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7インチ盤専門店雑記753「Quiet Fire」

ピアニストのジョージ・ケーブルズが書いた「Quiet Fire」という曲があります。作者が演奏したヴァージョンは、1994年の同名アルバムに収録されております。

高速パッセージが無茶苦茶格好良い曲です。「ケーブルカー」以外ほぼ知らないに近いピアニストですが、Steeple Chaseからリリースされたこの音源だけは認めているというか好きですねぇ。このヴァージョンは、Ron McClureのベースとBilly Hartのドラムスをフィーチャーしたピアノ・トリオでして、アルバムのほかの曲と聴き比べても、ほかの時期のアルバムと聴き比べても、どうもこの曲だけ突然変異的に格好良いわけです。

この曲、初出は1977年のロイ・ヘインズの「Thank You Thank You」というアルバムです。提供された曲というわけですかね。ロイ・ヘインズのリーダー・アルバムというだけですけど、ここでピアノを弾いているのもジョージ・ケーブルズご本人です。ベースはセシル・マクビーですね。まあ、ベースもかなり頑張っていますが、この曲、どうしてもピアノとドラムスのアンサンブルが気になります。ロイ・ヘインズのドカドカしたドラムスが猛烈に煽ります。ピアノも高速パッセージで煽り返しているような、なんだか物凄い緊張感のある演奏で、作者ヴァージョンよりもさらに格好良かったりします。…というか速いんですよ。とにかく「よく指がつらないな」と呆れるくらい速いんです。

上手い人たちは挑戦したくなるんですかね…。結構いろいろな人たちがカヴァーしているようですが、私が知る限りでドラムスが凄いのがJ.A.M.です。Soil & Pimp Sessionsのメンバーの3人がやっているピアノ・トリオです。丈青のピアノはもちろん上手いのですが、みどりんが頑張っています。ロイ・ヘインズに勝っているかもと思いたくなる音源です。みどりんの少しロック寄りのテイストが功を奏しているかもしれません。しばらくハマりまくった音源です。

そして、最近またこの曲をやっている面白い動画に出くわしまして、繰り返し聴いております。お着物でピアノを弾くMiki Yamanakaさんですが、やはりかなり面白い音源です。トランペットがいるカルテットですが、ここしばらくで見ていて最も面白い動画です。やはり高速パッセージの応酬ですが、なんだか楽し気にやっているので、さほど辛そうでもありません。「お、そんなに速く始めて大丈夫か」と思っていたら、他の連中はサラッと返してきます。かなりうまい人たちです。

Miki Yamanakaさん、ちょいと芸人風の佇まいで、なんじゃこりゃと思いたくもなる動画ですが、やっていることはかなり尖がったジャズでして、見るたびに引き込まれて、結果的に見続けてしまいます。コロナ禍で動画配信を始めたようですが、お着物で日本のカルチャーを云々言っておりますけど、…弾き難くないんですかね?日本人が見るとビックリする日本人ですけどね。ニュー・ヨークで活動されているようですが、頑張って欲しいですね。一見の価値ありですよ。

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