『ストーリーオブマイライフ/わたしの若草物語』

このnoteもほったらかしのまま、いろんなことが再開して慌ただしくすごしている。仕事の帰りに寄れるレイトショウはまだまだ自粛しているようで、あんなに夜の街、夜の街と連呼されていれば仕方あるまい。

さて、観たのは『ストーリーオブマイライフ/わたしの若草物語』

子供の頃、若草物語やあしながおじさん、大草原の小さな家は何度も読み返し、空想にふけったものだ。とにかく英米文学への憧れがつよく、今、この日本のさえないお茶の間にいる自分は、仮の姿で、いつか、誰かが迎えにきてくれると、そんな馬鹿げた空想を。

メグ、ジョー、エイミー、ベスの姉妹を中心に、原作を忠実に描きながらも、四姉妹のことばを借りれば『少女時代は終わった』その後を、時間を交錯させてストーリーがすすむ。この手法、各時代の目印をみつけるまでは、なかなか話が頭に入ってこなくて難儀です。

ジョーを演じたシアーシャローナンがとにかく男前でかっこいい。その上、くしゃっと笑う表情のなんと可愛らしいことか。原作は置いておいて、ティモシー・シャラメ演じるテディと結ばれないかな、と密かに想いながら観ていた。

そして、舞台が米国なだけに、インテリアやドレスが英国のそれらより、砕けた感じに描かれていて、とてもよかった。少女達の木綿のドレスやソックスもザックリしていて可愛いし、クリスマスのテーブルセッティングや屋根裏の勉強部屋なども素朴ですてき。

あの時代は、女性は、結婚相手の経済力でその後の人生が決まってしまう。話題はそのあたりに終始するところだが、一家は、自ら演劇をしたり、生活が苦しいご近所を助けたり、お隣の富豪とも対等に付き合い心を交わしたり、と、日々の小さな楽しみを見つけて暮らしてる。

四姉妹は性格がみんな違いすぎて、愛、芸術、社交、仕事の担当がきまっている。姉妹モノは、このへんが見どころで面白い。

谷崎潤一郎の『細雪』や、オースティンの『高慢と偏見』も国や時代が違えども、同じような姉妹の描き方だ。また、四人分の人生を描いているから、どれもが分厚い本でもある。久しぶりに重みのある作品を寝そべって読んでみよう。

さて、今回は自粛解除初、映画館に足を運んだのだが、ショッピングモールの中のシアターは、スタッフ総出で、ソーシャルディスタンスの列の管理やご案内、発券の手伝いなどを行なっていて、コロナ予防対策は万全、他のどこより安全に感じた。


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