一日一往復。エッセイ。
元彼と別れて(捨てて)から3年半の月日が経とうとしている。
お前はこういう時じゃないとやらないだろう?
今!今インストールしろ!
そう言われて渋々スマホを動かし、
言われた通りにアプリを入れる。
それは『マッチングアプリ』
それはもう嫌々ダウンロードしたアプリだった。
飲み屋のジョッキ持って半ば強制的に撮られた写真が私のお見合い写真。
これにいいね!は節穴か酔ってるか馬鹿にしているのだろうか?
ぶっ飛ばすぞ???
こんな調子なので自分から時間と労力をかけることは無かった。
ある日のことだった。
なんとなく登録していた趣味嗜好欄の、大好きなバンドのところからいいねをくれた人がいた。
やる気のない私の無礼千万な素っ気ない返し。
に対する丁寧な返事。
好きな曲の話。
向こうの選曲に一目置くことになる。
他の好きなバンドの話やお互い楽器を弾くという話。
人を好きになる感情を忘れていたことを思い出した春。
現代文明が生み出したLINEという素晴らしいツールを使いながら、さながら手紙の様に続く一日一通のやり取り。
この一日一通、エッセイの交換のような緩く細く長く続くやり取りが妙に心地よくて。
下心の沼だと思って鼻で笑い酒の肴にしていたアプリも(いや、私の性格を知った上で強制参加させた友達の英断も)悪いもんじゃないかもとも思ったり。
静かな交換が始まってから3ヶ月。
ようやく会う約束を取り付けた。
最初は恋愛リハビリ感覚で始めたが、
今の私は少し違うベクトルで向き合っている。
顔の知れないこのお返事の筆者と、
顔突合せ腰を据えて話がしたい。
いい大人が恋だ愛だのときめき差し置いて、
秘密基地を見つけた気持ちで君と話がしたい。
波長が合う人だったら、
一緒にいたいと思える人だったら、
一つ、重たい現実を突きつけなくてはいけない未来が待ってはいるが。
刹那かもしれないその時を、
ひとまずは楽しみにしている出勤前の電車の中から。