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スロースロースロー 〜便利じゃないイタリア〜

 先日「洗濯マグちゃん」という、洗剤を使わずにマグネシウムで洗うという方法をブログでも紹介したが、

それを昔イタリアに住んでいたという近所の人にもおすすめしたら、

「そう言えばイタリアに住んでいた時、近所のおばさんがクルミで洗ってたなあ」

と衝撃の一言。クルミ洗濯!?そんなの私は初めて知りました・・・!上には上がいる。早速”Noci(クルミ), lavastrice(洗濯機), bucato(洗濯物)"と検索すると・・・なんと、なんとたくさん検索ヒット!

 クルミの皮をコットンの袋に入れ、(汚れがひどい時は8個分、通常 6個分 汚れが少ない場合は4個分)洗濯機に放り込む。水は30−40度にして洗濯すると、不思議なことに汚れが落ちている。クルミの皮は摩擦が起きると泡が出て石鹸代わりになる。

 この汚れの度合いによって、クルミを一個ずつ追加していく様子が想像するだけで可愛いではないか。「リスの洗濯屋さん」みたいな。「ひとーつ、ふたーつ」と数えるリスが洗濯機にちょこんと乗っかっている気がしてきた。科学的な根拠はちょっと読み取れなかったが、汚れが本当に落ちると複数のサイトに書かれていた。

 そして普通に日本語で調べてもブログなどで出てきた。オーストリア、フランス・・・BIO思考の強いヨーロッパではわりと知られている手法なのかもしれない。薬局にも売っているとのこと。おそらく昔は(中世とか?)この方法で洗うのが一般的だったのかもしれない。

 今度、クルミを買ってやってみようかと思います。『リスの洗濯屋さんと洗濯マグちゃんの比較研究』とかやってみたらどうだろう。リスvsマグちゃん。もしクルミ洗濯挑戦した人いたら、感想教えてください。

 ところで、イタリアの洗濯機って何故だが時間がかかるんです。日本の洗濯は30−40分で終わることが多いけれど、イタリアは何故か2−3時間くらいかかります。え!まだやってるの?!何してんだよ、そんなに。と耳を済ませていると、良くわからないけど、途中洗濯機が何もしていないんじゃないかっていうぐらい静かーな時間帯があって、おやすみ時間みたいなのがある気がします。

 日本の洗濯機は乾燥機がついていてもとても早くできるから、1日に4回も洗濯機回すっていう人とかたまにいて、それはちょっとやりすぎ・・・って思います。私はトトロの1シーンで、洗濯を家族みんなでやって、「せんたーく、おしまい!」のお父さんの一言で、お母さんのお見舞いに出発するシーンが大好きです。なんだかうまく説明できませんが、洗濯機を一日中そんなに回して自分で自分の首をしめてませんか?それならいっそのこと洗濯機がおやすみ時間を持ってもいいかもしれないって思っちゃいます。

 イタリアのお店はおやすみ時間が多いです。薬局とか、金物屋、洋服屋、食器屋、などなどこういった専門店は、午後2時から4時までお昼休みだったりするし、土曜日は午後から休み、日曜は休日、なので急に「あれが欲しい」と思ってお店に行っても閉まっていることが多いです。その土地に不慣れで準備が甘い旅行者にとっては非常に不便かもしれません。私もサルデーニャに旅行中、あるレストランで、足の親指を結構深く切って、血をだらだら流しながら薬局を探し回った経験があります。結局探している間に開店時間が来るという始末。

 しかし今、日本もコロナの影響で時間短縮営業しているお店が多いですよね。そうすると、本当に以前みたいに長く営業している必要ありました?って思います。現状で十分間に合っていませんか。(もちろん一概にはいえないし、お店側の事情もあるのかも)イタリアではみんな、お店が閉まる時間がだいたい頭に入っているので、それまでに買い物を済ませてしまいます。無駄に買い物をしなくて済むかもしれないし、何よりお店の店員さんが人間らしい生活ができますよね。そのぐらいの時間があれば、家に一旦帰って家族とお昼が食べられます。(こうしてコロナ前に戻りたいものと、戻したくないもの、あります)

 イタリアのパンは結構じっくり焼いたりします。(もちろん早いレシピもあるんだけど)私が教えてもらったのは約2時間かけて焼きます。しかも最初結構高温で焼きます。焦げないかなって思うんだけど、焦げないんです。これは元々、石窯などで焼いているそのイメージの焼き方。最初は薪に火をつけてじわじわ温めてかなりの高温になっているところにパンの生地を投入、しばらくはバチバチと焼いて、またじわじわと火が弱まっていきます。そして最後には火が消えるんだけれども、窯の中はまだ熱々。それでもパンはそのまま放っておいて余熱でもじわじわと焼きます。ゆっくり焼いたパンは小麦の味が口の中に溢れてとっても美味しい。小麦の味って私は幸せになれます。この石窯で焼いている感じを家のオーブンで再現すると、我が家のオーブンでは250度:20分、200度:45分、180度:15分という感じ。あとは放っておいてじわじわじわと余熱で焼きます。日本のパンは結構180度ぐらいで焼いたりするけど、だからなのか日本のパンってイタリア人にしてみると少しUmido(湿っぽい)。イタリアは結構乾燥させます。だから日に日にどんどん固くなる。日本のパンって日に日に柔らかくなったりします。気候の問題だけではないと思います。あれはとても不思議。

 このようにイタリアでは時間がかかって不便なことが多いです。いや、郵便局とか市役所とか時間かかるのは、日本に慣れていると本当勘弁して欲しいと思いますが、いっそこれに慣れてしまえば自分の中で何か解放されるんじゃないかって思う時もあるんです。縫い物をしていて1針1針糸を引くのが面倒だから、何枚も布を重ねて針に通してスタックしてしまう。それを布を広げたらスーッと抜けるような、そんなイメージ。

 私はパンは週に2回、1kgぐらいの大きいパンを焼きます。これは全体的には時間がかかる作り方だけど、1工程1工程が簡単なのでそんなに苦にならずできます。もちろん何かをやりながらできます。それに捏ねません。酵母の力を信用して、自分たちで元気に活性化するのを待ちます。夜に材料を混ぜて、翌朝生地を何度も畳む。それでオーブンで約2時間。これでだいたい冷めたてで食べます。そうすると午後6−7時ぐらいにちょうどいい感じ。これが日課になっています。こういうルーチンワークを無心になってやるのが好きです。

※レシピ Ricetta

イタリア塩なしパン (Il pane)

<材料>

・セモリナ粉 500g (もしくは中力粉でも。全く違うパンができるけどこれはこれで美味しいです。)

・Farina00  500g(もしくは薄力粉)

・水 800g (水の割合も日本のパンに比べて多いかもしれません。水の量が多いと消化が良いと言われています。)

・酵母、もしくはイースト(私はうちで作った粉の天然酵母を使ってます。このイーストも香りがイタリアパンぽくなって好きです)


1. 酵母以外の材料を混ぜる。水は3−4回に分けていれる。

2. ボウルにラップをして冷蔵庫で一晩寝かせる。水を吸収させ、生地をなじませる。

3. 翌朝、酵母を入れて混ぜ、平たく手で伸ばしたら布団を畳むみたいに3回畳む。かなりベタベタするのでくっつかないように粉は頻繁にはたく。生地の餌にもなる。そして20分おく

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4. 3を4回繰り返す。終わったら、生地が2倍ぐらいに膨らむまでラップをかけて待つ。

5. 膨らんだら成形。膨らんだ時の圧が逃げてしまわないよう、底はしっかり閉じ目をつける。また少し待つ。

6. 250度に予熱しておいたオーブンに投入。20分

7. 200度で45分

8. 180度で15分

9. オーブンにしばらく放っておく。

10. 熱々の時には切らない。中が湿っている場合がある。冷め始めた頃に切って食べましょう。焼きたての冷めたては美味しい!


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