「共作合作」制作後記
25:06〜 「宇宙戦艦ヤマト」パート
制作後記:駆け抜けた「共作合作」の軌跡
2024年某日、amegaさんが主催する「共作合作」という企画が発表されたとき、私の胸は高鳴りました。
ニコニコメドレー合作という形式は、これまでにも多くのメドレー作者たちが手を取り合い、無数の名作を生み出してきた歴史があります。
正直、生半可な企画にはもう参加しないつもりでいました。
しかし、この企画のユニークな点はすべての参加者が必ず共作でメドレーを作るというルール。
つまり、単独で完結させるのではなく、誰かと協力しながら、一つの楽曲を形にする必要があるという画期的な企画。
この企画をきっかけに、今まで組んだことのない人と組めるかもしれない……そんな下心半分で、参加を決めました。
私が共作パートナーとして組むことになったのは、「アラビックヤマト開眼式」さん。
名前からしてただ者ではない雰囲気を漂わせる方で、案の定、実際に対話を重ねる中でその発想力に圧倒されることになります。
「駆け抜ける」というコンセプトの原点
共作相手が決まった後、最初に話し合ったのはテーマ設定でした。どんなメドレーにするのか。
ニコニコメドレーには、曲のジャンルや選曲基準、構成に応じてさまざまなスタイルがあります。
例えば、王道メドレー、特定のコンセプトや縛りを組み込んだもの、あるいはカオスと笑いを極限まで追求したものなど、可能性は無限大。
私たちが選んだのは「駆け抜ける」というコンセプトでした。
テンポ感を重視し、切り替わりの速い展開で聴き手をぐいぐい引っ張る構成にする。
ニコニコメドレーというジャンルの中で、駆け抜ける合作を主催してきた私にとっては「原点回帰」とも言えるような方向性です。
「ニコニコメドレーは、まさに駆け抜ける音楽体験そのものじゃないですか?」
チャットでの話し合いでアラビックヤマト開眼式さんがそう語った瞬間、私もこのアイデアに惹きつけられました。
スピーディーな展開の中で、リスナーをエモーションの渦に巻き込みたい。そのためには、「選曲」「構成」「サウンドデザイン」の全てが重要な鍵を握ることになります。
選曲構成の戦い
選曲は、共作メドレーの中核を成す重要な作業です。私が設定した構成基準は、「とにかく自分のやりたい繋ぎを詰め込むこと」でした。
しかし、ここで一筋縄ではいかなかったのが、アラビックヤマト開眼式さんとの構成の兼ね合い。
私はやりたい繋ぎをベースに構成を組んでいるのに対し、アラビックヤマト開眼式さんはとにかく最近知った好きな曲を詰め込みまくっているようでした。
時には「この構成で本当に大丈夫か?」といった議論も白熱しそうになりました。しませんでしたが。
最終的にはお互いに譲り合い、全体としてバランスの取れた構成が完成。お互いにMIDIを投げ合うことになりました。
アレンジ作業:互いの色を尊重しつつ融合
楽曲アレンジは、お互いの個性をどこまで押し出し、どこで妥協するかが問われるフェーズでした。
アラビックヤマト開眼式さんの強みは、安定したアレンジ。シンプルながらも確かなバランスとクオリティを出してきます。
一方、私はアレンジの環境も最近一新したばかりで、洗練されたアレンジとは程遠いものでした。
「ここ、もうちょっとリズム崩して遊んでみたらどうです?」
「いや、ここは王道を守った方がリスナーに刺さると思います」
お互いの意見をぶつけ合うそんな議論も特に巻き起こらず、最終的にはアラビックヤマト開眼式さんのサウンドに寄せる形にしました。
特に挑戦的だったのが、共作名義を「宇宙戦艦ヤマト」にしようと決めた時に、「宇宙戦艦ヤマト」の楽曲が入っていないことに気づき、二人の構成・アレンジが入れ替わるタイミングにねじ込んだことです。
相方の構成にねじ込むという神をも恐れぬ行為にお互い侃侃諤諤の議論を積み重ねましたが、最終的には合意を得られ、いい感じにまとまったと思います。
制作を通じて得たもの
共作での制作は、ソロ制作とは全く異なる学びを与えてくれました。
相手の視点を尊重すること、自分のアイデアを論理的に説明する力、そして全体を客観視すること。
特にアラビックヤマト開眼式さんから学んだ「遊び心」は、これからのクリエイティブ活動において私の武器になるでしょう。
未来への展望
「共作合作」は、私にとって大きな挑戦であり、成長の機会でもありました。
この経験を活かして、今後はさらに多様なスタイルのメドレーに挑戦したいと思います。
また、共作という形式の可能性を深めることで、ニコニコメドレーというジャンルそのものを進化させたいという願いも抱いています。
最後に、この場を借りて共作パートナーであるアラビックヤマト開眼式さん、そしてこの企画を運営してくださったamegaさんに深い感謝を申し上げます。
駆け抜けたこの経験は、私のクリエイター人生の一つの宝物です。