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7インチ盤専門店雑記820「Peanuts」
1989年リリースの「Happy Anniversary, Charlie Brown!」というピーナッツの40周年記念CDがあります。これのアナログ盤が欲しくて探したんですけど、見つけられないままです。…そもそも、あるのかどうかも分かっておりませんでした。今ならネットでちょいと検索すれば答えが分かるのかと思ったのですが、この盤のWikipediaを見ても情報はありませんでした。1989年リリースというのは実は微妙でしてね。米国盤ならあってもおかしくはない時期なんです。でも見たことないんです。
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何気に好きな盤です。ジャズ/フュージョンの錚々たるメンツが参加しておりまして、当時はそれなりに話題にもなりました。曲は全てテレビ・シリーズで使われたVince Guaraldi作のものです。参加したのは、ジェリー・マリガン、デイヴ・ブルーベック、チック・コリア、デイヴ・グルーシン、デヴィッド・ベノワ、リー・リトナー、パティ・オースティン、ケニー・Gといったあたりです。そして、どういうわけか、ここにB.B.キングも参加しております。…ちょいと異色です。
他にもピーナッツ関連というか、ピーナッツ・リスペクト的なアルバムはいろいろあるようです。スヌーピーは世界中で愛されていると言われるわけで、ピーナッツ・グッズを集めていらっしゃるコレクターさんも相当数いらっしゃいますからね。
1991年にはデイヴ・ブルーベックの「Quiet As The Moon」がリリースされました。まあこれはもうLPを探すこともしませんでしたが、これだって無いとは限らないんですけどね。…デイヴ・ブルーベックにそれほど思い入れがあるわけではないですからね。
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そしてもう一枚、1995年にウィントン・マルサリス&エリス・マルサリス名義で「Joe Cool's Blues」がリリースされました。これはVince Guaraldi作の6曲に加えて7曲がウィントン・マルサリスの書下ろしですが、渋いんです。題材がピーナッツであれ、全然妥協はしておりません。ジャズ・アルバムとして、何等他と比べて遜色なく聴くことができ、ときどき聴き馴染んだメロディが出てきて、ニヤッとさせられる好盤です。これは好きなアルバムでしたねぇ。そして、Joe Coolですよ。Joe Cool's Bluesですよ。この人たちは分かっているなぁと思ってしまいましたね。
別に「アメコミが…」とか「いやいやセサミ・ストリートの方が…」とか言う気もないのですが、アメリカのサブカル近現代史を語る上で、やはり欠かせない存在ではあると思います。他ジャンルだとしてスルーすることだってできるものでしょうが、あえて題材として取り上げるのは、このピーナッツ村の仲間たちには、優秀な黒人のフランクリンもいるわけで、分断よりも融和を望んだメッセージかとも考えられますからね。かなり尖がっていたウィントンも、少し丸くなったかといった印象を持ったものでした。まあ人気キャラクターを取り上げて、反感を買うこともありませんでしょうし。…そして、チャールズ・M・シュルツ氏も楽曲使用を許諾しないという手はないでしょうからね。
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