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7インチ盤専門店雑記912「ロバータ・フラックとサム・クック」

昨夜はnoteのオフ会が開催され、パリのムーンサイクルさんともビデオ通話で繋いだりしながら、わいわい楽しくやっておりました。次回はできるのかな…などと考えると寂しくなりますが、現体制は3月までで終了しますから、4月以降どなたか手伝ってくれる人が現れない限り、お店は終わってしまいます。

昨夜はバイト君にドタキャンを喰らい、結構混んだランチが終了して一旦帰宅したMさんが「19時までなら…」と再度駆けつけてくれました。結果20時近くまで手伝ってもらうことになってしまいました。Mさんには感謝してもしきれないですね。

オフ会の他にもお客様が入っており、キッチンから離れられない私は時々レコードのチェンジに駆けつけながらバタバタとやっておりました。具合が悪いと言いつつ、こうやって負荷がかかるような日々が続いておりまして、今月の売り上げは記録的な様相を呈しておりますが、気持ち的には昨夜で「もう店を閉めるべきかも…」という方向に大きく傾いてしまいました。どなたか手伝ってくれる方、もしくはお店をやりたいという方、いらっしゃいませんかねぇ…。

閑話休題、連休明けの一昨日、ロバータ・フラックの訃報が朝一で飛び込んできました。その日は「嗚呼ついにきたか…」という感覚を引きずったまま仕事をしておりました。いきなり悲しいとかいった感情は生まれないもので、好きだったアーティストの訃報に接したときは、しばらく空白の感情に取り込まれたりするものです。長年聴き馴染んできたアーティストであれば余計に空白が大きかったりします。

ランチ過ぎの時間にじんた堂さんがご来店くださり、「ロバータ・フラックが亡くなりましたね」とおっしゃいます。直ぐにロバータ・フラックの動画を流し始めたのですが、しばらくしてレコードに切り替えました。自分は朝既に「やさしく歌って」を聴いてから出勤しており、レコードで聴くというつもりもなかったのですが、慌ててLPと7インチ盤をかき集めてきました。じんた堂さんが「レコードを持っていたのに見つけられなくて…」とおっしゃっており、ちょうど良い機会かと思って、針を下ろしてみました。どうもチリノイズが気にはなりますが、低音が素晴らしく前面に出てきます。

かなりボリュームを上げて聴いていたのですが、普段はあれだけの音量で鳴っていると、他のお客様は本好きのスペースに入られるのですが、何故かこの日は音楽好きのスペース側に複数入られましてねぇ…。今更にボリュームを下げるのも気が引けるのでそのままにしておいたところ、外国人のお兄さんが「Good sound!」などと言って話しかけてきまして、「今朝ほど亡くなった」ということを伝えると、かなり驚かれてスマホでニュースを読んだりしておりました。

それでも気になるのか、再度「どのアルバムが好きか?」などと話に加わってきます。悲しみに浸るでもなく、一緒に写真を撮ったりして忙しくしておりました。ダニー・ハサウェイと一緒に作ったアルバムなどを一通り聴いたところでじんた堂さんがお帰りになったのですが、その辺りから、件の外人さん、サム・クックがお好きだということをおっしゃってましたから、リクエストされたわけでもなかったのですが、ベスト盤をかけてみました。

そうしたところ、本当にお好きなんですね…、うっすら涙を浮かべて聴きながら、「友達に送りたいからあなたとレコードの写真を撮らせて」などということになり、再度撮影会です。さらにもう一しきり感激しまくり、感謝しまくって閉店のお時間となりました。…「絶対また来る」と言いながら、名残惜しそうでしたねぇ…。そんなわけで、ヘッダー写真はサム・クックのアルバムが一緒に写り込んでいるわけでした。

彼は「Bring It On Home To Me」と「Nothing Can Change This Love」が好きと言うので、「私は「A Change Is Gonna Come」が好きかな」などと言いつつ全部聴いたわけですが、ヴァイナル・カフェ的な体験はなかなかに新鮮だったようです。日本に居てはなかなか知りようもないマイノリティの苦労などを一瞬感じながらも、楽しく握手して「またおいで〜」と楽しくお見送りしましたが、果たしてまたお会いできますますやら…。

そんなわけで、ヴァイナル・カフェとしての基本線、今週はずっと爆音で鳴らしております。音楽を楽しむ環境を維持して行くのもなかなか骨が折れるもので…、10年続けてきたことに自分でも感心しております。もう少し頑張ってみたい気持ちもないわけでなし、たった一度きりの人生ですから、悔いのないようにはしたいものです。

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