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ヅカデミー賞2022 銀橋賞「娘役部門」


雪組 朝月希和


「メリー・クリスマス!」

2022年12月25日(日)、雪組東京宝塚劇場公演千穐楽。
朝月希和は優しい笑顔で退団のご挨拶を始めました。


無事、千穐楽まで完走できたこと。
千穐楽を皆で迎えることができたこと。

退団のご挨拶なのに、自分のことというより公演やカンパニーのメンバー、客席をはじめこの瞬間を観ている全てのファンと幸せを分かち合うような一言目に、彼女の人柄が滲み出ていました。


公演の中止を経験し、常にいつどうなるか分からない中でモチベーションやコンディション、パフォーマンスを維持向上していく。

経験したことのないプレッシャーを乗り越えトップ娘役を全うし、退団挨拶くらい自分を褒めてもよい場面でも、ファンのことを先に、第一に想う。

この一言目に彼女の人柄と、あとちょっとした(でも真似のできない)センスを感じ、「退団のご挨拶をしっかりと聴くのだ」と力んでいた私の心がほぐれ、安らぎました。


「夢介千両みやげ」のお銀、「蒼穹の昴」の玲玲、いずれも純粋に役と向き合い、誠実に役を生きました。

ただ、それだけではなく彼女の芝居には人間味があります。

それはどんな役の人物も人の子であり、張り詰めたような完璧な人間ではない、ということ。

この抜け感を意図的に手を抜くのではなく、一生懸命さの中で滲み出てくるのが朝月希和という役者の凄さなのだと思います。

10年近く前のヅカデミー賞で、まだ新人公演の学年だった朝月希和への一票の理由に彼女の芝居への賛辞があったことを、私はずっと覚えています。


「Sensational!」「ODYSSEY」では、ダンサー朝月希和の集大成を見ました。

大袈裟にならず、小さくまとまりすぎず、どこでどのくらい切れ味鋭くするのか、逆に柔らかく描くのか・・・全てが最適で常に小気味良く踊ります。

センターにいるから目立つのではなく、どこにいても明らかに表現力が突出しています。


歌唱は観る度に声が抜けて響くようになっており、特に玲玲の銀橋ソロは力みなく天にも昇るような音楽で素晴らしかったです。



2022年だけ見てもよく演じ、歌い、踊りました。
娘役トップの役割、立場においても「朝月希和」という型を確立しました。

これだけ努力し、結果を残し、愛されるトップ娘役が開口一番「メリー・クリスマス!」はずるいです。

カッコいいし、可愛らしいし、舞台人の粋を感じずにはいられません。


真面目に応援し、愛してきて、最後に虜になりました。

夢中にさせてくれたこと、希望と勇気のあたたかな陽を私の心に照らしてくれたことに敬意と感謝をこめ、一票を捧げます。

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