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udon

うどんが好きだ。たった三文字でこれほどまでにホッとする言葉も珍しい。饂飩と漢字で書けば途端に昭和初期の感じがしてくる。悪い奴め。のっとりとスープの底に沈んでいるくせに、箸でつまんだ途端に身体を委ねてきてつるっと動き出そうとするのが小憎らしい。思い浮かべると出汁の匂いが思い出されてまた食べたくなる。ほいっ。なんて渡されて、ウノ・ドス、ウノ・ドス。ズル、ズル、ずるり。上品なうどんは好きじゃない。

最近やたらと上品な文章ばかりを目にするようになった。利益のある雑学やら、それを知っているだけでなんだか自分まで頑張ったかのように錯覚させる文章達。そんなものが世の中に溢れている。そうするとウケちゃうもんだから嘘の話をしてまで人の目を惹こうとする輩まで現れ始めた。どうしてそんなに頑張らないといけないのか。どうして読むだけで疲れるようなものを際限なく求めようとするのか。

だから嘘ばっかりを書こうと思う。そういうのが好きな少し変わった人達から月100円もらってコーヒーを飲んだりランボルギーニを買ったりしようと思う。

上品なうどんなんて大嫌いだ。