01/29🇨🇦 BoC 政策金利

2025年1月30日 03:20

BoCレポート📰

金融政策報告—2025年1月

カナダの経済成長は、過去の利下げの効果によって上向いている。
新たな関税が導入されない限り、成長はさらに強まり、インフレ率は2%近辺を維持する見込み。
しかし、新たな関税の脅威が依然として大きな不確実性を生んでいる。

貿易政策の前提条件

本金融政策報告における経済見通しには、新たな米国の関税は織り込まれていない。
ただし、関税の脅威がすでに金融市場や企業の意思決定に影響を与えていることは考慮されている。
この前提は、関税が広範囲に課されるかどうか、またその具体的な内容や対抗措置の有無が極めて不確実であり、状況が急速に変化していることを反映している。

新たな大規模関税が導入された場合にカナダ経済がどのような影響を受ける可能性があるのかについての詳細な分析、
およびそのシナリオの一例については、「焦点：米国関税の潜在的な影響評価」に記載されている。

概要

カナダのインフレ率は2024年8月以降、2%前後を維持している。
CPIの主要な構成要素の多くでインフレ率は歴史的な平均を下回っているものの、住宅価格のインフレ率は依然として高く、緩やかにしか低下していない。
インフレ期待は概ね正常化している。

2025年3月までのインフレ率は変動が激しくなる見込みで、GST/HST免除の影響が一部の財・サービスに及ぶためである。
ただし、インフレ率は予測期間を通じて2%の目標水準近くにとどまる見込み。

2024年第3四半期のカナダ経済の成長は予想よりも鈍化したが、その後、人口増加のペースが落ち込んでいるにもかかわらず、経済活動の勢いが回復している兆しが見られる。
過去の利下げの効果により、家計支出や住宅市場の活発化が進んでいる。
労働市場は依然として軟調であり、賃金成長の鈍化を示す兆候も見られる。
経済全体としては依然として過剰供給の状態にある。

カナダ経済の成長率は2025年と2026年に平均1.8%になると予測されている。
家計支出は引き続き堅調で、過去の利下げが支えとなる見込み。
過剰供給は予測期間を通じて徐々に解消されると見られる。

世界経済は約3%の成長を維持すると予測されている。
米国のGDP成長率は依然として力強く、2025年もその傾向が続く見込み。
2026年には成長が鈍化すると予想されている。
米国のインフレ率は根強いものの、2025年から2026年にかけて緩和すると見込まれている。
ユーロ圏では成長が低調であり、中国では短期的には政策による景気刺激が見られるが、予測期間後半には減速する見込み。

インフレ率が2%を上回るリスクと下回るリスクの両方が存在し、カナダ銀行はその両方を同等に懸念している。
ただし、新たな大規模な米国の関税が導入されない限り、インフレ見通しのリスクは概ねバランスが取れている。
しかし、米国の貿易政策はカナダ経済にとって大きな不確実要因となっている。

新たな米国政権は、カナダを含む貿易相手国からの輸入品に対して大幅な関税を課す可能性を示唆している。
これにより、対抗関税の導入が議論される事態となっている。
詳細はまだ明らかになっていないものの、広範な関税措置は世界貿易に深刻な混乱をもたらす可能性がある。

カナダではすでに、関税の脅威が消費者や企業の信頼感、投資意欲に悪影響を与えている兆しが見られる。
また、この影響は最近のカナダドルの下落にも寄与している。

本報告では、仮に特定の関税および対抗措置が実施された場合に、カナダの経済活動とインフレ率にどのような影響が及ぶかを示すシナリオを提示している。
カナダ銀行は引き続き、政策担当者、企業、労働団体との協議を継続し、新たな情報が得られ次第、分析を更新する。

ロイター📰英語版

カナダ中銀、2025年と2026年の成長率予測を下方修正

オタワ 29日ロイター］ - カナダ銀行（中央銀行）は29日、人口増加を抑制するための政府政策の影響を理由に、2025年と2026年の成長率見通しを下方修正した。
四半期金融政策報告で発表された予測は、米国の関税による潜在的な経済的打撃は考慮されていない。
2025年の成長率は1.8％で、10月に予想した2.1％から低下する。2026年の成長率も1.8％となり、2.3％から低下する。
2025年の年間インフレ率は平均2.3％となり、10月の2.2％から上昇する。これは供給過剰の減少、原油価格の上昇、カナダドルの下落による輸入物価の上昇による。
2026年のインフレ率は平均2.1％となり、10月時点の2.0％から上昇する。

https://www.reuters.com/world/americas/bank-canada-cuts-growth-forecasts-2025-2026-2025-01-29/

ロイター📰英語版

カナダ銀行総裁ティフ・マックレム氏とシニア副総裁キャロリン・ロジャーズ氏の記者会見

【カナダドル（C$）について - マックレム総裁】
「カナダと米国の為替レートの動きが、これまでの金融政策の決定を制約したか？その答えはノーだ。」
「カナダドルの最近の下落は、貿易の不確実性、特にトランプ大統領がカナダの輸出品に25%の関税を課すと脅したことが主な要因だと考えている。カナダドルの下落のタイミングを見ると、この発言と非常に密接に関連している。」
「これはカナダドルにとって大きな動きだ。昨年10月にはカナダドルは73〜74セントだったが、現在は69〜70セント。これは重要な減価であり、今後経済に影響を与え始めるだろう。」
「為替レートは関税の脅威に反応しているのは明らかであり、今後の展開に応じて市場はそれを織り込むだろう。したがって、カナダドルの動きが大きくなるほど、金融政策の決定において考慮する必要が増すことになる。」

【量的緩和(QE)について - マックレム総裁】
「量的緩和(QE)を導入するにはまだかなりの距離がある。現在、政策金利は3%だ。」
「先日発表したCOVID期の異例の金融政策ツールの見直しでは、カナダでQEを実施するためのハードルは常に非常に高いという結論に至った。実際、カナダがQEを導入したのは100年に一度のパンデミック時のみだ。」
「このため、今後もQEを実施するためのハードルは高いままであるべき。まだその水準には達しておらず、政策金利の調整には十分な余地がある。」

【関税の脅威が利下げ決定に与えた影響 - マックレム総裁】
「外を見れば関税の脅威が迫っている。それは今回の利下げ決定に確実に影響を与えた。」
「経済が新たな関税の影響を受ける前に、できるだけ安定させておくことが重要だ。リスク管理の観点からも、政策金利を25bp引き下げる決定を補強する要因となった。」

【経済成長の支援について - マックレム総裁】
「関税による経済の弱体化が、インフレへの下押し圧力として大きく、かつ速く影響を及ぼす場合、金融政策は成長の支援に重点を置くことになるだろう。」
「一方で、インフレ圧力がより速く、より大きく表れる場合、金融政策は持続的なインフレを防ぐことに集中することになる。」

【関税によるインフレへの影響 - マックレム総裁】
「大幅な関税の引き上げは、初期的に価格を押し上げ、インフレ率を高めることになる。しかし、金融政策にはタイムラグがあるため、短期的な価格上昇に対して直接的な対応を取ることはできない。」
「ただし、最も重要なのは、この初期的な価格上昇が他の価格や賃金に波及し、持続的なインフレにつながるのを防ぐことだ。」
「インフレは一時的に上昇するが、最終的に2%の目標水準に戻すことが不可欠だ。このショックが持続的なインフレを引き起こすような事態は、カナダ経済にとって望ましくない。」

【フォワードガイダンスについて - マックレム総裁】
「フォワードガイダンスは有効な手段だが、慎重に使用する必要がある。また、過去の経験を踏まえた適切な運用が求められる。」
「振り返ると、フォワードガイダンスにおける出口条件をより明確にすべきだった。伝達する過程で、その条件が十分に明示されていなかったことは確かだ。」

【カナダ銀行の役割と米国関税の影響 - マックレム総裁】
「金融政策だけでは、関税の引き上げによる影響を完全に相殺することはできない。経済活動は鈍化し、生産は減少し、収益も減少するだろう。」
「ただし、金融政策は調整をより穏やかにし、急激な経済ショックを和らげる役割を果たすことができる。そして、カナダ銀行は経済の安定性を確保するために、あらゆる努力を惜しまない。」

【フォワードガイダンスの削除について - マックレム総裁】
「現時点では不確実性が非常に大きく、ガイダンスを提供することに意味がないと判断した。」

【インフレ急上昇への対応 - ロジャーズ副総裁】
「関税は短期的には価格上昇を引き起こすが、その影響が波及すると、インフレの持続につながる可能性がある。これは、COVID期のような波及効果を引き起こすシナリオだ。」
「まさにそのような状況を防ぐために、インフレが急激に上昇した場合には、金融政策が適切に対応する必要がある。」
「もしインフレ圧力が成長の下押し圧力を上回る場合、金融政策は迅速に行動することが求められる。」

https://www.reuters.com/markets/rates-bonds/top-bank-canada-officials-speak-after-latest-interest-rate-cut-2025-01-29/

ロイター📰日本語版

カナダ中銀0.25％利下げ、成長予想を下方修正　米関税も懸念

［オタワ　29日　ロイター］ - カナダ銀行(中央銀行)は29日、主要政策金利を0.25％ポイント引き下げ3.00％とした。2035年の成長率見通しも引き下げ、トランプ関税がカナダ経済に大きな損害を与える可能性があると警告した。

マックレム総裁は会談の冒頭で「長期かつ広範囲にわたる貿易紛争はカナダの経済活動に深刻な打撃を与えるだろう」と述べた。

トランプ米大統領はカナダとメキシコに対する25％の関税を2月1日に発動する計画。カナダの財・サービス輸出の75％が米国向けとなっている。

中銀によると、カナダと他の国々が米国に報復として25％の関税を課した場合、カナダの成長は初年度に2.5％ポイント、2年目にさらに1.5％ポイント低下する可能性がある。これは予測ではなく、仮説的なシナリオという。

同中銀は声明で「インフレ率が約2％にあり、経済が供給過剰となっていることから、理事会は政策金利をさらに0.25％ポイント引き下げて3％とすることを決定した」と述べた。

マックレム総裁は「政策金利という単一の手段だけでは、生産力の低下とインフレ率の上昇に同時に対抗することはできない」としながらも、インフレ率が低いことを踏まえると、中銀は経済の調整を支援することはできると述べた。

同中銀は、2025年の同国の経済成長見通しを1.8％に引き下げた。昨年10月時点の予測は2.1％だった。26年についても、2.3％から1.8％に下方修正した。インフレ率見通しについては、25年は2.2％から2.3％に、26年は2.0％から2.1％に引き上げた。この予測には米国の関税の可能性は考慮されていない。

中銀はまた、新型コロナウイルスによるパンデミックを受け供給した過剰流動性を吸収するために実施していた量的引き締め(ＱＴ)について、3月に終了させると発表した。

今回の利下げは6会合連続。インフレ率は中銀が目標とする1〜3％のレンジの中間付近で推移しているものの、経済成長は依然として低迷している。

BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は「中銀は難しい舵取りを迫られる」とし、トランプ米政権が実際に関税措置の導入に踏み切れば、中銀は一段と積極的な利下げに動くとの見方を示した。

Bloomberg📰日本語版

カナダ中銀、0.25ポイント追加利下げ－関税脅威でガイダンス撤回

政策金利を３％に引き下げ、昨年６月以降の利下げ幅200ｂｐに
大規模な関税課された場合はカナダ経済の回復力試される－声明

カナダ銀行(中央銀行)は29日、0.25ポイントの追加利下げを決めた。一方、トランプ米大統領が関税措置の発動をちらつかせて見通しが不透明になる中で、今後の政策金利調整に関するガイダンスは撤回した。

政策金利である翌日物金利を3％に引き下げた。今回の利下げ幅はブルームバーグが実施したエコノミスト調査および市場で広く予想されていた。

カナダ中銀は声明で「経済は徐々に強まり、インフレは目標近辺で推移すると予想される。しかし、広範囲にわたる大規模な関税が課された場合、カナダ経済の回復力が試されることになる」との見解を示した。

カナダ中銀は昨年６月に利下げを開始。利下げ幅はこれで計200bpとなり、同中銀当局者は「大幅な」引き下げだとしている。10月と12月にはそれぞれ0.5ポイントずつ引き下げていた。

米国が関税措置を発動し、カナダが報復関税に動くとの脅威が高まっている。中銀はそれが「経済見通しを曇らせている」と指摘した。

トランプ政権の通商に関する具体策がより明確になるまでは、金融政策のさらなる調整は行われない可能性が今回示唆された。