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悪の寓話(原題:Favolacce)

イタリア映画祭 紹介第4作目。

『悪の寓話』(原題”Favolacce”)2020年の作品。

ディンノチェンツォ兄弟という1988年生まれの双子の若手新生監督による作品で、これもまた結構独特な映画。2020年 映画業界にとって(どこの業界もだが)不遇の年であることも相まり、興行収入は初日819EURと最悪のスタートであったという。

最初の鑑賞後思ったことはこの監督は塚本晋也監督映画をもしかしたら好きなのではないかということ。あくまで予想であるが、なんとなくおさえている要素が似ている。

実話であるような、そうではないような話。リアルな社会的な映画のようで、寓話のような始まり方、もしくは締め方。

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気分がいい映画ではない。敏感な子供たちが、家族、世の中への歪さに気付いてからおそらくかなりの年月は経過していて、見せかけでは分からないが、もう崩れ落ちている子供たちの話である。その周りの大人たちは弱すぎて自分たちもすでに心折れているけれども平然を装うのに精一杯でそれどころではない。誰も子供たちを助けられない。希望の無い話である。

舞台もローマの郊外で、本来のイタリアの美しさが残っていない白々しい街である。時代遅れの見栄とかがいっぱいつまっているような空間に見える。

ベルリン映画祭で脚本賞を受賞するほど高評価を得ている作品ではあるが、面白さに身を売って魂がない物語のように私には見えてしまっている。

しかし気になるのは演出で、かなりいろんな箇所が曖昧にされている一方、それぞれの登場人物には実は明確なキャラクター設定がありそうなものの、ストーリーには背骨がないような気がして、果たしてどうやって役者に演じさせたのか、気になるところだ。最後のジェルマーノの子供に対する反応など吐き気がするほど不気味である。

それに子供の目線で描かれているようで、大人が代弁しており、子供の声があまり聞こえない独特な語り方というのもなんとも腑に落ちなくさせるというか、露頭に迷うような気持ちにさせる。最初から最後まで不穏さが拭えない。

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