月をうむ 12
第十二話 地下図書館の古い本
その頃ぽっかり広場では、フクロウが険しい顔つきで思案に暮れていました。
地下図書館のモグラ館長が、月の子に関する記述と思われる古い文献を発見したからです。
それは伝説じみた過去の記録で、昼の世界と夜の世界の関わりについて書かれたものでした。
この箇所を読み、フクロウは、月を取り戻すカギを握るのは月の子しかいないのではないかと考えるようになりました。
そしてこびとたちにヒカリを迎えに行かせたのですが、その頃すでに闇の洞穴はもぬけのからで、そのことをたった今、戻ってきたこびとたちに知らされてフクロウは困り果てていたのです。
「ああ、何たることじゃ。月の子がいなければ、月の復活は望めぬかもしれんのに」
「それだけじゃないですよ」
モグラ館長は言いました。
「月の子について書かれた昔話で先ほどの文献と似た内容のものがあるのですが、そこに書かれている言葉も非常に気になります」
「これは一体どういうことです? 月がこのまま戻らなければ、こちらの夜の世界までなくなってしまうということですか?」
モグラ館長はフクロウの前に本をつきつけて言いました。
闇の洞穴から戻ってきたこびとたちも何が何だかわかりません。
「昼の世界と夜の世界が何の関係があるっていうんだ?」
「大体、昼の世界なんて空想の世界じゃないか」
「そんなことより、この夜の世界が消え失せてしまったら、俺たちはどうなるっていうんだ?」
そばに潜んでいた聞き耳ウサギは、長い耳のアンテナで物知りフクロウとモグラ館長の会話をしっかり聞き取ると、すぐさまこのことをほかの住人たちに知らせに行きました。
まっくら森は大混乱です。
そんな混乱の最中、ヒカリはモジャリの手を引いて、フクロウたちのいるぽっかり広場に戻ってきました。
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