「ヒードラン」は本当に神話のポケモンなのか?
も終わり、すっかり涼しくなってきたこの頃。
まるで灼熱のマグマのような暑さが恋しくなってくるのではないか。
そんなマグマの中から姿を現すのがこのポケモン。
ヒードラン。
「十字の爪を食い込ませて壁や天井を這い回る」という衝撃の図鑑説明に度肝を抜かれたプレイヤーは当時多かったはず。
問題はそれだけではなかった。
・上述した伝説のポケモンとは思えない図鑑説明
・図鑑上♂♀両方が確認されている(=普通に複数個体存在し生殖も恐らく可能)
・アニポケDP169話にて「“ふんか”を覚えた珍しいヒードラン」と発言がある(珍しいヒードランがいるということはヒードランそのものは珍しくないということであり、通常の個体は噴火を習得できないことが知られているということはヒードランの生態はある程度研究されている)
というように、世界観的にはちょっと強いだけの一般ポケモンであることが示唆されている。
しかし、伝説らしい伝説がないわけでもなく、DPtのNPCより
「シンオウ地方が生まれた際にこぼれた火の玉からハードマウンテンと共に誕生したポケモン」
という話を聞くことができる。
これは恐らく日本神話の迦具土をモデルにした逸話であると推測できる。
迦具土:伊邪那岐と伊邪那美が日本列島を作った際に生まれた火の神だが、産み落とされた際に伊邪那美は陰部に火傷を負い、怒った伊邪那岐によって殺害されたとされる。その際に迦具土の血から複数の神が生まれたとされている。
ここで、一つの疑問が生じる。
なぜこのような逸話がありながら、ヒードランはシンオウ神話で語られることがなく、人々に伝説のポケモンとして認識されていないのか?
ということである。
一応上記のNPCから聞ける逸話はシンオウ神話の一部と捉えることもできるが、それにしては図鑑の説明文にも一切見られず、ミオ図書館の文献などにも一切書かれていない。
この話はあの老人とバクの祖父からしか聞けないため、ジジイたちの妄想だという可能性もなくはないが、一応この現象を説明できる発言が公式からされている。
要するにポケモンの世界での神話も、現実と同じニュアンスで存在している場合があり、実際に史実としてそのようなことが起こったとは限らないということである。
つまり、ヒードランに関する伝説は単なる言い伝えにすぎず、実際は個体数の少ない通常ポケモンだということになる。
しかし、私は別の可能性を考えた。
ヒードランがもし本当にシンオウの誕生と共に生まれたポケモンだったら
シンオウ神話においてディアルガ、パルキア、ギラティナはそれぞれ天照大神、月読、須佐之男命がモデルとされ、それになぞらえた設定がそれぞれに存在する。また作中で披露した彼らの能力などを見るにそれらは単なる神話ではなく史実である可能性が極めて高い。
しかし、そんな中でヒードランだけが通常ポケモンで設定を人々によって盛られているなどということがあるだろうか?
ちなみにヒードラン同様「歴史から抹消された」「語られることの無かった」とされるポケモンがもう1体いる。
そう、ギラティナである。
(LEGENDSアルセウスによると正確には)人々に認知されなかったのではなく、アルセウスに牙を剥いたために人々のギラティナへの信仰が途切れ、そこから神として崇められなくなったというのが真実とされる)
つまり、「シンオウにおいて、アルセウスに牙を剥いた者は人々からの信仰が途絶える」ということが成立するのではないだろうか。
ここで、先ほどの加具土の逸話を振り返ってみよう。
ヒードランのモデルとされる加具土は、母である伊邪那美に火傷を負わせたために伊邪那岐によって殺害されたとされる。これをシンオウ神話に当てはめると、ヒードランも同様にアルセウスによって制裁を受けたことになる。
つまり、元々アルセウスは♂♀に該当する二柱おり、ヒードランが産み落とされた際に♀側が火傷を負い死亡しているのでは、という想像ができなくもない。
ヒードランが一切人々から信仰されておらず、あたかも一般ポケモンのように扱われ、普通に繁殖しているのは、アルセウスによる一種の呪いのようなものではないだろうか?
ディアルガ、パルキア、ギラティナは「アルセウスの分身」とされており、HGSSにおけるシント遺跡イベントにおいてもアルセウス一柱で彼らを誕生させているので、彼らの誕生にはアルセウスは一柱いれば十分かもしれない。
しかし、ユクシー・アグノム・エムリットは「タマゴから生まれたとされる」とゲーム内に記述がある。ポケモン1体では産卵は不可能。もしも彼らが一つの卵から誕生したのであれば、アルセウスは二柱存在したということも充分にあり得る。
まぁ、もしアルセウスに牙を剥いた存在なら、ギラティナのように追放され、レジギガスのように一族が滅ぼされたりと散々な目に遭っていてもおかしくないのだが、ヒードランがゴキブリ通常ポケモンのような扱いで済んでいるのはいささか違和感があるかもしれない。
ただ、こういった想像の余地もあるということだけを本記事に記しておく。
また機会があったら考察していきたい。