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術中にハマったのか???

今となっては笑い話ですが、、、
当時を振り返ると、怪しい連中の服装はおおよそ統一していました(笑)
蛇でもタコでも魚でも、、、
ガラガラに派手な色合いの生き物は猛毒を持つといいますが、その手の輩も
ほぼ間違いなくそんなガラガラな装いで毒気をプンプン撒き散らしていた。
ですからその時はよほど怖かったろうなと思うわけです。
笑えます。

とにかく、そんな怪しい連中が事務所の中に陣取っていたのです。
ソファーにどかっと大柄な男が2人、仲介業者のおじさんを睨むように
ガラステーブルを挟んで相対し、その他の連中は椅子を寄せてソファーを
ぐるり囲むように座っていたのです。

何やら揉め事か、声を荒げて”おじさん”を問い詰めていたのです。

僕はすぐさま社長の腕をとって事務所から出ようと踵を返したのですが、

「〇〇さん、、、」

“渦中のおじさん”に呼び止められたのです。

。。。。。。。。。。。。。。。

「こちらが買主の〇〇さんです」
おじさんはバツの悪そうな顔でソファーに陣取る大男を僕等に紹介したのです。
男は横柄そのもの。
ガラステーブルの上に、放るように名刺を出しました。

僕らはただ示されるままソファーに座りました。

曰く付きの不動産だった


その時の状況は鮮明です。

有無も言わさず、間髪入れず、、、
まさにそんな風でした。

目の前のガラステーブル。
何やら乱暴に広げられた、古い辺り一体の地図?図面?測量図?。。。

「ここのね、、、ほら、この部分ね、、、湿地帯、沼だったんだよね、、、」

それらを照らし合わせながら、そして一部を指差しながら男は僕らに向かって
畳み掛けたのです。

でも何を言われているのか、何を指摘されているのか、、
全くチンプンカンプン、、、そんな感じだった。

「あんた知らなかったじゃ済まされないぞ!、、、」

男はおじさんを恫喝したのです。

そんなヤバイ状況だったのです。
社長は”過去のトラウマ”もあり相当怖い思いでいたはずです。

そしてやがて嵐は過ぎ去っていき、静かになった事務所には3人きり
になりました。
おじさんがお茶を入れてくれたのを憶えています。

「いやね、、、私もよく調べりゃ良かったんですけどね、、、」
確かそんな感じでおじさんが成行を話し始めたのです。

術中にハマる


要は社長が住むずっと以前のこと。
そこらは田圃や沼が点在する湿地帯だった。
ちょうど社長の立つ家の辺りがまさに沼地だったと。
そうと知っていたら宅地開発なんて考えなかったと。
そんな理屈で業者は怒り心頭だった訳です。

「私もよくよく調べればよかったんですが、、、」
おじさんはそんな事を言っていたと思います。

で、話はもっと込み入っていました。

買付業者曰く
「そんな土地だと知っていたら分譲地なんかにしなかった、、、と」
「この事業計画で銀行借入をしており既に金利が発生している、、、と」
「様々な業者に手配済み、事は進んでおり中止するにも莫大な違約金が発生するんだと、、、etc」

と、おじさんは困り顔で事態の説明を続けたのです。

がしかし、それはこちらの問題じゃないし、そもそも契約もしていない。
「何だか怪しい連中ですから、とりあえずこの話は無かった事に、、、」
僕はその場で社長に言ったのです。

「ちょっと待ってくださいよ、、、」
何とか話を進めるように縋るおじさんと押し問答を続けた事を憶えています。

で当の社長はどうかというと。
何と、余計に不動産を手放したいと思ってしまったわけです。

「もうとにかく売ってしまいたい!」と。

そうして奴らの術中に嵌っていった訳です。

今思えばです。
きっとあの仲介業者のおじさんもグルだったに違いない。
僕はそう確信しています。

つづく。





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