しらおいクリップ|地域の人の視点を生かす観光×写真・デザインのワークショップ開催報告
春の装いが感じられはじめた3月。季節を逆戻りして、北海道の白老町へ北上してきました。白老町への訪問は3度目。実は、卒業論文のフィールドとして大変お世話になった地域でもあります。
今回は、同世代で「またたび文庫」の店長の羽ちゃんこと羽地夕夏さんから声をかけていただき、ワークショップの講師として伺いました。
講師は、新潟県新発田市で副業デザイナーとして活動する五十嵐萌さん(もえぴさん)と和歌山県からギンエンの東が参加。
視点を学ぶワークショップの可能性
いろんな地域で、フォトコンテストや写真教室が開かれていますが、今回、観光という軸のあるワークショップを開催してみて、大きな気付きがありました。
"写真の技術を教える教室ではなく「視点」を学ぶワークショップ"
これは、企画の話をいただいた時に、絶対に「視点」というテーマが必要だと感じました。
すでに、いろんな場所で、オンライン / オフラインを問わず写真の技術の教室は開催されています。でも、いざ、撮影するとなると何を撮っていいのか分からない。デザインだって、何を伝えたいと思っているのか明確ではない。そんなことがよく発生します。
そんな中、観光をキーワードに「観る」ということに軸足を置くことで、これまで見落とされていた生活者視点の白老町を発見することに繋がりました。
今後、撮影技術は写真教室で学び、あらゆる専門家の視点をヒントに写真を撮るというワークショップに希望があるのではと感じました。
ちなみな、今回のワークショップでは、スマホでも撮れる写真として撮影の基本は盛り込みつつ、使用したスライドの一部はこのような感じにしてみました。
観光を背景にした写真・デザインワークショップの意義
私が、観光学を専攻していることもあり、1年生で習う基本の話を『観光学ガイドブック(ナカニシヤ出版)』を参考に噛み砕いて説明させてもらったのですが、日々、当たり前だと思っていた知識も、意外とまだまだ知られていないんだなという気付きがありました。
例えば、着地型観光 / 発地型観光の違い(参考:訪日ラボ)を説明し、なぜ、観光にまちの人の視点がとても大切なのかということについてお話しさせていただきました。
案外、写真の技術の部分よりも、観光の背景知識に興味を持ってくださる方が多く驚きました。メモをとってくださっていたのも、このパートが一番多かったかも。
この経験を通して、そもそも、なんで観光に地域の人が携わらないといけないのか、なぜ必要とされているのかが分からないままに、まちを盛り上げていきましょうと言われても、そりゃあやる気出ないよなという気付きがありました。
私は、まだまだ観光学のプロにはなれていないですが、観光学を専攻する身として、当たり前だと思っている基本的な話を伝えるだけでも、まちの見方が変わるんだなという驚きがあり、同時に、今後もこのようなワークショップを各地で開催するとおもしろいだろうなと構想が湧きました。
地域の人の視点を掬い取る観光の形
今回のイベントで、またたび文庫・羽ちゃんの力をすごく感じたのは、参加者の方々があらゆる属性だったこと。(うまく表現できていないかもしれませんが、意図は下記を読んでください。)
私が、ずっとまちづくり的な何かに携わる上で、いつも疑問に思っていたこと、歯痒く思っていたことがあります。地域の人の声を反映すると謳っている場面でも、結局、いつも中心にいる経営者、意識の高い大学生などの声しか反映されていないことが多いということです。
自由の効くポジションにいる人だけが享受できるイベントや会議などもすごく多いなと感じています。もちろん、中心になって進めていくことはすごく大変で、とてもありがたい一方で、見落としている人がたくさんいることに気付きました。
今回は、中学生とお母さん、たまたま羽ちゃんがイベントで出会った本好きのお客さん、白老町に所縁のある大学生など、〇〇の代表ですとか〇〇という仕事ですという肩書きのつく人ばかりの参加ではなかったこと。さらに、お休みの日にも関わらず、市役所の方も一般参加者としてワークショップを楽しんでくださっていました。
どうしても、地元の個人事業主向けセミナーやまちづくりに興味のある大学生向けの方が、コンセプトもはっきりしていて、集客もしやすく、尚且つ参加費も取りやすいため、同様なイベントがたくさん発生しがちです。
肩書きに縛られない、こんなに個性溢れる人が集まってくださったのは、羽ちゃんの持つ魅力だなと感じました。なんだか形容できないけれど「いい感じ」の人たちが集まる場所を作れるのは、かっこいいコンセプト、明確な目的ではなく、普段からの人付き合いの賜物だと感じました。
また、参加してくださった方の「まあ、羽ちゃんが言うなら参加するか、何するかよく分かんないけど」というフットワークの軽さにも感謝しています。
さいごに
このワークショップを通じて、まだまだ、地域住民の人の視点を観光に生かすという試みは可能性が残っている部分だなと強く感じました。リーダーだけが作るのではなく、日々、そこに暮らしている人があっての地域の個性だということを改めて、私も学ばせていただきました。
▶︎参加者の皆さんの作品はこちら:@shiraoiclip
このような取り組みを色んな地域で展開できたらいいなと思うので、ぜひ、興味のある方はお声がけください。
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