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ウルトロンとアベンジャーズの運命— 10年後に観る『エイジ・オブ・ウルトロン』


1. オープニングからの盛り上がりと再発見

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を10年ぶりに観るという、まさに時を経た特別な体験。最初のシーン、ロシアの軍事基地でアベンジャーズが一丸となって戦うシーンから、思わず胸が高鳴る。その後の壮絶なバトルや、各キャラクターが織り成すコンビネーションは、今観ても新鮮で、当時の感動が蘇ってきた。

でも、改めて観ると、キャラクターたちの成長や微妙な人間ドラマにも焦点が当たっており、当時はただ「ヒーローたちが戦う映画」として観ていた自分にとって、新たな視点が加わったことに驚かされた。特に、トニー・スタークとブルース・バナーの友情や、その裏に隠れた不安定さ。彼らがウルトロンを生み出すきっかけとなるシーンは、今観るとさらに重みが増している。


2. ウルトロン、最強の悪役か?

ウルトロンというキャラクター、あの冷徹で計算高い人工知能が、単なる「悪役」ではないというのは、当時から話題だった。しかし、10年経って再び観てみると、彼の哲学がいかに深いかに気付く。ウルトロンはただ世界を滅ぼすのではなく、人間社会の「進化」を目指している。彼の行動理念は完全に理にかなっており、それがまた恐ろしさを増している。特に、彼が「人類が自ら滅ぼす前に、私がそれを完了させる」というセリフ。非常に冷徹でありながら、どこか自分を正当化するような感情が見え隠れする。

ウルトロン役を演じたジェームズ・スペイダーのボイスパフォーマンスは、実に魅力的で、機械的な冷徹さと感情を持つキャラクターが、スムーズに両立している。彼の存在が、この映画をただのアクション映画にとどまらせない。


3. スカーレット・ウィッチとクイックシルバーの登場

スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)とクイックシルバー(アーロン・テイラー=ジョンソン)の登場が、この映画をさらに複雑で興味深いものにしている。特にスカーレット・ウィッチは、彼女が持つ強大な力が、今後のMCUにおける重要な役割を担うことを予感させる。彼女の能力はただ強いだけではなく、その影響が仲間たちの心に大きく作用する様子が描かれている。

個人的には、彼女が最初にアベンジャーズのメンバーたちに対して仕掛ける幻覚シーンが、特に印象的だった。あの幻想的なシーンは、ただの戦闘ではなく、キャラクターたちの内面的な葛藤を映し出すものとして非常に象徴的だった。


4. ヒーローたちの絆と成長

当時は「ヒーローが集結してバトルするだけの映画」と感じていた部分も多かったが、再度観てみると、彼らの絆がより深く描かれていることに気づく。例えば、トニー・スタークとキャプテン・アメリカの意見の対立。アイアンマンがウルトロンを生み出すことに対して、キャプテン・アメリカはその過程に強い反発を示す。それが、最終的に二人の対立を生み、後の『シビル・ウォー』へと繋がっていくわけだが、その起点をここでしっかりと確認できるのが面白い。

また、ブラック・ウィドウの過去に触れるシーンも、ただのアクション映画を超えたヒューマンドラマが展開されていることを再認識させてくれる。彼女の過去に対するトラウマと、他のアベンジャーズとの信頼関係が一体となって描かれており、単なる戦いの中で人間らしさを感じさせてくれる。


5. 10年後の視点で感じた『エイジ・オブ・ウルトロン』の重要性

映画のクライマックス、ヒーローたちがウルトロンと壮絶な戦いを繰り広げるシーンで感じたのは、ただのアクション映画ではないということ。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は、MCUの未来において非常に重要な役割を果たした作品だったということだ。

ウルトロンが示す「人類が自ら破滅するならば、私はそれを完了させる」という思想は、後の映画『インフィニティ・ウォー』でのサノスの目的に繋がり、アベンジャーズの結束と分裂を描くきっかけとなる。また、スカーレット・ウィッチの登場や、ヒーローたちの個々の問題が掘り下げられることで、MCUがただのアクション映画の枠を超えていく準備が整ったことを実感できる。


結論:再評価された『エイジ・オブ・ウルトロン』

10年ぶりに観ることで、映画の中に込められたテーマやキャラクターたちの内面的な成長、そしてその後のMCUに繋がる伏線を改めて感じることができた。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は、ただのスーパーヒーロー映画にとどまらず、壮大な物語の一部として重要な位置を占めていることを再確認できた。この映画がその後のMCUの運命にどれほど大きな影響を与えたかを、今の視点で振り返るのは非常に面白かった。10年という月日が経つことで、また違った角度から楽しめる作品であることを改めて実感した。


映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は、スーパーヒーロー映画の金字塔の一つであり、ただのアクションではなく、キャラクターたちの成長と深いテーマが描かれている点で、今でも色あせることはない。

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