左角のBAR
ー 春はどうかな
ー あぁ、桜は例年通りみたいなので大丈夫ですよ。
ー そうか、夏休みはどうするんだ?
ー 大きい祭りがあるかもしれなんでそっちに顔を出そうかなと思ってます。
ー そうか。暑いだろうに大変だな。
ー まぁ今日のアレの方が大変だったと思いますよ。
ー まぁな。
家から徒歩で15分ほど歩いたところにある、深夜でもあいているBAR。背伸びのつもりで足を踏み入れてからもう3年ほどになる。めったに人を連れてくることもせず売上にも貢献していないと思うのだけれど、マスターの酒談義は手を抜くことを知らず、いつも楽しませてくれる。そんなマスターの膨大な知識は、少なからず自分の血となり肉となり、今ではすっかり酒の虜になってしまった。酒は楽しい。