『わたしの名前は...』
アップリンクでのSNSのお知らせが、ずっと気になっていたのに、観たのは閲覧期間の最終日。
アニエスベーが監督するこの作品、彼女のつくりだすお洒落で小粋な感じとは全く別物でした。
ロードムービーは乗り遅れるとただ退屈になっちゃうけど、これは最初に父親からのレイプという重い重いテーマがあり、いつか救われるのではという期待とともに観てしまった。
が、期待したのは間違だった。主人公の少女はまだバービーに話しかけて遊ぶような年頃。貧困や父親の欲望の捌け口にされても、それがなんなのかさえわからない。
家出をして、ふと乗り込んでしまう真っ赤なトレーラー。運転手のピーターもまた、家族をなくし心がどこか遠いところをさまよっている。言葉も通じないがなぜかこの二人の関係、先がない恋人たちのようで温かくせつないんだな。もちろんピーターは少女に指一本ふれてません!
結局、ふたりは見つけられてしまい、悲しい結末が。
少女は元の生活に戻る?何もなかったように?父親はもうしませんから誰にも言わないでといわんばかりに娘に謝る。ありえない!ほんとに最低。
こんなことは映画のテーマとしてはよくあるけど、なぜかやり切れないモヤモヤ感が残り、しばらくは辛かった。ビョークが主演した『ダンサーインザダーク』を観たあともしばらくこんな感じが続いた。
男って、我慢ができない動物なのか。
アニエスベーの美意識を感じるのは、色使い。赤が効果的に使われている。それ以外は美しいものをとことん封じ込めている。
映画はけして後味のよいものばかりじゃない。それでもまた観てしまう。
自分が経験できない、何かを探すためかな。