「腎」と「副腎」の関係と不妊症
中医学でいう五臓は西洋の臓器の解剖学的な捉え方と若干異なる概念があるため、理解するのに難しい時があると思います。
五臓は機能的にとらえてその働きを整理するとわかりやすくなりるので、不妊症に特に関係している五臓のうちの一つ、「腎」について解説したいと思います。
まず、「腎」というと、=腎臓と思われると思いますが、腎臓よりも、「副腎」がより近い働きをしています。
「腎」には水分調節の働きがあるため、そういう意味では腎臓も副腎も水分の調節と関係しているため、共通点があります。
では副腎は実際どのような働きをするのかみてみましょう。
副腎は左右の腎臓の上に乗っかるように配置されている小さな臓器で、たくさんのホルモンを分泌し、それらを血流へ流す働きがあります。
これらのホルモンは新陳代謝、免疫、血圧の調節、ストレスの軽減などと関係しています。
<副腎で分泌される主なホルモン>
・コルチゾール・コルチゾン
糖質代謝、免疫と関係
・アルドステロン
血圧とナトリウムとカリウムの調整
・副腎性アンドロゲン
男性ホルモンや女性ホルモンに変換
・アドレナリン・ノルアドレナリン
ストレス時の心拍上昇と血流増加、毛細血管縮小。
以上のホルモンだけでも体の恒常性を保つため、主要な役割を果たしていることがわかります。
それに対し、中医学の「腎」では遺伝とも関係し、生命力の源でもあります。免疫や呼吸とも関係します。そして、臓腑を温めたり、潤し体内を中庸に保ちます。
「腎」は精を貯蔵するという概念がありますが、これらのホルモンを「精」とみたてると、
副腎がアルドステロンによりナトリウムを吸収しカリウムを尿中に排泄し、ミネラルを調整すると同時に体内の水分量を調整しているということは、「腎」の陰陽のバランスをとる性質と似ています。
また、副腎が性ホルモンと関係があることから、「腎」の成長、発育、生殖にも通じます。ここが不妊症と直接関係する部分でありますが、実際のところ、女性ホルモンは卵巣(卵胞・黄体)からも分泌されるので、卵巣の機能もこの「腎」の一部ととらえて良いと思われます。
ホルモンは多すぎても少なすぎても病気にもなります。そのため、体内では常に脳によって副腎から分泌されるホルモン量は調整されています。
「腎」は脳を潤す働きをするともされていて、脳の働きとも関係があります。脳が血液中のホルモンの濃度を察知し、濃度が高いときは減らすように指示をし、逆に少ないときは増やすように指示をします。
ホルモンが十分に分泌されないと、体重が減ったり、食欲がなくなったり、疲れやすくなったりします。
「腎」は体の要であり、その働きを補助し、高めることはとても大事です。
健康のために、妊娠しやすい体づくりのために「腎」を見直しましょう。
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