返してもらう日を決めなかった@金貸した-2
法的には、弁済期の定めがない場合の返還請求についての話です。よくあるご相談から。
ある女性が、親しい友人とショッピングに行ったときに、手持ちのお金がないから3万円貸してくれと言われました。その時は、「すぐ返すね」と言われて、家族も知っている友人なので、「いつ返すの?」などと聞くのも失礼だと思って、財布から3万円だして、お金を貸しました。
しかし、1週間経っても、貸したお金を返してくれる気配がないので、さりげなく「あの3万円いつ返してくれるの」と聞くと、「あ、ごめーん。来週絶対返すね」というだけで、その繰り返しをして、3ヶ月が経ってしまいました。。
親しい間柄でお金を貸した時に、返還する日を決めないことはよくあります。よくある事例にみえて、実は奥の深い相談です。
これを裁判をやってまで解決する事例はあまり多くありません。しかし、仮に裁判までするとなると、期限を定めずに消費貸借契約を締結すると、いつなら返還請求権が行使できるようになったのかまでを主張しなければなりません。
多くの場合は、貸し付けから1週間程度をもって相当期間と表現しているケースが多いように思われます。本件の事例では、どうでしょうか?いくつか試論を考えてみます。
① 貸し付けから1週間でも、長ーく感じられます。というのは、ちょっと手持ちがなかったから、という理由であれば、すぐにATMにいって返すのがある意味人道とも考えられましょう。
② 1週間後に催告をした時点から1週間とも、考えられます。もしかすると忘れていたかもしれませんからね。忘れていたのであれば、すぐにATMにいって返すのがある意味人道とも考えられましょう。
③ 来週絶対返す、その来週の末日土曜日とも、考えられます。この時点で明確に、1週間を相当期間として合意が成立したかもしれませんからね。
実は貸金返還請求権には、返還時期に関する合意がある場合にはその時期、返還時期の合意がない場合には催告の事実と催告機関末日の到来または客観的相当機関末日の到来を主張する必要があると裁判では理解されています。ちょっといろいろ言いましたが、いつ返すのか決定しておくことは、人間関係や双方の信頼にも大きくかかわる、そして、弁護士などの専門家にとっても大きくかかわる重要事項なのですよと言いたかったのです。
できれば、決めておいてほしいのが返済時期に関する定めなのでありました。