HOLE TO ANOTHER UNIVERSE
ダイヤモンドの熱伝導率が光のヘクトパスカルを超えて空に飛び出していった頃、僕は麦畑の真ん中で世界の終わりが来ることを願っていた。ウォークマンのバッテリーはあっという間に失くなって、僕は身体にコンセントがついていればいいのにと思ったりした。
1998年の12月も2049年の今でさえも人々は人類の滅亡について話している。僕は1999年に滅亡しなかった地球がただただ惰性で回っているように、今もずっと自分の最終回を夢見ているだけだ。頭の中にある言葉がすべてこの世の中に現れるとしたら世界はとっくに滅びているだろう。人々の口は冷たい手術用の糸で縫われているようで耳の悪い僕には何を言っているのかわからないし頭の悪い僕はそもそもどこにチャンネルを合わせたら良いのかさえわからない。ただどっかのかっこ悪いギタリストがファスギターを掻き鳴らしている。