気ままに私のエッセイ20210905
旅好きなひねくれ者、じゃんろぶと申します…
今年の4月から新天地で忙しなくなり暫し休んでましたが、ここに来て少しずつ再開です。
出来事から考えた想いをそのままぶちまけるエッセイや一人旅の記録をメインに投稿しています…
それでは本編のエッセイをどうぞ、少しでも好みや性癖に刺さる人がいますように…🙏
「クレーン」
朝から湿った雨が降り続いている。
流石に家にずっと居るのも体がなまるので、例に漏れず散歩に出かけた。今日は武蔵浦和を歩くことにした🚶♂️
武蔵浦和…埼京線と武蔵野線が乗り入れるターミナル駅だ。池袋や新宿までほど近く、近年はベッドタウンとしての注目が高まる街だ。
私は駅のプラットホームを降り、駅前のテラスに出た。賑やかな音を立て、複数のクレーンと作業員が見下ろした敷地の中、忙しなく動いていた。
雨は家を出た時よりも一層強くなっていた。テラスには、悪天候にも関わらずクレーンを眺める見物人がポツポツと見られた。
ターミナル駅前で巨大なクレーンが動く様は確かに物珍しい光景だ。私も共にしばらく眺めていくことにした。
5分位経っただろうか…、クレーンを眺める見物人は様々な思いを話している
「お父さん、ここには何ができるのかな?」
「~~(名前)ここには新しい住民が住むマンションが出来るんだよ」
親子の会話は新しい街の風景を待ち望んでいるようだった。
「昔はこの辺りも何も無かったのにねぇ…今は次々に高い建物が建って空が狭くなる様だよ…」
と話す老夫婦の会話は切なげだ。
武蔵浦和駅は、東北・上越新幹線と共に歩んできたと言っても過言ではない。
1985年に、新幹線による騒音のお詫びとして開業した埼京線の駅として開通した。この頃、駅周辺はほとんど高い建物は無かったそうだ。
しかし、以後は目にも止まらぬ速さで再開発が進んだ。今日では埼玉県内でも有数のタワーマンション乱立地帯となっている。
昔から住んできたのだろう。老夫婦は変わり続ける街に今も驚きを隠せない様子に見られた。
だが、先程の親子の会話は新しい街への希望に溢れているようだった。
いずれにせよ、街をイメージする風景は変わっていくものだ…この親子の会話もいずれ切なげなものに変わっていくかもしれない。
留まるところを知らない開発ラッシュがクレーンと作業機のけたたましい轟音に乗って響く…
様々な住民の想いを載せながら絶えず変貌を続ける武蔵浦和、10年後の駅前にはどんな風景が広がっているのだろうか……そんな思案に暮れながら、私は駅前のクレーン広場を立ち去った。
国道沿いを歩いていく……駅前からしばらく歩いたせいか、いくらか空が広く心地が良い。
老夫婦がまだ若かった頃はどんな空が広がっていたのか…もう戻れない過去に思いを馳せた。
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