜けることを決意する。
何の準備も、何の計画も、何のあてもなく。

逃げる2人

施設を抜け出すことに成功した2人は峠を下っていく。
ここでは何度も「魔物から逃げる」「魔の手から逃れる」という表現が現れる。
施設からの追手は現れていないが、2人は本当は何から逃げているのか。

隣の老婆

また、2人は逃げる過程で施設の隣に住む投獄状態にあった認知症の老婆の家の扉を開放する。
2人としては警察に通報し自らの追手を減らすための行動だったのだが、
徘徊癖のある老婆は後に遺体で発見される。
彼女は解放されたのか、それとも生きて閉じ込められていた方が幸せだったのか。

"まもの"の正体

"まもの"とは2人を縛るもの、それは"暴力"や"搾取"だけではなくそれらを受けても黙らなければならなかった"常識","良心","世間体"ということだろうか。「魔物はまっすぐしか歩いてこられない」はつまりこれらをひっくるめた"正論"ということではないか。
三叉路という言葉で示されたのはひとつは縛られた生、ひとつは死による解放、ひとつは不安定な自由。
この2人は"正論"では生きていけなかった。道を外れても生きることで不安定な自由を手にする。

これは今日読んで僕が感じた今の解釈。読むたびに解釈が変わりそうだと思った。時間を置いて、また読んでみようかな。

この作品はこちらで購入できます!
https://bccks.jp/bcck/180116/info

いいなと思ったら応援しよう!