被カウンターと横断
今回の記事では、まず体の向きや動作のかんたんな前提を共有した上で、"1+GK on 2"の被カウンター局面における守備側のポジショニングについて分類し、"横断で何が起きるのか"の初歩を整理していきます。
動きやすい体勢
“前後"
おへそ側…進みやすい。足を出しやすい。
背中側…進みにくい。足を出しにくい。
スムーズに移動するためには、体の向きを変えなければなりません。体の向きを変えるには時間が必要です。
"歩幅"
広い…スピードを出しやすい。
狭い…方向転換しやすい。
参考…
https://trainingfor.hatenablog.com/entry/2019/02/24/212604
刻々と状況が変化する競技において、特にボール付近では、特定の場所に早く着くよりも、複数の可能性に対処できる動きが求められるため、細かくステップを踏めるのが理想的です。
"1+GK on 2"の被カウンター局面
3パターンに分けて考えます。下記の通りです。
①ボールホルダー側、ボールの前
②ボールホルダー側、ボールと同じ高さ
③中央(あるいは受け手寄り)、ボールと同じ高さ
なんにせよ不利な状況なので、守りきるためにどうするかではなく、DFの動きが本人と後列のGKにどんな影響を与えるかを確認しましょう。
①ボールホルダー側、ボールの前
(4枚)
DFは大きくボール ホルダー側に動いているため、受け手にアプローチするにしても、GKのファーサイド側をケアするにしても、体の向きと進行方向の両方を大きく変える必要があります。
GKも同様に、体の向きを変えてスライドする必要があります。また、受け手はより遠くでボールを受ける可能性があるため、アプローチに行っていいかどうか、ボールが出るまでわかりません。
ただ、ボールホルダーの前進のスピードを抑えたいとか、受け手はそれほど怖くないなどの理由で割と選択されやすい判断だと思います。
②ボールホルダー側、斜め後ろからのアプローチ
(4枚)
DFは①より体の向きと進行方向を変えずに済みます。ボールホルダーがもたつけばそのままカットすることもできるでしょう。
GKにとっても、ボールはより近くに来ると推測できるため、一度パスが出てしまえば比較的迷いなくアプローチできます。
ただ、斜めにアプローチするので、どうしても横パスを消せるエリアまで行くのに時間がかかるというリスクもあります。
③中間、ボールと同じ高さ
(4枚)
②と比べると、DFは受け手への横パスのコースを消すことを重視し、より短い移動距離で同じ高さまで到達するパターンです。
後方に動きにくい人間の構造を補うため、予め背中側のスペースへのコースを体で埋める発想です。
また、ボールホルダーの前方はGKに任せています。縦と横を守る役割について、交換しないという考え方です。
ボールホルダーの前進を許す一方、DFもGKも体の向きや進行方向を変える必要がないため、ポジショニングや体勢の修正はシンプルです。
引用した動画のファンダイクのカウンター対応はまさにこの形になります。
後列のGKが斜め前へのパスをカットできる距離まできたあたりで、ファンダイクは切り返しなどにも対応できるよう細かいステップに移行しボールホルダーへの圧力を強めていくのがわかるとおもいます。
サイドチェンジをさせるかさせないか
ここまでの考察で、DFのポジショニングとサイドチェンジの関係性が見えてきました。まとめます。
ポジショニングとサイドチェンジ
ボールの前と横、どちらにポジショニングをとるかで、サイドチェンジのしやすさは当然大きく変わります。
また、ボールホルダーへの圧力を強めるか、背中側の受け手に近いポジショニングをとるかはその先の可能性や後列の判断に大きく影響を与えます。
前述の通り、実際には相手と自分の走力差などから感覚的に判断するはずで、DFとしてどちらが正解という話ではありませんが、関係性については抑えておきましょう。
サイドチェンジと体勢
ボールが自分を跨いでピッチ上を左右に移動すると、体勢の変化を余儀なくされます。その際の手間は、対応の遅れにつながります。
横断とチーム戦術
ボールがピッチを横断する際に守備側に求められる変化について整理できました。
"サイドチェンジと前進、どちらを許容するか"は、今回例示したように個人、ユニット双方に関わる判断です。
相手との兼ね合いや時間帯などによってベターな選択は変わるため、唯一の正解はありませんが、"横断に伴う体の向きと進行方向の変化”と”変化に伴う時間のロス"については、チーム戦術を考える上でも重要な要素になってきます。
今回はここまで。ありがとうございました。
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