私達はみんなラミダス猿人の子どもたちだから

私が30歳の時、過労で倒れて病院にこもっている間に出した答えがある。

「悩むことがあったら、ラミダス猿人になって考える」

これが答えだ。


ラミダス猿人と言うのは初めて直立歩行をした全人類の共通のご先祖。

エジソンがどんなに偉かろうと、徳川家康がどんなに安定の時代を築いたとしても

モーツァルトがどんなにいろんな人の心を魅了したとしても、ラミダス猿人を超える功績をあげた人類は他にはいない。

だって彼が直立歩行しなかったら我々はいなかったんだから。

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ラミダス猿人に敬意を表して、30歳の私は「人との繋がりが何よりも財産となる」と言う仮説を立てた。

「人に作用し作用され、その範囲や大きさ、頻度が大きくなればなるほどに豊かさは増す」と思った。

今思うとこれは半分当たっていて半分間違っている。

そこからの私はがむしゃらに動いた。過労で倒れた後だと言うのに、同じ量の仕事をこなしながら2つのボランティアを同時に始めた。

知的障害者支援のボランティアで価値観が変わった私は、転職して障害者雇用をメインにやる職につくことになる。

仕事は必死だった。無我夢中で数字を取りに行った。自分の理念に沿った生き方が出来て幸せだった。

転機は突然やってきた。

結婚。転居。それに伴って転職。

さらに新しい職場に行くなり、STAY HOMEとなり在宅勤務がスタートした。

バリバリに働いてた前職と比べると、仕事量は10分の1以下になった。

私はイライラしていた。自分には実力があるのに何故こんなにも仕事が無い!?

1ヶ月ほど前、私は過暇(過労の逆)で倒れかけていた。

ラミダス猿人は私の中から姿を消しかけていた。

ラミダス猿人が帰ってきたのはここ数日だ。

最近は仕事が無い時間に絵を描き、曲を作り、スマホアプリでピアノを弾く。

「人に作用し作用され、その範囲や大きさ、頻度が大きくなればなるほどに自分の豊かさは増す」…確かに間違っていない。

でも

(今は)誰にも作用しないもの、だけど自分の本能が「やりたいな」と思うことに時間を割くこと。これもまた財産だ。

だって、ラミダス猿人はきっと

考える前に立って歩いたはずだから。


「立つと視界が広くなり、直立する事で手が自由になり道具が使える」

ここまで考えて立ったわけではないだろう。

遠くを見たかったからかもしれない。

何かを持って移動したかったから二足歩行したのかもしれない。

専門家ではないのでどれが先かは分からないが、きっと

「ひとつの目的を果たすために立ったら、芋づる式に副産物がたくさんついてきた」と言うのが実態じゃなかろうか。

全てに目的(=財産)を求めて行動するのも間違いではないが正解でもない。

「なんとなく」やったことが副産物を産むこともある。もちろん、産まないこともある。

だから「やりたいな」と思ったことは全部やることにした。

せめて、このSTAY HOMEの間だけでも。


仕事は少ないが苦にはならない。

その間にできる楽しいことはたくさんある。

全てをビジネスに繋げて考えなくて良い。

絵を描いたり、ピアノを叩くことで、少しずつ私はラミダス猿人に近付いていっている。

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ぎん
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