私は先輩を護りたい
先輩の体調が悪いらしい。
先輩は入社3年目で私の教育係。事務仕事が丁寧でミスをしない。チェックが入念できっちり日々の仕事をこなす。自分からは絶対愚痴をこぼさないし、態度にも出さない。いつも優しい。
私が来る前、先輩は仕事が多くて大変だったようだ。その空間に先輩の仕事をできる人がいなかったから毎日夜遅くまで頑張っていたという。
多忙が重なり、先輩は疲れてしまった。
多分、精神的なやつ。
上を向いて歩けば 広く青い大空と
白く柔らかな雲が いつもあなたを見てくれている
あの時は…って思い出話になる日がもうすぐそこまで
とどまることのない 時の流れの中で
今は大きな悩みも 塵となり消えるでしょう
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後ろ振り向かないで 俯いた顔あげて
泣いた今日はもう終わり 笑ってまた明日
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笑って また明日/BUZZ THE BEARS
私は先輩を尊敬している。感謝している。
私の面倒を見させたことをすまないと思っている。
だから、私は先輩を護りたい。
つらいことや難しいことがあったら、助けを求めてほしい。私になんか何もできないのはわかっているけれど、愚痴くらいは聞ける。先輩のためなら掃き溜めにも痰壷にもなるから、無理してほしくない。
また笑って一緒にいてほしい。
上司は繰り返す体調不良にうんざり困ってきたようで、先輩への風当たりはだいぶ強くなっている。
先輩の笑顔を見たいから、今は先輩が教えてくれたことを間違えずこなし、安心させるんだ。私にできることはこれしかないから。