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「ウルトラマン」という名称

私はウルトラマンが好きでよく見ているのだが、今まで見てきた中に気になるセリフがある。

「ウルトラマンキング!」

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』において、ウルトラマンベリアルが封印された回想シーンでのウルトラマンケン(ウルトラの父)のセリフ。

当たり前のようにウルトラマンキングの名前を呼んでいるが、シリーズに詳しい人はこの台詞がおかしいことに気付くはず。

そう、この頃のウルトラの父は角が短く、髭も生えていない。しかもゾフィーの胸のブレスターもないため、時系列的に明らかに『ウルトラマン』以前の出来事であるとわかる。

しかし、「ウルトラマン」という名称は作中では人間(ハヤタ)がつけた名称であり、元々地球人がウルトラマン族に対して一方的に用いていた名称であるとされている(※)ため、初代ウルトラマンが地球に飛来するまではこの名称はなかったはずである。

※『ウルトラマンメビウス』第1話にてウルトラの父が「あの星(=地球)では我々をそう呼ぶ」と発言していることから。

シンプルに考えるのなら、これは時系列まで考えていなかったスタッフのミスとするのが自然だと思う。
しかし、私は無理矢理この矛盾を説明するため、別の可能性を考えた。

結論から言うと、この「ウルトラマン」という名称は元々ウルトラマンキングを指す名称だったのではないかというものである。

まず、ウルトラマンキングについて簡単に説明すると、ウルトラマンの中でも卓越した力を持ち、神に等しい能力を持つとされる(公式書籍でも「できないことはない」とされるほど)。一般的なウルトラマンとウルトラマンキングの力の差は人間とウルトラマンのそれに匹敵するとも言われている。つまり、彼はウルトラマンたちから見ても(地球人から見た)ウルトラマンのような存在だと言える。

このことから、ウルトラマンキングは、他のウルトラマンたちが自身も「ウルトラマン」と呼ばれるようになる以前は、ウルトラマンキングのことを「ウルトラマン」と呼び崇め称えていたのではないか。

ウルトラマンキングは「伝説の超人」という異名を持っている。
他のウルトラマンは「~の巨人」「~戦士」といった異名を持っているのに対し、ウルトラマンキングだけが「超人」である。これはウルトラマンキングが他のウルトラマンとは次元の違う存在であることを示しているのだが、「超人」はそのまま「Ultra man(ウルトラマン)」と英訳することができる。

また、『ウルトラマン』第1話にて、ハヤタがイデ隊員に自身を助けてくれた宇宙人(=ウルトラマン)の名を聞かれた際、「じゃあ“ウルトラマン”ってのはどうだ?」と提案し、そのままウルトラマンという名前が定着するのだが、このシーン、「ハヤタが名前のなかったウルトラマンに名前をつけた」と「ウルトラマンが自らの意思で(ハヤタの口を借りて)名乗った」という2通りの解釈ができるという話は有名だが、もしこれが後者のパターンで、「ウルトラマン」が本来ウルトラマンキングを指す名称であったと仮定した時、初代ウルトラマンはウルトラマンキングに憧れてその名を拝借したのではないかという想像もできる。この時、ウルトラマンキング以外のウルトラマンも人類に「ウルトラマン」と呼ばれるようになり、次第にウルトラ戦士全員がその名を名乗るようになったと考えれば、「ウルトラマンという名称は人類が勝手に付けて勝手に呼んでいたもの」という設定も筋が通る。

いかがだっただろうか。

まぁ、時系列の矛盾は他にもあるので(※)、それらも考え出すとキリがないし、今回に関しても単なる「スタッフのミス」と考えたほうが無難だろうが、一応こういった解釈も可能だということを示しておく。
(多分『ウルトラマン』以前の時系列で「ウルトラマン」という名称が用いられているシーンは他にもたくさんある)

※例として、ウルトラマントレギアが闇落ちしてハンターナイトツルギとなる以前(『ウルトラマンメビウス』以前)のウルトラマンヒカリのことを「ヒカリ長官」と呼んでいることなどが挙げられる(「ウルトラマンヒカリ」という名称はGUYSのアイハラ・リュウが『メビウス』作中でつけた名前)。ただし、元々ウルトラマンヒカリは「ヒカリ」という名前で、偶然リュウがつけた名前が完全一致した可能性もなくはない。

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