テセウスの船考察~石坂校長黒幕説~
TBSドラマ「テセウスの船」で起こった一連の事件について、最終回前にラスト考察をnoteにまとめます。
結論から言うと黒幕は石坂校長で、加藤みきおの異常性とそれを守る木村さつきの愛情を上手く利用した。
石坂校長の目的は「佐野文吾を音臼村から追い出すこと」
順を追って説明していきます。
田村心がタイムスリップする前の、由紀ノートにまとめられた時間軸Aを下記の表にまとめました。
時間軸Aで音臼小無差別殺人事件でオレンジジュースに青酸カリを混入したのは加藤みきお。
そして、木村さつきは加藤みきおが音臼小無差別事件の犯人であることを知っている。みきおを養子にして育てながら、愛する息子が殺人犯で捕まることがないように、佐野文吾の死刑を願い、毎年被害者の会に顔を出しながら、みきおが犯人である証拠が出ないように見張っている。
そして、田村心がタイムスリップして変わった過去を時間軸Bとし、比較表を作成しました。(田村心の行動により状況が好転した部分を青字、悪化した部分を赤字としています)
未来から来て、これから何が起こるかわかっている田村心が、音臼村に起こった不可解な事件や事故を防ごうとしている。
にも関わらず時間軸Bでははっと汁に青酸カリが混入され、結局音臼小無差別殺人事件は発生してしまった。
その理由は、主犯の加藤みきおとそれを守ろうとする木村さつき以外に、その2人を上手く利用した黒幕がいるからだと思っています。
そして、その黒幕は石坂校長で考察していきます。
石坂校長を疑った理由としては、校長室にあったデッサン人形が、
子供みきおの部屋にもあり、
大人みきおの部屋にもあったこと。
この事から考えられるのは、絵の得意な石坂校長が音臼小で絵を教えてた可能性があるということ。
つまり石坂校長は絵の授業を通して、生徒たちの絵の特徴やタッチを知っており、校門に貼られていた絵を見ただけで加藤みきおが書いたとわかるのではないだろうか?
石坂校長はかなり早い段階で加藤みきおの異常性に気づいていた可能性があると思っています。
時系列で考察していきます。
1989年1月初旬
9話で一瞬映った由紀ノートより、田村心がタイムスリップする前に音臼村のウサギや野良猫に被害が出ていた。
この犯人は加藤みきおであり、家族に愛されない寂しさとイジメによる腹いせからの動物虐待。
そしてみきおは大きな計画を立てる。
それはイジメの仕返しとして、イジメてた連中と見て見ぬふりをした全員に復讐すること。
お楽しみ会で大量殺人を行い、歴史に残る大犯罪を犯したい。
そして、この時点で木村さつきはウサギや野良猫の不審死を加藤みきおの仕業かも?と気づいていた可能性あり。
さつきは思う、みきおは幼いころに両親を亡くし、家族の愛を知らないから異常な行動を起こすのかもしれない。でも自分には懐いてくれる、もし可能ならばみきおを養子にして育てたい。
みきおを愛情たっぷりに育て、それを目標に人生を張り合いのあるものにしたい。
身寄りのない生徒を先生が養子にするということについて、さつきは石坂校長に相談していた可能性がある。
そして、この時点で石坂校長は加藤みきおの異常性とそれを守る木村さつきの愛情に気づいていた。
ここから事件は起きることになる。
1989年1月7日
三島千夏ちゃんパラコート誤飲事件発生。
犯人は加藤みきおで、お楽しみ会に向けて人間にパラコートを飲ませる実験をした。
みきおの父親が医者であることや、家の本から毒の知識はあり、そしてこの時みきおは少量の青酸カリを持っていたと考えています。
青酸カリは持っていたが、お楽しみ会で大量殺人ができるほどの量は持っていない。
だからこそパラコートで人間に対して実験を行った。理由は、成功すればパラコートはそこら中の家にあり入手は簡単だから。もし青酸カリを使うなら大量に入手しなければいけない。
しかし、パラコートは予想外に時間がかかってしまう。
このワープロを打ってるのは加藤みきお本人。
この時点では人に罪をかぶせようと考えておらず、あくまで自分の歴史に残る大犯罪の記録を残したかったからだと考える。
田村心がパラコートを捨てたのに三島千夏が亡くなったのは、「時間がかかった」というセリフからすでに飲まされていたから。
そしてこの時、石坂校長と木村さつきはこのパラコート中毒が加藤みきおの仕業だと少し疑っていたのではないだろうか?
だからこそ、様子を見るためにいっしょに通夜に来た可能性がある。
1989年1月8日
パラコートでは予想外に時間がかかり、青酸カリを入手したくなった加藤みきおは、長谷川翼に青酸カリを盗んでほしいと脅迫する。
この時、長谷川翼が小学生の加藤みきおに逆らえない脅迫材料として、翼のカメラの写真の中身がすべて三島明音であることを知っていて、盗撮していたことも目撃していたと考える。
体操服や水着などの写真のほかに、おそらくそれ以上に危険な盗撮もあり、それをバラされると村全体から白い目で見られるような写真。
何より、翼のことを誰よりも信じている三島明音に嫌われてしまうのを恐れた。
そんな理由で、翼を脅迫し青酸カリを手配した。
1989年1月12日
石坂校長の元へ田村心が現れる。
三島家からパラコートを盗み、三島千夏を殺害した容疑のある男をなぜ正義感溢れる佐野文吾が世話をしているのか?さらに木村さつきによると、雪崩の発生を言い当てたという。
しかし、誰もが知っているであろうことを知らない。
石坂校長はこの得体の知らない男を近くで監視するという意味で、採用を決定したと思われる。
そしてこの時、加藤みきおは田中義男のノートにウサギの絵を書いた後に、自分の持っていた青酸カリをウサギに飲ませた。
パラコートとは全然違う即効性に胸を躍らせる。
1989年1月14日
加藤みきおは佐々木紀子 → 長谷川翼経由で大量の青酸カリを入手。
1989年1月15日
加藤みきおは青酸カリを入手したにも関わらず翼への脅迫はエスカレートし、「三島明音を拉致監禁して殺害しろ」と指示を出す。それができなければ盗撮をすべてバラすとまた脅す。
翼は覚悟を決めて三島明音を監禁するも、どうしても殺すことができなかった。(この時、翼が去った後にみきおが明音の首を絞めて殺害を試みたと思われる。)
明音は翼に監禁されたので、もう翼を信用することはないだろう。その時の絶望感がこのシーンだと思われる。
加藤みきおの指示通りにできず、明音から信用を失い、盗撮をバラされてしまうと翼はもうこの村にはいられない。
そんな極限状態に追い込まれた長谷川翼は、青酸カリを飲んで自殺。
1989年1月17日
田村心が三島明音を発見。
この時点で、加藤みきおは「本番」に向けて田村心がジャマになると考え始める。
また、雪崩を救った後に三島明音も発見したことから、石坂校長も田村心に対する不信感を強める。
1989年1月18日
田村心の免許証とノートを石坂校長が拾う。
免許証から田村心が未来の人間であること、ノートの新聞記事から雪崩を予測できたことはわかった。
しかし、田村心の目的がわからない。
ノートを見るとお楽しみ会でオレンジジュースに青酸カリが混入されて21人が亡くなっていること、そしてその犯人として佐野文吾が逮捕されていることがわかった。
田村心はこの事件を止めに来たのだろうか?
石坂校長は田村心の目的をハッキリさせるために、21と書かれたダンボールとオレンジジュースを教室に用意する。
これは誰かを傷つけるためではなく、あくまで田村心のリアクションを見るためで、必死の形相で止める心を見て、田村心は音臼小無差別殺人事件を止めるためにやってきたと確信する。
ここで石坂校長はノートを拾ったことである計画を思いつく。
このまま黙っていれば佐野文吾はいなくなる。そして今までの事件の流れから、音臼小無差別事件の犯人は加藤みきおではないか?と目星がついているので、みきおの計画に支障が出ないように陰で見守る。
そうなると、最もジャマなのは未来から来てこれから起こる全てを知り、止めようとしている田村心の存在。
未来から来ていることやノートの存在をを他の村人に知られては困るため、免許証の日付部分を黒く塗りつぶした。そして、田村心にプレッシャーを与えるために免許証を駐在所に送った。
1989年1月21日
加藤みきおの犯行を陰で見守ろうと思っていた石坂校長に予定外の出来事が2つ発生する。
1つ目は、田村心が未来から来たこととノートの存在を金丸刑事に話してしまったこと
2つ目は、金丸刑事が三島明音の首を絞めた跡から子供だと気づき、監禁事件に加藤みきおが関与している可能性に気づいたこと。
そして、同じく田村心がジャマだと思っている加藤みきおは心をずっと尾行して、絵を見せて神社に呼び出すタイミングを見計らっていた。
金丸刑事と田村心が朝からずっとノートを探しているときも、ずっとみきおは見張っていた。しかし、金丸刑事の勘は鋭くずっと尾行されていることに気づいていた。
田村心を学校まで送った後に、金丸刑事はずっと自分たちをつけていた加藤みきおに声をかけた。
この時、金丸刑事は加藤みきおに対して「三島明音の首を絞めたのはお前だな」的なことを言ったと思っていて、その一部始終を石坂校長が聞いていた可能性があると思っています。
石坂校長は焦る、このままだとみきおは逮捕されれば音臼小無差別事件は起こらない。未来のノート通りに事が進むには、金丸刑事の存在がどうしてもジャマになる。
そして想像ですが、この後に石坂校長は金丸刑事に接触し、未来のノートの存在を伝え音臼岳に呼び出したと思っています。
その証拠に、田村心が未来から来たことを全然信じなかった金丸刑事が
その夜を境に信じるようになった。
これは、金丸刑事が心と別れた後に未来のノートの存在を知ったからだと思っています。
1989年1月22日
田村心は学校で起きた時に神社の絵を見て大急ぎで神社に向かう。加藤みきおは青酸カリのビンを置き、それに気づいた心を突き落とす。
時を同じくして、石坂校長が未来のノートを見たと金丸刑事を音臼岳へ呼び出して、崖から突き落とした。
金丸刑事を崖から突き落とした人物を石坂校長と思った理由は3つあり、
①佐々木紀子が思い当たる人(村外の人物ではない)
②金丸が話している目線の高さから子供ではない
③佐々木紀子が木村さつきを家に上げていることから、さつきではない
以上から、金丸刑事を突き落としたのは石坂校長としました。
1989年3月10日
加藤みきおにとってまた予想外の出来事が起きた。また田村心が未来から来てしまった。しかも、録音したレコーダーから音臼小無差別事件の犯人がもうみきおだと知っていて探されている。
そしてこの時、もう一人の人物が新しい動きを見せる。
それは、木村さつきが加藤みきおを養子にしようとしていること。
そして、この後に加藤みきおは青酸カリで田中義男を殺害する。
このことから、みきおは常に青酸カリを持ち歩いていたことがわかる。
そして木村さつきは、加藤みきおが青酸カリを持ち歩いていたことを知ってたんじゃないか?と思われる。
その理由として、加藤みきおが毒を持っていると疑われた時のさつきの表情の焦りが異常だった。
ここからは想像だけど、加藤みきおが大量の青酸カリを持っていると知った木村さつきは、これから母親になろうと思っているのにみきおを殺人犯にするわけにはいかない。みきおにバカな真似はやめろと説得したのではないだろうか?
するとみきおは言う「わかった。青酸カリを使うのをやめる、その代わりに正義の味方になってみたい。佐野文吾のような村の誰からも信頼され、家族から頼りにされるような正義の味方に。」
さつきは悩む、加藤みきおに青酸カリを使わせるくらいなら、自分が行動して佐野家を監禁して、みきおに助けに行かせる計画的誘拐を企む。
1989年3月12日(事件当日)
佐野家を拉致したのが木村さつきだと思った理由として、お楽しみ会が始まる前にみきおがウソ泣きをしてから、タイムカプセルを埋めるまで、午前中に木村さつきの姿が見えないこと。
そして、佐野家が道路で足止めを食らってるちょうどその時、
佐野文吾と田村心は校長室に呼ばれていた。佐野が頻繁に腕時計を確認していることから、かなり長い時間校長室に拘束されたと思われる。
ここも引っかかっていて、全てを知っている校長がさつきの行動の妨げにならないように足止めをしていた可能性があると思っています。
そして加藤みきおの思い通り、自分が正義の味方となり佐野家を救うシチュエーションに成功した。
それと「正義の味方は僕一人だけでいい」というセリフより、もしかしたら加藤みきおは鈴に恋心があり、鈴が正義の味方と信頼している父・佐野文吾のことをジャマに思っていた可能性もあると考えています。
ここまでが加藤みきおがやりたかったことで、この後みきおはスタンガンで気絶させられてしまう。
まだまだ細かい謎はいっぱいありますが、以上が「テセウスの船」で起こった一連の事件についての銀田一なりの考察になります。
そして最後までまだわからないのは、黒幕だと思っている石坂校長の動機。
いくつかのヒントだと思われるのは、
12年前の音臼村祭で村人が亡くなっていること
絵に描いたように幸せな佐野家と正反対に息子とうまくいっていないこと
そして、どうしても引っかかるのが田中義男のノートにある「他人の幸せに劣等感を感じる」という詩、県議会議員って何も不自由しなさそうに見えるのに、ネガティブな詩が多いのが気になる。
このドラマが伝えたいメッセージとして、幸せは人と比べるものではなく自分がどう感じるか?なんだと思います。
また、多く登場する「正義の味方」という言葉もそうで、人によって正義の捉え方が違うことが肝だと思っています。
分かりやすい比較として、馬淵は警察が信頼を保ち続けることを正義と考えている。
それに対して佐野は、立場関係なくどんな悪も許さない正義。
佐野はよく言うと完全な正義。
でも悪く言うとその融通の利かなさが、今回の事件の発端になっていて、石坂校長の動機につながっているようなそんな気がしています。
長い文章を読んで頂きありがとうございました。
考察の当たり外れ関係なく、3ヶ月毎週ドラマを楽しみに見れたこと、フォロワーさんと色んなやり取りができたことがすごく嬉しいです。
最終回みんなでいっしょに楽しみましょう!
PS
校長!黒幕じゃなかったらゴメン!!