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最終面接まで行けば合格するは大嘘!役員面接こそ念入りに準備せよ!



はじめに:最終面接の位置づけと合格率


転職活動で「最終面接」に進むということは、すでに1次面接・2次面接をクリアしているため、企業側から基本的な能力やカルチャーフィットで一定の評価を得ている状態だと言えます。したがって最終面接では、これまでとは少し違った視点での評価が行われる可能性が高まります。

  • 合格率は高め

    • 一般には最終面接までたどり着くと50〜80%程度の内定率とも言われます。

    • 企業はすでに「入社してもらいたい候補」として残しているため、通常であれば合否は前向きに検討されやすい。

  • 落とされる場合は理由がはっきりしていることが多い

    • 経営陣や役員との価値観の不一致

    • 給与・待遇などの条件面で折り合いがつかない

    • 長期的な志向が見えず、すぐに辞めるリスクが高いと判断された

    • 社長・役員が直感的に「合わない」と感じるケース

  • 経営的視点を含む会話

    • 役員クラスや社長は企業運営全体を考えているので、「企業理念や会社のビジョン」「財務状況や長期戦略」「業界全体の流れ」といった大局的な話を重視する。

    • いわゆる“実務能力”のチェックはほぼクリアしているため、ここでは「会社の方向性と自分の長期的キャリアビジョン」や「経営者との相性」がメインテーマとなりやすい。

最終面接は「最後の一押し」とも言えますが、一方でここで油断すると不合格になる可能性もある重要なステージです。本稿では、このステージをどう乗り切るか、詳しく解説していきます。


1. 最終面接の目的と役割

1.1 経営層が見極めたい3つの要素

最終面接における最大のテーマは、企業の経営層(社長や役員)が「この人を採用して本当に大丈夫か」を最終的に確信することにあります。具体的には、以下の3つが重視されることが多いです。

  1. 長期的貢献可能性

    • 単に目先のスキルだけでなく、将来的にどのように成長し、会社の発展に寄与してくれるか。

    • 幹部候補となり得るリーダーシップや専門性を持っているかを確認。

  2. カルチャー・価値観の共有

    • 経営理念やビジョンにどれだけ共感し、自分の考えや行動スタイルと合わせられるかをチェック。

    • 初期の選考でスキル面はある程度クリアしているため、「一緒に仕事をしていくうえで齟齬が起きないか」「経営方針に反発しないか」などを見極める。

  3. 人間性・信頼感

    • 誠実な人柄か、嘘や誇張はないか、短期離職リスクがあるかなどを感覚的に判断する場合が多い。

    • 役員が「一緒に仕事をしたい」と思えるかが決め手になることもある。

1.2 企業側における「最終意思決定」のプロセス

多くの企業では、最終面接終了後に役員や社長が人事・現場責任者と合議し、採用か否かを決定します。このとき、最終面接での印象や会話内容は非常に大きなウェイトを占めます。

  1. 面接官同士の情報共有

    • 最終面接官(社長や役員)から「この部分が少し気になるが、あなた(人事や現場)はどう思うか?」と確認が行われる。

    • 人事や現場担当者が「2次面接まででこの点は問題ないと評価しています」とフォローするケースも。

  2. 希望条件や役職の調整

    • 給与レンジや配属先などを最終的に決めるのもこの段階。

    • 候補者の希望と会社の予算やポジションの空き状況をすり合わせる。

  3. 内定通知の準備

    • 合格と決まれば、企業は最短で翌日〜1週間程度で内定連絡を行う場合が多い。

1.3 内定率が高い一方で不合格になる理由

最終面接まで進んだ候補者は、企業からかなりの高評価を得ているのが通常です。合格率は高めですが、以下のような理由で不合格となることもあります。

  1. 経営理念や長期的ビジョンへの共感が乏しい

    • 面接官から見て、「短期的に成果を出してすぐ辞めそう」「会社の方向性と相容れない価値観を持っている」と判断される。

  2. 待遇面での折り合いがつかない

    • 給与や勤務地などの希望条件が企業の提示と大きく乖離し、双方が歩み寄れない場合。

    • 「この金額でないと無理」と強引に主張した結果、企業予算を超えれば不採用になることも。

  3. トップとの相性が極端に悪い

    • 役員や社長は直感的な部分も含めて、「この人と仕事をするイメージがわかない」と思うと採用を見送ることがある。

    • 技術・スキルは十分でも、雑談やちょっとした受け答えから「合わないな」と感じるケース。


2. 最終面接で聞かれやすい質問とその意図

2.1 「志望動機」の再確認と経営視点の付加

「なぜ当社を選んでいただいたのですか?」という質問は、1次・2次面接でも定番です。ただし最終面接では、企業の経営課題や長期目標への理解を踏まえた回答が求められる傾向にあります。

  • 例示

    • 「御社の○○事業が国内トップシェアを誇っている理由として、△△という技術基盤が非常に優れていると認識しています。私は前職でその技術領域での開発に関わり、特に拡張性についてノウハウを積んできました。その経験を生かして、御社が今後取り組む海外展開でも技術面のサポートや改善提案ができると考え、志望しております。」

→ 具体的に企業が強化しようとしている部分と自分の経歴をリンクさせることで、経営的な視点をアピールできる。

2.2 「キャリアビジョン」「5年後・10年後の展望」

役員や社長は、採用する人材が中長期的にどんな役割を担い、どれだけ会社の成長に寄与してくれるかを知りたいと考えています。そのため、漠然とした将来像ではなく、ある程度具体的なプランを話せると評価が高まります。

  • 回答例

    • 「5年後には海外子会社を含むプロジェクトを統括するポジションについて、多言語チームのマネジメントを経験したいと考えています。また、10年後には新規事業の立ち上げに関わり、事業責任者として収益拡大に寄与できるようになりたいです。御社は近年海外事業の拡張に力を入れていると伺っていますので、自分の英語力やグローバルプロジェクト経験を活かして大きく貢献できると思います。」

2.3 「自社の強み・弱み」への洞察

「当社の強みと弱みをどう見ていますか?」といった質問は、最終面接で経営層が応募者の分析力と理解度を確かめる代表的なものです。強みだけでなく、弱みにどう対応するかという意見を述べることで、問題解決への積極性をアピールできます。

  • 回答例

    • 「御社は○○の技術で国内No.1の実績があり、これが大きな強みです。一方で、市場シェアが拡大するとカスタマーサポートの体制が追いつかないリスクがあると感じています。私は前職で、大手顧客向けにサポート組織を再編するプロジェクトを担当し、顧客満足度を大幅に向上させる経験を積みました。もし御社がサポート体制の強化を視野に入れているようでしたら、そのプロセス設計に貢献できると考えています。」

2.4 「入社後に取り組みたいこと」や「期待役割」

「入社したらまず取り組みたいことは何ですか?」という質問は、応募者が具体的にどのように動くイメージを持っているかを確認するために行われます。

  • 回答例

    • 「まずはチームメンバーとの1on1を行い、現在抱えている課題や改善要望を把握します。次に、過去のデータや実績を確認したうえで、短期的に成果を出せそうな施策を提案します。たとえば、予算が限られているならSNSやSEOを活用したプロモーションに着手し、3カ月以内に問い合わせ数を2倍に伸ばすことを目標としたいです。」

2.5 「給与・待遇」や「入社時期」への直接的な質問

最終面接では、企業側が条件面を最終調整する場として捉えることも少なくありません。「希望年収はどれくらいか」「いつから働けるのか」を直接聞かれる場合があるので、ある程度のラインを決めておきましょう。

  • 注意点

    • 希望年収を伝える際は「根拠」を示すと説得力が増す。「現職年収と実績、業界水準、リーダーポジションとしての職務範囲」などを考慮して適切な金額を伝える。

    • 相手の反応に合わせ、「多少の調整は可能」という姿勢を見せるか、ガチガチに固定するか、事前に優先順位を決めておく。


3. 経営理念や企業ビジョンへの共感を示す方法

3.1 経営理念をどのように読み解くか

多くの企業が「ミッション」「ビジョン」「バリュー」といった形で公式サイトやパンフレットに理念を掲載しています。ただ読んで暗記するだけでなく、その背景や意図を考えることが大切です。

  • 具体例:メーカー企業の例

    • 「ものづくりを通じて社会に貢献する」という理念があるなら、創業時のエピソードや、現在力を入れている技術領域とどうつながっているのかを自分なりに推測してみる。

    • 例えば「創業者が困っている人を助けたい想いから医療機器開発を始めた」というストーリーがあるなら、自分がその想いにどう共感し、どのような形で貢献できるかを面接で伝えられると良い。

3.2 過去の実績や経営者インタビューの調査

経営者や役員がメディアやイベントで語った内容は、企業の方向性や価値観を端的に表す場合が多いです。最終面接でその内容に触れると、「この人はよく調べてくれている」と好印象を得やすいでしょう。

  • たとえば…

    • 「社長インタビューで“海外市場への展開を〇年後までに達成したい”と拝見しましたが、私自身も海外事業に関わりたいと思っており、具体的には××の経験を活かしてこういう形で支えたいと考えています」という形で、経営トップのビジョンと自分のキャリアをリンクさせる。

3.3 自分の価値観との一致点をどう伝えるか

会社が大切にする価値観に対して、自分自身がどう感じているか、具体的なエピソードを絡めて説明するのが効果的です。

    • 企業が「失敗を恐れず挑戦する文化」を推奨しているなら、「私自身、学生時代から新しい活動に挑戦するのが好きで、過去には〇〇に取り組み、失敗から学んだ経験をこう活かしたことがあります。御社のように挑戦を後押しする環境であれば、より大きなチャレンジを続けられると感じています。」


4. 役員面接特有の「人柄」評価と雑談対応

4.1 「この人と一緒に働きたい」かどうかの感覚

最終面接では、面接官が経営層というだけでなく、意思決定権を強く持った人物でもあるため、人柄やコミュニケーションスタイルを厳しくチェックされます。

  • 大切なポイント

    • 「明るく誠実な印象」を与えられているか。

    • 自身の強みをしっかり持ちつつも、傲慢ではなく謙虚さがあるか。

    • 素直に話を聞き、わからないことは正直に答えられるか。

4.2 和やかな雑談に潜む鋭い観察ポイント

最終面接では、経営層が意図的にリラックスさせるような雑談を挟むことがあります。これは応募者の自然な人柄を見たいという意図もあり、雑談の受け答えが評価材料になることがあります。

  • 注意すべき点

    • 「先日読んだ本は?」や「普段はどんな趣味を?」と尋ねられたとき、極端に話を広げすぎず、ある程度面接官にも興味を持たせる形が理想。

    • 雑談だからといって口調や言葉遣いを崩しすぎると、印象ダウンにつながるので注意。

4.3 質疑応答で見せる「素直さ」「誠実さ」

経営者は、取り繕ったり誇張したりする表現を非常に嫌う場合が多いです。わからないことはわからないと述べつつ、学ぶ意欲を示す方がむしろ高評価につながることも。

    • 「その分野はあまり専門外なのですが、もし入社後にチャンスがいただけるようなら積極的に勉強してみたいと思っています。」

    • こうした回答で、リスクを隠さず伸びしろをアピールするのは好印象になりやすい。


5. 給与・条件交渉のポイントと注意点

5.1 企業側の視点:コストと期待値のバランス

企業は、給与を含む採用コストと、その人材が将来もたらすであろうリターンを比較して判断します。経営層は特に**「このコストをかけても十分リターンが期待できるか」**を見ています。

  • アピール方法

    • 自分の実績を数字や期間で示し、「同程度、もしくはそれ以上の成果を出す自信がある」ことを伝える。

    • チームや組織に好影響を与えられるリーダーシップや、組織全体を底上げするノウハウを持っている点を強調する。

5.2 交渉のタイミングと伝え方のコツ

多くの場合は、最終面接か内定後のオファー面談で給与交渉を行います。どちらにしても、面接官(経営層)からストレートに「希望年収は?」と聞かれることがあるため、心構えが必要です。

  1. 希望年収を具体的に言えるように

    • 「私は現職が年収〇〇円で、御社での業務範囲を考えると〇〇円程度を希望します。ただし、配属先や職務内容によって調整は可能です」という形が一般的。

  2. 企業の予算や評価制度をリサーチ

    • 業界や企業規模によって出せる給与レンジがある程度決まっている場合が多い。常識はずれに高い額を最初から提示すると敬遠されるリスクが高い。

5.3 相場調査と自分の市場価値の再確認

希望年収を提示するにあたっては、同業他社や同職種の平均・中央値をリサーチし、自分の経験年数や実績から見た妥当なラインを把握しましょう。

    • Webマーケティング職で3〜5年の経験があるなら、業界相場が年収500〜600万円程度の場合、「550〜600万円程度を希望」と提示すると妥当。そこから自分の実績に応じて若干プラスアルファを加味するなど、根拠を示しやすいと交渉がしやすい。

5.4 「あまりにも高額」「あまりにも低額」のリスク

  • 高額すぎる要求

    • 企業が「そこまでの予算は難しい」と判断し、他の優秀な候補者が安いコストで採用できると分かると不合格になる可能性。

    • よほど抜きん出た実績があれば別だが、根拠なく高額を要求するのは逆効果。

  • 低額すぎる提示

    • 相場よりかなり低い額を提示してしまうと、逆に「大丈夫か?」と疑われ、実力があるのか不安を与えてしまう。

    • 「この候補者のキャリアに見合わないほど低い金額を提示しているが、何か問題があるのか?」と勘繰られることもある。


6. 最終面接ならではの逆質問例

6.1 経営者・役員への質問と、マネージャー層への質問の違い

  • 経営者・役員

    • 会社全体の戦略やビジョン、将来の事業展開、組織運営の理念などについて尋ねると効果的。

    • 大きな視点での話を好む場合が多いので、事業全体、企業文化、長期計画にフォーカス。

  • マネージャー層

    • 自分が所属するかもしれないチームや部署の具体的な業務内容や役割分担、短期〜中期の目標などを質問すると建設的。

    • 配属後の日常的な働き方や、チームの課題などを掘り下げる。

6.2 企業の長期戦略に関する質問

例:「今後5年、10年で貴社が目指している具体的な姿をどのようにお考えでしょうか? 新規事業や海外展開などのプランがある場合、その中で私がどのようにお役に立てるかイメージしておきたいです。」

  • ポイント

    • 企業の長期ビジョンを尋ねることで、「自分もそのビジョンに貢献する意志がある」ことを暗示的に示すことができる。

6.3 経営者のリーダーシップ観や大切にしている価値について

例:「社長(あるいは役員)ご自身がリーダーシップを発揮するうえで、最も大切にされている価値観や信念は何でしょうか? 社員にはどのように成長してほしいと願っていらっしゃいますか?」

  • ポイント

    • 経営者は、自身のリーダーシップ論や社員への期待を語る機会を喜ぶことが多い。

    • その発言を引き出し、さらに自分がそこに共感している旨を伝えると相性の良さをアピールできる。

6.4 入社後のキャリアパスやチャンスを引き出す質問

例:「将来的に○○の領域にも取り組んでみたいと思っていますが、その機会やキャリアパスは御社で用意されているのでしょうか?」

  • メリット

    • 自分の成長意欲を示せる。

    • 企業が社員のキャリア形成をどの程度サポートしているかもわかる。


7. オンライン最終面接の注意点

7.1 大人数が参加する可能性(複数役員参加など)

最終面接には、社長と副社長、あるいは専務・常務など複数の役員が参加するケースも珍しくありません。オンラインだと画面に数名が表示され、誰がどの役職か見分けにくいこともあります。

  • 事前に役職を把握しておく

    • 招待メールや連絡で役職名が書かれているなら覚えておき、画面上で誰が誰かわかるようにしておく。

  • 発言がかぶった場合の対処

    • 役員同士が質問をかぶせることも。落ち着いて「○○さんのご質問にお答えします」と言って順番に回答する。

7.2 カメラワーク・音声トラブルのリスク管理

オンライン最終面接では、通信環境に起因するトラブルのリスクを十分に考えておきましょう。

  • ネット環境の再チェック

    • 可能なら有線LANを利用する。Wi-Fiを使う際はルーターとの距離や電波強度を確認。

  • 予備のデバイス

    • 急なPCトラブルに備え、スマホやタブレットでの接続を準備しておく。

  • 照明や背景の見直し

    • 経営者がカメラ越しに見る印象を意識し、部屋が暗すぎないか、背景に生活感が出すぎていないかなどをチェック。

7.3 画面共有やプレゼンがある場合の事前準備

最終面接で短いプレゼンを課されることもあります。その場合、スライドの操作や画面共有の手順に慣れておくことが重要です。

  • 余計なファイルを閉じておく

    • デスクトップ上にプライベートなファイルが並んでいないか。

  • スライドは簡潔に

    • 本番で長時間話せるとは限らない。3〜5分程度で要点を伝えられるようにまとめる。


8. 事前準備のステップ:最終面接突破に向けた総仕上げ

8.1 1次・2次面接の振り返り:企業が特に評価したポイント

  • 面接官が興味を示した部分

    • 「もっと詳しく聞かせてください」と言われた強みやエピソードは、経営者にも響く可能性が高い。さらにエビデンスを補強しておく。

  • 2次面接で指摘された不安要素

    • もし「マネジメント経験は浅いのですか?」などと突っ込まれたなら、追加で補足できるエピソードを用意し、最終面接でも同様の疑問に答えられるように準備。

8.2 給与・待遇希望の整理と“優先順位”の明確化

最終面接では条件交渉に入ることも多いため、自分の希望条件と優先順位をはっきりさせておきましょう。

    • 給与は600〜650万円を希望、勤務地は東京を基本とするが場合によっては在宅勤務も可、残業は月20時間程度を希望…など。

    • どこを妥協できて、どこは譲れないかを決めておくと、交渉の際にブレがなくなる。

8.3 経営者のプロフィール・過去の発言リサーチ

  • 社長や役員の名前

    • Googleや会社ホームページの「役員紹介」などで経歴や興味分野を把握する。

  • インタビュー記事やSNS

    • 発言から企業の価値観や、経営陣が今後何に力を注ぎたいのかを探る。

  • 注意

    • 過度に個人情報を追いかけるのではなく、あくまで公表されているビジネス関連の情報に留める。

    • 面接でいきなりプライベートな話題を持ち出すのは逆効果となるので要注意。

8.4 入社後の具体的プランをまとめ、必要なら資料化

経営者との最終面接では、**「入社したらどのように動くか」**というロードマップを求められることがあります。簡単な企画書や資料を用意しておくと、必要に応じて提示できるため説得力が高まります。

    • 「入社3カ月目までに○○プロジェクトの見直しを提案します。現状ヒアリングを行い、5人の主要メンバーと面談して課題を整理し、実行可能な施策リストをまとめる予定です。その後、役員レビューを経て、3カ月目以降に実際の運用改善を進めたいと考えています。」

    • このような具体案があると、経営層が「この人は自主的に動いて成果を出してくれそうだ」と感じやすい。


9. 面接中の立ち振る舞いとコミュニケーション術

9.1 「堂々と話す」と「謙虚な姿勢」のバランス

最終面接では、社長や役員に向かって萎縮しすぎると、実力があっても自信がない人という印象に。逆に自信過剰すぎると、敬意を払っていないように見えることもあります。

  • 要点

    • 相手の意見をしっかりと受け止めつつ、自分の考えは論理的に伝える。

    • 「私はこう考えていますが、御社の文化や実際の状況に合わせて修正する柔軟性も持ちたいと思っています」といった言葉を添えると、バランスがとれた姿勢を示せる。

9.2 「率直さ」への期待:忖度しすぎないこと

経営者によっては、「当社の弱みは何だと思いますか?」など、率直な意見を求める質問を投げることがあります。ここであまりに遠慮して無難な回答に終始すると、「思考が浅い」と受け取られる可能性があります。

  • 推奨アプローチ

    • 具体的に弱みやリスクを挙げつつ、**「それを解決するために自分は何ができるか」**もセットで語る。

    • ネガティブな指摘だけをするのではなく、建設的な提案を示すことで率直さと前向きさの両立を図る。

9.3 質問への回答が被ったとき、意見が食い違ったときの対処

  • 被った質問への対応

    • 「先ほども少しお話ししましたが…」と簡潔にまとめ、重複を避けるか、新たな補足を加えて答える。

  • 意見の不一致

    • 経営者や別の役員と考え方が異なるような場合もあるが、感情的に反論するのではなく、「私の経験からはこう感じていますが、その点をもう少し詳しく伺えますか?」と質問で返す。

    • 相手の考えを理解しようとする態度を見せながら自分の意見を主張するのがベスト。


10. 最終面接でよくある失敗例・落とし穴

10.1 「自信過剰」「慢心」からの評価急落

最終面接に進んだことで「ここまで来たらもう大丈夫」と思っていると、うっかり上から目線の発言をしてしまい、役員の心証を悪くすることがあります。

  • 典型例

    • 「そちらのやり方は正直、もう古いんじゃないですか?」と、相手を否定するような言葉を無自覚に放つ。

    • 「自分ならもっと効率よくできますよ」と断言し、現場の苦労や状況を知らないまま決めつける。

10.2 企業ビジョンや経営方針を正しく理解していない

1次・2次面接を通過していても、最終面接で「経営方針に対する理解の浅さ」が露呈すると、最終ステージで落とされる可能性があります。例えば、IR情報や経営計画を見ておらず「海外展開に力を入れているなんて知らなかった」と答えてしまうなど。

10.3 条件交渉がこじれて雰囲気が悪化

  • 実例

    • 最終面接の終盤に待遇面の話が出た際、応募者が「最低でも1000万円が欲しいです」と強く言い、面接官が「残念ながら、そのラインを大きく超えますね…」と険悪ムードになる。

  • 回避

    • 事前に相場と企業の規模感を踏まえ、ギャップが大きいなら「どこかで歩み寄れないか」を模索する姿勢を示す。

10.4 長期的視点の欠如(すぐ辞めそうと思われる)

最終面接では「この人を採用して本当に長く働いてくれるだろうか?」という経営者の不安を拭う必要があります。あまりに「転職は通過点」「3年後には別のことをやりたい」などが強調されると、短期的離職リスクが高いと判断され、敬遠されるかもしれません。


11. 最終面接後の流れ:内定・入社準備と内定辞退の判断


11.1 内定後のオファーレター確認ポイント

もし最終面接に合格となれば、企業は内定連絡をしてきます。その後に提示されるオファーレター(内定通知書)には以下の点が記載されることが多いので、必ずチェックしましょう。

  • 給与体系: 基本給、各種手当、昇給タイミング、ボーナスの支給基準など。

  • 試用期間: 試用期間の長さ、給与や職務内容の扱いに変更があるか。

  • 勤務地・転勤の可能性: 想定される配属先と、将来的な異動リスク。

  • 福利厚生: 休日休暇、有給休暇、育児休暇、その他特別休暇、保険制度など。

疑問点や不明点があれば遠慮なく問い合わせ、納得してから最終的に受諾の意思を伝えるのが望ましいです。

11.2 他社選考との比較・内定辞退時のマナー

複数の企業を受けていて最終面接が重なっている場合は、他社の結果を待ってから最終決定をするケースもあるでしょう。その場合は企業に対して「他社の選考が何日に終わるので、○日までお時間をいただきたい」と率直に伝えるとスムーズです。

  • 内定辞退が確定したら、できるだけ早く連絡

    • 一般的なマナーとして、辞退する場合は電話やメールで迅速に連絡し、丁寧な言葉遣いで感謝を述べる。

    • 今後の業界内での評判やネットワークにも影響する可能性があるため、誠実に対応することが大切。

11.3 スムーズな転職活動完了のために

内定を受諾すると決めたら、現職の退職手続きを円滑に進める必要があります。特に、引き継ぎが必要な業務がある場合は、退職までの期間を余裕をもって設定し、トラブルなく円満退職を目指しましょう。

  • 注意点

    • 退職意向を伝える際には、会社の規定で「退職申告は1カ月前または2週間前までに」などのルールがあるか確認する。

    • 転職エージェントを利用している場合、内定後の給与交渉や入社日調整を代行してくれることもある。うまく活用するとトラブルを回避しやすい。


12. まとめ:最終面接は「企業トップとの価値観共有」の場

最終面接に臨む段階で、あなたはすでに「実務能力」「カルチャーフィット」という観点では十分評価されています。あとは、企業のトップ(経営層)と**「長期的な視点」で価値観を共有できるかどうか**が決め手となります。

  1. 経営者・役員の視点を理解し、長期的な貢献と価値観の一致を示す

    • 短期的な業務だけでなく、5年後・10年後にどう会社の未来を支えたいかを語る。

    • 具体的な行動計画や数字を示すとさらに説得力が高まる。

  2. 人柄・コミュニケーションスタイルの再確認

    • 緊張する場面でも、穏やかかつ堂々とした話し方を心がける。

    • 雑談でも誠実さや柔軟性を感じさせると「一緒に働きたい」という印象を強められる。

  3. 待遇交渉は“ウィンウィン”を目指す

    • 適正な相場や自分の実績を根拠に給与を提示しつつ、企業の立場も尊重する。

    • 高圧的になりすぎず、しかし曖昧に譲りすぎず、理性的かつ前向きな交渉姿勢を維持。

  4. 内定後も気を抜かず、最後まで丁寧な対応を

    • オファーレターの内容を確認し、不明点は確認する。

    • 内定辞退や承諾の連絡も、礼儀正しくスピーディーに行う。

    • 現職の退職交渉や引き継ぎも円満に行い、新天地でスムーズにスタートできるよう準備。

最終面接は「これまでの経験や能力」をアピールするだけでは不十分で、「相手が大切にしている企業理念に対して、自分の価値観やビジョンがいかに噛み合っているか」を具体的に示す場と言えます。そこに自分の熱意人柄を乗せて語りかけることで、経営者や役員に「この人なら安心して任せられる」と思わせられるでしょう。

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