14話*ボンさん、カモナ マイ ハウス
ボンさんを保護すると決めた私達。
保護するキャリーがないので、急遽洗濯かごと、洗濯かごにピッタリのふた用カバーを買って来て用意し、ホウホウの時のように失敗しないように家で入念にリハーサルをした。
ボンさんエリアから、家まで徒歩だと10分くらい。間に大きな道路がある。
失敗は絶対許されない。
途中でボンさんが暴れて道路に飛び出したら……とか考えたらチビりそう。
失敗は絶対絶対、許されない。
家のマンションはペット不可。
住人に出会したらマズイ。
色々なリスクを想定したら、ものすごく緊張してきた。
そして昼間、私達はいざ、ボンさんに会いにいった。
ボンさんは、マンションの植木壇に身を隠していた。
昼間なので、人もちらほら。
とりあえずボンさんを植木から抱き抱えて出して、ご飯を差し出して話しかけた。
「ボンさん、私達はまだまだボンさんと遊びたいよ。だからご飯食べて元気になろう? ボンさんと逢って私らは初めて猫を好きになったんだよ。散歩もまた一緒にしたいし。いっぱい遊ぼうよ。私たちはボンさんが大好きなんだよ」
と、思い付く限りの気持ちをボンさんに伝えた。
ボンさんは座ったまま聞いていた。
ご飯を食べるそぶりは一切ない。
ただ座って、うつろにじ~っと私たちの声だけ聞いているようだった。
『だからボンさん、わたしたちの家にいこう』
そう言って、私達は意を決してボンさんを抱き上げ、籠に入れた。
予想外にすんなり入った、、、、、!!!
そして蓋をして、籠ごと抱き抱えたて私たちが歩き始めるとボンさんは、、、、
『にゃあああああ~~~!!』
パニーッーク!!!!!大きな声で鳴き始めた。
私達も緊張と妙なハラハラ興奮で「ヤバイよヤバイよヤバイヤバイ」出川哲朗状態。
二人の出川が鬼の形相で競歩しながら運ぶ絵図はかなり怪しい。
ニャー!!!!
鳴きまくるボンさんと、フーフー息を荒げる小走りの私達。
完全に誘拐犯だ。
しかしなんとか大きな道路も渡り切り、マンションも奇跡的に住人に出くわす事なく、エレベーターから部屋まで一気に駆け込んだ。
、、、、、、部屋にたどり着いた時の安堵感よ。
エイドリア~~~~~ンんんんんんん!!!!
ミッションインポッシブルぅ~~~~!!!!
しかし、私はとんでもない緊張感でしばらく震えていた。
まだ安心はできない。問題はここからだからだ。
ボンさんは、果たして家に入れて大丈夫か、、、、、?
びっくりして逃げようとしないか?鳴き叫び続けないか?
ハラハラしながら蓋を開けると、ボンさんはゆっくりと出て来た。
ボンさんは、少し警戒したけど、事情を察したのかすぐ大人しくなった。
そして、T君の膝にすり寄った。
そう、私の膝ではない。ちょっと悔しいが、仕方ない。
私の心配は空回り、ボンさんはすぐ自分の居場所を見付けて寝始めた。
とりあえず、ボンさんの様子をみてホッと胸を撫で下ろした。