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時空制裁 ギンガジャスティス(前編)

投稿するほどのネタがないのとはいえこんなにおひさになったのを反省
毎日書き続けられる作家とは如何にスゴいものなのかと思い知った

今日仕事中にふと昔のとある出来事を思い出し
振り返っているうちに文書にしてみたらおもしろそうだなと思い
ここに記しておきたくなる気持ちがなんだかムクムクと芽生え
こうして作家活動再開なのである

全く意味不明なタイトルだとお思いだろうが
以下に語るお話を聴いてくださればその意味もお分かりいただけるだろう


それもはもう随分と過去のこと
オレは某家電量販店でアルバイトをしていた
後に稀に売り場にも立たされることもあったが
基本的には倉庫整理と配達物の準備の仕事の要員としての採用だった

物覚えはいい方なのとコミュ力は一定水準はあると自分では思っている
そのため持ち場周りのスタッフらとも早々に打ち解け
なかなかに楽しく業務をこなしていけてる毎日だった

倉庫番は総勢2名
先輩ではあるがオレと同い年の男性
そして新人のオレとの2人に任されていた

朝に10tトラックから降ろした大量の入荷物を倉庫の各所に仕舞い
ひと段落したし休憩でも取ろうと先輩が言う
これまでずっと独りで倉庫番をしていたとか
そこにオレが来てくれて楽になったとか
同い年のため学生時代はこんなことが流行ってたなとか
そんな談笑をしていた搬入口の休憩所に

怒声が響く

「おい!! ○○(先輩の名前)!!」

オレが見たことのない売り場のスタッフだ
このアラフォーくらいの男性はめちゃくちゃ怒ってる

「お前さあー!!」

と言いながらオレにぶつかりながら休憩室に入ってきて
先輩の胸ぐらをつかみ立ち上がらせ
そのままの勢いで彼を押して壁に背中を叩きつけて
大声のままなにやら鬼詰めしている

先輩はとにかく平謝りでその鬼(アラフォー)の怒りを鎮め
なんとか巣(売り場)へお帰りいただくことに注力していた

鬼帰りの儀を終えた後に先輩にことの顛末を聞いてみると
どうやら昨日の翌日の配達準備分に不備があったらしく
それを𠮟責していたのだという
あんな怒り散らかすくらいの不備とは何なのか?
と再び訊ねると
掃除機の紙パックだったかフィルターだったかの消耗品的な小物だという
たしかにミスは良くないのかもしれないが
大物家電や売り場に1点しかないものとかではなく
いつでも大量に店内に在庫があるような小物なら
あんなに大声を出さなくてもいいのではあるまいか
そしてアレはどなたなのかと聞くと
この店の次長ポジに就いているS次長なのだという

このS次長という男性は
このように己の機嫌次第で他人を恫喝したり
部下の売り上げの成績を奪ったり
特定の家電メーカーとズブズブな関係になって
なにやら闇風なよくないことをしたり(これは証拠なし)
悪辣の権化のような人間なのである

とある日には搬入口に突如現れ
休憩しているオレを見つけると
何の理由もなく仕事が遅いと難癖をつけ
「お前 明日から来なくていいぞ」
と言うので
あっはいスンッとだけ伝えると
足元にあった空の段ボール箱を思い切り蹴飛ばして
おもしろくなさそうに売り場へと戻って行ったが
翌日オレはフツーに出勤した(当たり前である)

そんな倉庫番を始めて3~4ヶ月も経った頃だろうか
売り場をはじめ店内の全スタッフとも仲良くなったころの夕方
16時前くらいで窓の外はもう夕暮れになっていたので秋口だっただろう
オレはいつもの搬入口の休憩所ではなく
売り場スタッフが使う方の休憩所兼ロッカールームで
休憩時間が重なった者同士3人ほどで談笑をしていた

「そうだ銀さん(オレのこと)ちょっと聞いてよ」
聞こう
「S次長さー あの仲のいいメーカーいるじゃん」
いるね
「あの人からさ なんかラ王をカートンで貰ったんだって」
なぜ家電メーカーがハイエンドカップ麺を?
「そんなに貰ったのに誰にも分けないで全部ひとり占めにしたんだよー?」
うわあ……

聞いているうちにどんどん腹が立ってきたので
おもむろにオレは立ち上がり
S次長のロッカーを開ける
話の通り大量のラ王が積まれていたのでそのうちのひとつを取り出し
お湯を入れてその場で平らげてやった
それを見ていた休憩仲間は
「すげえ この時間にラーメン作って食ってるゴクリ…」
みたいな顔でこちらを見ていた

結局その家電量販店でのバイトは1年半くらい続けることとなるが
辞めて5~6年経ったある休日のこと
まだそこに在籍中の友人(この時は他店に転勤している)
とメールをしていると
「あそうそう S次長さ」
出たS次長
「今度店長になったらしいよ」
は??

部下や後輩の成績を奪って店長になったのかと思うと
ココロの内側から芽生えてくる何者かがいた

みんな待ってろ
オレが行くぞ
オレはその家電量販店のホームページを開いた

              ―――後半へ続く



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