書式百選⑪【訴状】男女トラブルによる貸金返還請求訴訟
0 はじめに
お金を貸した、しかし返してくれない。弁護士が相談を伺うと、相手と交渉をしたり、裁判をしたり、手段はいくつか想定されますが、貸金の場合この2つがオーソドックスです。自分でも、やれないのか。やれます。でも、難しいのでは?
実は、契約書があれば、そんなに難しくないとすらいえるのではないか。今日は、貸金の訴状について検討してみます。
1 貸金返還請求の訴状
訴訟を提起する場合は、「訴状」という書面を「2部」作成します。1部は裁判所に、もう一部は裁判所に提出したものを、裁判所が、被告に送達します。
お金の貸し借りは、民事事件なので、民事部御中と記載されています。ここで、簡易裁判所御中となっているのは、140万円以下の請求の場合簡易裁判所に訴訟提起をするのが通例であるからです(地方裁判所に提起してしまうことは一応あります)。
請求の趣旨、とは、訴えによって求める結論のことを言います。
請求の原因、とは、事実関係を言います。この訴状では、もっともシンプルに記載していますが、ほかにも、経緯を書くこともできます。「2 金銭消費貸借の成立」の個所に、請求内容、契約書があるのであれば契約書に沿った内容を書きます。
3弁済期の到来・経過は、お金の貸し借りの請求の場合、いつお金を返すことになっていたのか、その期間はすぎたのか、まで主張する必要があります。ちなみに、最低限主張しないといけないことが記載されていないと、敗訴してしまうことになります。
4結語は、第1請求の趣旨に対応するものです。
2 アドバンス
たとえばこの訴状に、被告にお金を貸した経緯を記載したい場合は、第3という表題を設定して、「第3 関連事実」として記載をすることもできます。たとえば、こんな内容です。
原告は被告と出会い系マッチングアプリを通じて、交際関係を開始した。交際関係は順調であったが、被告よりたびたびお金の工面を要求され、原告はしぶしぶ応じていた経緯があった。交際関係を解消することになり、話し合いの機会をもったものの、被告は、「お金ができたら返す」といって聞く耳を持たない。
ともすると、アドバンスの部分は弁護士の腕の見せ所なのかもしれません。これに、原本をコピーした証拠をつけて、これも2部つくり、証拠説明書というものを添付します。
これで一応できあがりです。