望海風斗の退団に捧ぐ
私なりに人生を賭けて応援し、愛してきました。
時間やお金の話ではなく、心を注いできました。
心を奪われ、捧げてきました。
今、彼女が長い航海を終えるにあたり、私には悲しみや不安、恐れ、悔いがありません。
舞台上で全力で魂を燃やし続けた彼女を観続けてきた充実感、幸福感で一杯です。
退団しても、この気持ちを失うことはありません。
雪組トップスター 望海風斗が本日、2021年4月11日、宝塚歌劇団を退団します。
私にとって最初の大きなインパクトは2012年花組公演「サン=テグジュペリ」のホルスト。
サン=テックス@蘭寿とむを撃墜してしまったことを告白する芝居です。
一場面にも満たないようなシーンなのですが、ホルストがその日撃墜するまでの人生が見えてくるような演技でした。
翌年の「オーシャンズ11」テリー・ベネディクトに打ちのめされて覚悟を決めました。
「この人だ」と。
宝塚歌劇史上屈指の圧倒的な歌唱力をはじめ、ダンス、芝居の技術的な話はし尽くしました。
いくら書いても書ききれず、それでも「ただ凄く上手い人」としか表現できていないのではないかと歯痒くなることもありました。
そういうレベルではないんだ、と言いたくて非力ながら書き続けました。
最後に一つ書くとすれば、彼女は歌、ダンス、芝居がそれぞれバラバラにずば抜けている訳ではなく、舞台人としての総合力が圧倒的だったということです。
例えば語りかけるように歌い、歌うように語る。
踊るような人生を生きたり、歌うような所作を魅せたり。
全てが繋がっていて、芝居ではその役、ショーでは「望海風斗」として観る者の心に迫ってきました。
退団発表の時期に、世界に未曾有の危機が訪れました。
一人の努力や精神論では解決しそうにない危機です。
当然ながら誰も待ち望んだものではありませんし、私も不安な気持ちは消えません。
ただ、この危機に直面して望海風斗はより一層力強く、凄まじいエネルギーと輝きを放っているように感じます。
とてつもない貧乏、とてつもない反社会的勢力、とてつもないモラハラ男。
彼女が苦しい役に出会った時に湧き上がる反骨精神のようなエネルギーが、退団までの道のりを阻もうとする危機を乗り越える糧になっているように見えます。
例えば「足湯がご馳走だ」というほど貧しい役を演じたスターです。
数々の不屈の役を演じてきた方を、私は心から応援してきたのです。
種類は違いますが私たちが直面している苦境でも歯を食いしばり、その中で幸せを見出す力はあるはずだと信じて今日まで辿り着きました。
出来なかったことも沢山ありました。
もちろん残念でなりません。
ですがこの状況下で成し遂げたこと、新たに実現できたことの価値と喜びを感じずにはいられません。
(繰り返しになりますが、当然この危機を望んでいた訳ではありません)
リスクがゼロではない中、実現に関わってくださった全ての方に感謝いたします。
トップコンビお披露目公演遠征の帰路、溢れる想いが抑えきれず伊丹空港のロビーで「雪組新トップコンビ 望海風斗と真彩希帆についての所感 〜世界を変える歌〜 」という記事を書きました。
約3年半、二人の歌は世界を変え続けました。
それは歌だけではなく、ダンス、芝居とリンクした全てのパフォーマンにおいて。
変えるだけでなく、創造する力もありました。
しかし途中で気づきました。
二人が変えたり、想像しているのは物質的な世界ではなく、私たちの心に映る世界、その景色だということに。
だから不安な時代になっても、二人の存在、パフォーマンスは私たちの心に希望を灯してくれました。
どんな時でも希望を持つことができることを、二人に教えてもらいました。
私は「全力で応援する」と勢いづいていたのに、逆に全力で生きる希望をいただきました。
望海風斗と真彩希帆はゴールデンコンビを超越しています。
私が理想だと想像していたトップコンビ像を超えてしまっていて、もはや言葉も例えも見当たりません。
それぞれの技術、精神、相性、磨き上げたコンビネーション、進化し続けたパフォーマンス・・・真の芸術を創造し続けたトップコンビです。
私は私の中で勝手に4月11日を「希望の日」にします。
望海風斗と真彩希帆、二人が創造した希望を永遠にする日です。
どんな時も、特に辛い時に希望を忘れぬよう。
二人を思い出せばきっと心に希望の灯がつくはずです。
ここから先はご提案です。
もし皆さんが共感、賛同いただけるのであれば、皆さんそれぞれが心の中で4月11日を「希望の日」にしてください。
この日は共に希望への祝福を共有しましょう。
私の青春、望海風斗は退団します。
しかし、希望は決して潰えません。
永遠に灯ります。
愛し、応援させていただけたことを心から誇りに思います。
全ての舞台、全てのパフォーマンスに心からの敬意と感謝で一杯です。
こんなにも幸せな時間と空間、人生のひとときはありませんでした。
いい夢だけを観ることが出来ました。
「ありがとう」しかありません。
退団発表の時にも書きましたが、さらに確信しています。
望海風斗と最高の相手役、真彩希帆との「超」ゴールデンコンビの最後の歌は哀歌ではない。
絶対に歓喜の歌になる!
卒業おめでとう!
退団後も絶対にお幸せに!
ただ今日は、今日の舞台が無事、歓喜に終わることを祈ります。
さあ!歓喜の歌を共に!
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