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ツンドク?読んどく ⑧
春の嵐と河津桜と田中一村 2021/03/03
弥生三月❀
河津桜満開❀
西側の窓を揺らす春一番❀
春の嵐吹こうと春が来るのは嬉しいものです。
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2月は読書三昧の日々だった。
一冊の本から繋がる本の縁(えにし)を辿った読書。
実り多し。
2月末に行った田中一村展
そこで買った田中一村についての二冊の本、特に『日本のゴーギャン 田中一村伝』南日本新聞編 に深く揺さぶられた。
『アデンの画帖 田中一村伝』が改題され『日本のゴーギャン 田中一村伝』となったらしく、展覧会を見終わって、ミュージアムショップでタイトルを見たときの違和感(作品から受けた印象からのみ感じた印象)は、一村伝を読み、生涯(特に晩年)、画風も一村は日本のゴーギャンなんかではないと確信、清と濁。亜熱帯の植生を絵画のテーマとしたことがゴーギャンとの類似点。
それにしても凄まじい画道。
聖(ひじり)の修行そのもののような生き方。
奄美に移住してからの生き方の凄さにはぁ~っとため息をつきながら読み進め、我々が目に出来る最晩年の一村の唯一であろう写真を撮影した写真家・田辺周一さんたち三人の若者、奄美での一村の最晩年を支えた奄美焼き窯元ご夫婦との出会いを綴った章は、ぬぐってもぬぐっても涙が落ちた。
彼らとの出会いがなかったなら、一村の魂の作品群は、世に出ることもなかっただろうと考えると、縁(えにし)というものは人智の及ばない運命の如きものなのだとつい考えてしまう。
2月の読書は、梨木香歩氏の文庫版『雪と珊瑚と』の解説から始まった。
解説は自分にとって的を得ている時もあれば、いや違うんじゃない?と思うこともあるが、平松洋子氏の解説はドンピシャで、そうそう、その通りです!私の拙い文章力では自分の読後感を伝えられなかったけれど、その通り!といった風の見事な解説文。
で、平松洋子さんの著作を、図書館HPで検索、借りて読み、ありゃま、名文、鋭い、これはクロワッサンの発刊当時の感性ですねとか思いながらエンジョイした。
一番は?と自分に訊くなら『食べる私』かな?
各界の著名人との対談。それは見事に対談相手の人となりを食べ物から引き出して、対談相手に、精神科医と面談したような、と言わしめる質問と文章力。すごい!平松洋子さん!
この対談集から、興味を抱いた方たちの著書を読むという、そういった読書となった。
辻芳樹氏の二冊の著書も読みごたえあり。
『和食の知られざる世界』
『すごい!日本の食の底力 新しい料理人像を訪ねて』
名著。
辻静雄を父に持ち、幼い頃から味覚の英才教育を受け、世界の食を俯瞰的に見つめ続けてきた辻調グループ代表・辻調理士専門学校校長である氏の、説得力のある食文化論。
辻芳樹氏の著書を読みながら、ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)という言葉が浮かんだ。
やはり対談相手の一人、ヤン ヨンヒ氏の著書
『兄 かぞくのくに』
ヤン氏のドキュメンタリー作品は、二作は鑑賞済み。
本は初めて読んだ。感涙。
イデオロギーと個々の人間、国家。
ヤン氏のお母様の人生を描く新作ドキュメンタリー『スープとイデオロギー』の完成・公開が実現できることを願って。
春の風、今も吹き荒れる弥生三月。
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