notoからの書籍化、出版ビジネスの仕組みとは?
noteから書籍化を目指している人に向けて、出版ビジネスの仕組みについて私が理解している範囲で説明させて頂きます。何かのお役に立てると嬉しいです。
出版ビジネスとは?
ここからは、出版社がどのように利益を上げているのか、ビジネスの仕組みを説明します。
販売価格の内訳
販売価格のおおよその内訳は、著者印税が販売価格の約10%、書店が約20%、取次店が約10%、印刷製本費が30%、出版社が約30%になります。但し、書籍の販売部数や本の大きさ、媒体が電子書籍等によっても異なるため、一概には言えません。
商業出版の損益分岐点
例えば新書のケースでは、一般的に初版1万部で、販売部数の70%(約7000冊)が出版社における損益分岐点となり、それ以降に販売された部数が出版社の利益になります。多くの書籍は、損益分岐点を上回らないため、3年で絶版となり赤字が確定します。その為、一部のベストセラーによって、多くの書籍の赤字が補填され出版社はトータルで利益を上げています。
重版の目安
販売部数の70%(損益分岐点)を超えることで重版の検討が行われます。
重版のタイミングが遅れると機会損失が発生します。また、重版のタイミングが早すぎて増刷したものの売れ残るケースもあるため、難しい判断が必要になります。
損をしないための戦略
出版社は、重版が狙える売れる本を出版することで利益が拡大します。
では、どのようにして出版社は売れる本を見極めているのでしょうか?
答えは、”わからない”が正解です。そのため各出版社は、極力損をしないための以下のような戦略をとっています。(私の経験より)
A社の場合:著者が有名企業に勤めているかで判断する
B社の場合:過去ベストセラーとなった本と同じような内容の本を出版する
C社の場合:出版社の損益分岐点を下げるため、著者に初版の買取を求める
書店
次は出版ビジネスを支える書店について説明します。書店は、出版社から一定期間販売が委託され、売れ残った商品は、出版社へ返品する事ができます。この制度を委託販売制度と言います。この制度により、書店は在庫を抱えるリスクを負わずに、商品を取り揃えることが出来ます。
しかし、最近では、メルカリ等による古本の個人取引も増加しており、書店が利益を上げることが難しくなっています。
結果的に書店調査会社アルメディア調査によれば、2000年2万1654店だったのが、過去20年間で半分の1万1024店(2020年5月1日時点)まで減少しています。
書籍
最後にnoteからの書籍化に向けて、1年間に販売される書籍の推移とどのような書籍が多く販売されているのか確認していきましょう。
書籍の出版点数
書籍の出版点数は、2013年から減少し、2020年には、68,608点と初めて7万点を切りました。それでも1日出版される書籍は、約180点にも上ります(図1)。
書籍の分類
書籍の分類別構成比は、1位「社会科学」、2位「文学」、3位「芸術」で、1位の「社会科学」には、経営・ビジネス書が含まれており1日平均約36冊
年間430冊出版されています。(図2)その為、書籍を出版したい場合は、経営やビジネスに関わる記事をお勧めします。
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