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友人が小説を書きました。野良猫ミケの事件簿🔍️🔍️

 





 「なんで…なんで……どうしてなの……一体誰が…」

震えた声で女がささやく。


女が床にへたり込み口を手で押さえている。
体は小刻みに震えている、怒りなのか哀しみなのか、はたまた恐怖によるものなのか。

足元にはおそらく元は花瓶であったろう、陶器の破片が散らばっている。

嫌な臭いの液体が床に大きく広がり、事の大きさを表しているようだ。



 意識が戻ると、俺は随分と狭くて埃っぽい所にいた。

目の前は壁で塞がっている。

立ち上がる事は難しい。

なぜだか酷い疲労感と倦怠感がある

首にはめられている拘束具は引きちぎれそうにない。


「あああああぁーーー」

声を振り絞るが誰からも返事はない。

俺は力のかぎり暴れた。

その瞬間、世界がバリッと破れた。身体が自由になる。

ふと見ると、女がへたり込み動けずいる。

女がへたり込んでいる部屋を一瞥すると。

そのまま女には気づかれぬよう。

空いていた2階の窓から俺は飛び出した。

空中で身体をくねらせると4本の足で着地を決める。





意気揚々と一匹の猫が歩いている。


吾輩は猫である。名はミケ。

俺は捨て猫である。

今まで家で飼われていたのだが、海外へ引っ越すとのことで人間に捨てられ、そこから厳しい外へ放り出された。

雨風にさらされ、捨てた飼い主に彫られた首輪の「Mike」の文字が見えづらくなってくる頃。

とうとう動けなくなっていた所を今のお母さんに助けてもらい、それがきっかけで毎日ご飯をもらっている。

お母さんは部屋に猫達のご飯を置いており、2階の窓は基本は開けっぱなしにしてある。

猫達は部屋に誰でも入れるし、この地域の猫はみなお世話になっているだろう。

つい先程その家で事件がおきた。

どうやらお母さんの大切にしている花瓶が割れたらしいのだ。

出入りしてる猫の誰かが花瓶を割ったのだろう。

はっきり言って死活問題である。

犯人をハッキリとさせなければ、猫そのものが危険とみなされ、これを機にご飯を置いてくれなくなるかもしれない。

犯人を探し出して、謝罪させなければならない

犯人を見つけなければ。

俺は神社へと向かっている。

ふいに声をかけられる

「よぉ、ミケじゃねぇか。難しい顔してどうした?」

親しげに話かけて来たのは黒猫のヤマトである。



ヤマト

ヤマトとは捨てられた時からの友人である

捨てられた俺を初対面でミケと呼んでくれ、親しくしてくれたのがこのヤマトだ。

あまり見た目を呼び名にするのはめずらしい。

人間同士でも、よぉ金髪!

などとはよほど仲良くない限り呼ばないであろう。

初めての外の生活で孤独だった俺にとって、その失礼なくらいのなれなれしさが心地よかったのかも知れない。

ヤマトと言う名前は男気があり、頼もしいヤマトにはピッタリの名前だが

宅急便がチラつく

あるく横姿はまさにそれだ。

「お母さんの花瓶が誰かに割られたみたいなんだ、犯人を見つけてやろうかと思って」

「花瓶?あのやたら大事そうにしてたやつか。
いいぜ、協力してやるよ」

ヤマトは頭が良い、推理小説で言う所の探偵役がよく似合う猫だ。

「助かるよ。まずはあいつらに話を聞いてみよう。」

あいつらと言うのは、この辺りに暮らしている猫達のことである。

この辺りは猫ちゃんに厳しくて野良猫はとても住める環境ではない。エサをあげるのを禁止しているようだ。

しかし唯一猫達が住める場所がある。

それがこの神社である。

お母さんの家の隣にあり、お母さんが家にこっそりご飯を用意していた為、何匹か神社に住み始め、それが少し話題となった。

本来なら駆除されてしまう所だったが、ちまたでは猫神社として有名になってしまった為に、そのまま居着く事が許されているのだ。

この辺りでは猫はこの神社に住み着いているやつしかいない。

つまり犯人はあの中にいる

ということである。

2匹で目的の神社へ到着し、境内を一瞥する。

「まずはアイツだな」

ヤマトが歩きだす。

目線の先にいるのは神社一のお調子者。

サバ白のソラである。

鼻水を垂らしながらこちらを見ている。

ソラ

事件の事を話し、ヤマトが単刀直入に聞く。

「やったのお前か?」

あいかわらずハッキリした物言いだ

「ち、ちがうよぉ!!僕がそんな事する訳ないじゃないか!」

「どうだかな、お前のことだから間違えてぶつかったとかじゃないのか?」

ヤマトが疑うのも無理はない、ソラは神社一のトラブルメイカーで、今までほとんどのトラブルの原因はソラだった。

この地域の猫の間では、

ほら見ろ そら見ろ ソラだろ

と格言めいた事も言われている。

「ちがうってば!今日はご飯を食べにも行ってないよ!それに昨日の夜中にご飯を食べて帰る時に、花瓶は割れてなかったのを確認してるよ!間違っても僕じゃない!」

ソラは鼻炎持ちで、鼻が効かない。

その為ソラは野生でエサを手に入れるのは難しい。自分の大事な餌場を失いかねないヘマは、流石にしないかもしれない。

鼻水を垂らしながら、マヌケな顔で必死に弁明するソラを見てそう思った。

「そうか、確かに夜中に割れていたら音で人間が起きているだろうしな」

「他にも話を聞いてみるか。」

「そうしよう」

ヤマトと共に次の猫を探す

黒白のハチと茶トラのトラが二人で話しているのが見えた。

「少し聞きたいことがあるんだけどいいか?」

「いいけど、何の用だよ?」

ハチが俺とヤマトへ睨みを効かせてくる。

ハチ

正直怖い、苦手だ。

ハチはアウトローな猫で違法薬物を扱っている、どうやら今日もトラに、ブツを渡していた所だった。

「お母さんの花瓶を割った犯人を捜しているんだ。何か知らないか?」

「しらねえな、興味もない。俺はそもそも餌ぐらいどうにでもなる。今もトラからブツと交換していたところだ。俺の天然のマタタビを味わった奴はもうやめられずに、家に忍び込んででも餌を俺に持ってくるぜ。」

なるほど、ハチはあの家に行ったことはないかもしれない。

「ミケも1つどうだ?」

「俺はやめておく、マタタビが苦手なんだ。使った事ないよ。」

「そういう奴ほど俺の上物を使うと、記憶がぶっ飛ぶ程キクんだがな。まぁ気が変わればいつでも来い。」

「わかった、でもトラを見てるとあぁはなりたくないね。」

トラに視線を送る

「おまえは?」

ヤマトがトラに聞く。

「イヤッふーーーーーーーー!!!」


トラ

気持ち良さそうだ。早速マタタビをキメている。話にならない。

トラは完全にマタタビ中毒者である。一日中キメていて、次の日何も覚えていないこともあった。

怪しいな…

マタタビ欲しさに家に餌を取りに行きそのまま酔っぱらって花瓶を割った。

「可能性は高いな…」

ヤマトと顔を見合わせうなずく

しかし証拠がない

どうするか、

「あの子に相談してみるか、あの子は頭が良いし話を聞いてみよう。」

ヤマトがニヤッとする

「そうだな。話かける理由ができて犯人に感謝しろよ」

「そんなんじゃないよ」

「どうだか、白い顔が赤くなってるぜ?」

やめてくれ…

というのも俺が一目惚れしている猫

神社一の美毛猫こと

三毛猫のモモちゃんの事であるからだ。

モモちゃんは神社の御神木の近くで休んでいる。


モモ

「こんにちは」

「あら、ごきげんよう。どうしたのかしら?」

やはり品がある。好きだ。

俺達は事件の事を話す。

「あの素敵な花瓶の事ね?あの花瓶好きよ。破片を首飾りに付けたいくらいだわ。」

そういえばモモちゃんは、以前からあの花瓶をキレイだから欲しがっていたな。

破片になった今なら、プレゼントできるかも知れない。

いや、今はそれどころではない。

ヤマトがこれまでの経緯をモモちゃんに伝える。

「なるほど、確かにトラが怪しいけど証拠がないとね。犯人はもうご飯をもらえないようになってしまうかもしれないのよ。証拠もなしに決めつけるのはよくないわ。」

「そうだよね。でもこのままだと全員がそうなってしまうかもしれない。」

「大丈夫よ。お母さんは今さらご飯を取り上げるなんて事しないわ。」

「わからないよ。俺だって捨て猫になるなんて思ってなかったさ、人間はわからないよ。」

「捨てられた時の話は聞いたことあるわ、でもそれはアメリカの実家へ帰るのに、どうしてもあなたを連れていけない理由が何かあったのよ。」

「そう信じたいけどね。」

「犯人探しなんてやめたら?ほっとけばいいのよ。言っておくけど、あたしも今朝はご飯食べに行っていないわよ。」

好きな猫にそう言われて心が揺らぐ。

「どうしてもと言うなら、あそこのイケメン猫のトットちゃんが見てたかもしれないわよ。」

トットちゃん?モモちゃんにちゃん付けで呼ばれている、見たこともない猫に嫉妬する。

「おい」

ヤマトがこちらを見て、アイコンタクトで神社の横にある家を指す。

何かと思い目を凝らすと、その家の窓際にキジトラの猫がずっと窓の外を見ている。

「アイツ、もしかしたらずっとお母さんの家をみていたかもしれない。猫だし暇だろうからな。
だとすると、2階へ今日忍び込んだ猫を目撃してる可能性がある。」

「そうか、昨日の夜には花瓶は割れていなかった。今朝から今にかけて2階の部屋へ忍び込んだ猫が犯行可能だったわけか。」

窓際のトットちゃんに会いに行く。

突然ベランダに乗り込み、めんどくさそうにしているキジトラにヤマトが話かける。

トット


「はじめまして。ここ開けてくれよ。」

「なんだよお前ら」

事件の事を話し、家の2階へ今朝入っていった猫を聞いてみる。

「ふーん、俺は関係ないな。外になんか興味はない。面倒に巻き込まれるのはごめんだ。」

「どうやら見てはいたみたいだな」

「いちいちおぼえてねぇよ」

「それを思い出してほしいんだ。頼むよ」

「ふん、犯人に逆恨みされてもごめんだね」

「ちっ!役に立たねぇな」

ヤマトが悪態をつく、どうやら少し捜査に疲れてきたようだ。

「もう捜査は中断しよう。腹も減ったしな。俺は休んでくるぜ」

そう言ってヤマトは姿を消した。

トットちゃんなんてかわいい名前の割には無愛想なやつだ。

こんなんのどこがモモちゃんは気に入っているのだ。腹が立つ。

俺は少し考えてハチの所へ向かう

ハチは客から巻き上げたご飯を食べているようだ
。カリカリにカツオ節をかけて煮干しを添えている。横にはツナ缶まである。

「どうした?まだなんかあんのか?」

ハチに睨まれる

「君がもっている中で、1番キクやつ譲ってくれないか?どうしてもあのキジトラから話を聞きたい。交渉に使いたいんだ。」

ハチがニヤッとわらう

「いいぜ、とびっきりのがある。こいつは市販の混ぜ物ばかりのマタタビや、ちゅ~るしか知らないような坊っちゃんにはたまらないはずだぜ。」

ハチが袋に入ったマタタビの木を渡してくる。


ハチ

「お代は初回は無料だぜ」

そう言ってハチは消えていった。

おそらく2回目からは法外な餌の量を要求してくるのだろう。恐ろしい。

ともあれトットの元へ向かう

「おいトット、ちょっと開けてくれよ」

「また来たのか…ん?なんだそれは?マタタビか?」

「気になるか?ちょっと嗅いでみろよ」

やはり猫だ。好奇心には勝てない。

少し窓を開けて自分は息を止めて、マタタビを嗅がせる。

「なんだこれ!俺の知ってるマタタビじゃねぇ!」

シメシメである。


「たまんねぇ!なんだよこれぇ!もっとキメさせてくれよぉ!」

「ならよく思い出して教えろ。」

「わかったよぉ!確か昨日の夕方に茶トラの奴が入っていったな、しばらくしてでたきたが」

「その後は?誰も入らなかったか?」

「その後はサバ白の奴が入っていったような…」

「今朝は?入っていないか?」

「今朝は…そういえば…いや……でもそんなわけないよな…」

「なんだよ」

「いや、最初に言ったけど遠くからだし誰かはわからない。それに目を離した時間だってある、分かるのも毛色くらいのもんだぜ」

「見てた限りでいい、どんな毛色だったんだ?」

「真っ白な猫が今朝入って出ていったぜ、他には一匹も見てはいないな。」

そう言ってマタタビの袋をひったくると、さっそくキメる。

「イヤッふーーーーーーーーー!!!」

トット

きもち良さそうだ。





真っ白な猫??

この辺では見たことないな

どういうことなのか…

とおりすがりの野良猫の仕業なのだろうか…


わからない…


とりあえずこの情報をヤマトに伝えるため


俺は再び神社へと向かった…




 神社に戻るとトラが座っている。

マタタビが切れたのか、正気に戻っているようだ。

トラ

声をかけて事件の事を話す。

「今朝は何をしていたの?」

「僕も今朝はご飯食べに行ってないなぁ、昨日は夕方に食べに入ったけど、花瓶なんて割っていないさ。」

「今朝はハチからマタタビを譲ってもらってからはよく覚えてないな、記憶も曖昧だよ。アイツのマタタビは最高にキクんだ〜」

「毎日もらってるのか?」

「毎日ではないけど、昨日常備マタタビをどこかへ落としてしまったことに気づいて、今朝あわててハチに頼んでたんだよ〜。あれがないとね〜」

「完全に依存してるな」

2人で話しているとソラとヤマトが近寄ってくる。

ソラ
ヤマト

どうやらヤマトはソラを疑っているようだ。

ヤマトが僕たちに向けて口をひらく

「やっぱりこいつがなんか関わっていると思うんだがな、お前、昨日夜帰る時に何かしなかったか?」

「してないよ!なんでもかんでも僕のせいにしないでくれ!」

ソラが起こりながら反論する

怒っていても鼻水がマヌケに見える。

「確かに今回はソラは違うんじゃないかな。
今朝あの家に入った猫の毛色がわかったんだ、ソラじゃないよ。」

「それはほんとうか?毛色は?」

俺が白猫の存在を伝えようとすると、冤罪に腹をたてたソラが声を荒げてさえぎる。

「ほれみろ!それ見ろ!あやまれ!僕は昨日花瓶を割るどころか、掃除までして帰ったんだぞ!」

「悪かったよ、掃除なんて偉いじゃないか。
そんなに汚れてたのか?」

ヤマトが苦笑いして、質問をする。

「なんだか見かけない粉が落ちてたんだ。それをわざわざ集めて、近くにあった紙袋へ片付けて帰ったんだ。良いことしたあとは清々しい気分だったよ。」

「見かけない粉?」

「あの粉何だったんだろうな。鼻が効かないからわからないや。」

トラが何かを察する。

「色は茶色いか?僕のマタタビかも」

「そういえば、見た目はマタタビに似てたな…」


「余計な事しやがって!アレは貴重なんだぞ!僕のだ!返してくれ!」

「やめろ!」

ヤマトが一喝する。

とりあえず現場へ行くことにした。4匹で向かう。

現場に着くと、ほのかにマタタビの残り香がしている。

「あっ!この紙袋だ!この中に片付けたんだよ、なんで破れてるんだろう…」

ソラが指差すと、そこにはビリビリに破れた紙袋の残骸がある。


一体誰だ?


これまでの情報を整理してみる。

昨日の夕方トラ(茶トラ)がマタタビを忘れた

マタタビ大好きトラくん

そのマタタビを紙袋にソラ(サバ白)が片付けた

トラブルメーカーのソラくん

その後で何者かが侵入して花瓶を割った

紙袋を破いたのもそいつなのだろうか

花瓶を欲しがっていたモモ(三毛猫)なのか

マドンナのモモちゃん

マタタビを渡したハチ(黒白)なのか

アウトローのハチくん

それとも意外とトットなのか

窓際の家猫トットちゃん


ヤマトが悩んでいる

俺は皆にトットから聞いた情報を伝える

白猫しか今朝は出入りしていない事

犯行は白猫しかできない。

誰か例の白猫を知っているかも知れない。

「キジトラが言うには今朝出入りした猫は白猫だけらしいんだ。白猫なんて俺は見たことないな。ヤマト達は知っているか?」

3匹が顔を見合せる

ヤマトが口をひらく。

「犯人がわかったよ」











ヤマト

「俺の知っている白猫はミケ、お前だけだぜ。」
     






早朝、神社の御神水で顔を洗った俺は家の2階へ忍びこむ。

どうやらご飯は昨日の夜に誰かが食べ尽くしたのだろう。まだ補充されていない。

ふと見ると、お母さんが大事にしている花瓶がある。

以前から俺はこれが気になっていた。

そう、俺の愛するモモちゃんがこれを欲しがっているのだ。

しかしとても持ち運べない

俺は考えていたある方法を実践する。

割ってしまえばいいのだ。

破片にすれば持ち帰れる。

ご飯をもらえなくなる?関係ない。

明日からここを追い出されようとも、あの子の為なら怖くないのだ。

恋は盲目である。

破片を渡した時のモモちゃんの喜ぶ顔を想像し、思い切り体当たりをする。

「ガチャーーーーん」


花瓶が床に落ちて割れる、予想外にでかい音に驚き、猫の習性か近くの紙袋へ潜り込む。

それと同時に、鼻から身体にかけて衝撃的な快楽物質が駆け巡る。天然マタタビは違法なだけあり強烈だった。記憶すら飛ばすほどに。

慣れていない俺は、そのまま意識を失ってしまった。

ふと気がつくと、お母さんが泣いている。

誰だ?お母さんを悲しませたのは、許せない。

俺は無理矢理に紙袋を破いて飛び出すと、そのままヤマトと合流し、神社へ向かったのであった。



思い出した。

全てを

抱え込んだ頭の毛奥に、花瓶の小さな破片が埋もれているのに気がついた。

もう言い逃れはできない。

みんなに思い出した事の一部始終を話し、謝罪する。

安心してくれ、責任はとる

俺は明日にはここを追い出されるかもしれない

俺の事は忘れてほしいと伝える。

自分の毛色なんて、猫の俺は見たことがない。

あたりまえだ。どうやって自分の全体像を自分で見ることができる?

人間は自分の顔を見たことがあるのかい?

そういえば以前はマイクとも呼ばれていたような気がする。

白猫の(Mike)

だけど

首輪のMikeを見て、人も猫もみんながミケって呼ぶから。

俺は自分を三毛猫だと勘違いしていたようだ。

「お前なら大丈夫さ、明日も神社で待ってるぜ。」

ヤマトが俺を励ます。

玄関で音がした。

どうやらお母さんが帰宅したようだ、3匹に出ていくように伝えて、俺は1匹で花瓶の破片の横でしゃがんでお母さんを待つ。

お母さんが2階へ上がり俺を見つけると、何かを察したのか話かけてくる

「あなたがやったのね?」

ニャーー

つづけて話かけてくる

「ケガはなかった?気をつけなきゃ駄目よ。やってしまったのは仕方ないわ。あなたとの関係が割れてしまう方が悲しい。」

ニャーーー



「またいつも通り食べにいらっしゃいね。」

そう言って微笑み1階へと降りていった。





俺は次の日も神社で皆とゴロゴロしていた。

結局何も日常は変わらずに過ぎていく

この平和がいつまでも続いたらいい

事件なんてない方がいいのだ。


ミケはあれからもモモちゃんと仲良くしようと頑張ってるみたいだな

先日、見つけたハートの石を使って告白したらしいぜ。

無事にモモが受け取ってくれたかって?

さぁな、それは2人にしかわからない事さ


まぁ、またなにか事件の話でよければ皆にお届けするよ。

安心安全の宅急便でね

「またな」

そう言って黒い身体を揺らしながら境内の奥へと黒猫が歩いていった…





終わり



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