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UXリサーチについてウェビナー登壇してきました

お疲れ様です。BASE株式会社でUI/UXデザイナーをやっておりますノムラ(@nomjic)です。最近ではUXリサーチャーを主務としています。

先日「PMと並走するデザインリサーチ」というテーマの記事を公開したところ、光栄なことに同テーマでのウェビナー登壇の依頼をいただきまして、30分ほど(+質疑応答10分くらい)のお話しをさせていただきました。

登壇内容や感想をレポートさせていただきたいと思います。


ウェビナー詳細

ポップインサイト様主催のウェビナーで話させていただきました。
最初に5分程度主催側からガイダンスあり、その後30分ほど登壇者のスピーチあり、また5分ほどのガイダンスを挟んでQ&Aセッション、という流れでした。

参加応募者数は183名、参加者数は132名でした。

登壇内容

おおむね、以前に書いた記事に沿った内容ではあるのですが、PMとリサーチャーの並走によってどんなメリットがあったか、スムーズに進めるために何をしたか、といったあたりを厚めに話させていただきました。


質疑応答(一部抜粋)

Q&Aセッションでいただいた質問と、それに対するご回答を以下にご紹介します。9つの質問をいただきましたが、うち3つほどをお書きします。
(書きながら言い回しを整理してたらウェビナーの場での回答と全然ちがう内容になってしまったものもありますが… ご容赦ください)

【質問】
UXリサーチを行って課題の可視化、改善方針まで出しても、その後のUIやUX改善への具体的な落とし込み(情報設計やワイヤーフレーム)の部分で役割が曖昧でプロジェクト化しません。リサーチとその後の情報設計、UI/UXの改善方針や計画の推進をどういった役割分担で行うのが利用的なのか知りたいです。

こちらについては、(ちょっと身も蓋もない言い方ですが)「すでにプロジェクト化が決まっている(かつ、リサーチすることが有効そうな)案件に対してアプローチすべし」というのが私からの回答になります。
そのようなプロジェクトをどうやって見つけて、どうアプローチするのか、について申しますと、私の場合は「プロジェクトを横断的に把握しているマネージャーの共感を得て、そのマネージャーに情報の共有や、マネージャーレベルでのプロジェクトへのアプローチをお願いする」ということを行いました。
私が頑張ったというより、然るべき人の協力を得ることができた、というのが実情です。

【質問】
デザインチームに所属しているリサーチャーです。私自身もPdMとの連携を強めていきたいと思っているのですが、リサーチャーがPdMの仮説補強の役割になってしまわないように…との経営層の意思でPdMのチームには所属しておらず、うまく入っていくことができていません。
デザインチームにいながら他チームであるPdMに働きかける際に工夫すべきことがあれば教えてください。

「リサーチャーがPdMの仮説補強の役割になってしまわないように」
という言葉を、
「仮説策定者と仮説検証者が一緒に動くことで、仮説を検証するための都合いい情報を集める形になってしまう」
のような意味合いとして解釈しています。(解釈間違っていたらスミマセン)

この点、確かにリサーチに携わっていて葛藤する点です。
仮説について詳しく知ってる故に、仮説を立証する方向にリサーチャーが(無意識的に)誘導してしまうのでは?のような悩みですね。

これについては、対策はケースバイケースかと思っています。

  • 仮説の策定段階にある、仮説を見出すことを目的としたリサーチであるなら、問題ない

  • 仮説の検証を目的とするリサーチであるなら、「PMは自らの仮説の正しさを信じ、リサーチャーは仮説の誤りを探る」というようにスタンスを分担する

  • 定性リサーチ結果のみから仮説を検証するのでなく、定量データ、一般論、世にリリースした後のフィードバックを得るなど、複数の検証材料の一つとして定性リサーチを用いる

  • なるべく多くのメンバーに(PMやリサーチャー以外の人も含めて)インタビューに参加してもらい、インタビュー後に多視点でのディスカッションを行う

などですね。
リサーチャーがリサーチ結果やプロダクトの在り方に対する誤ったバイアスにならないよう、配慮しています。

【質問】
PMが心地よく参加してもらうために、 リサーチャー側で準備したこと・工夫があれば教えてほしいです。

はじめはリサーチャーがリードして、すこしずつリサーチャーが背中を押す形にスライドしてく、ということを意識しています。

リサーチャーとPMで並走するといっても、いきなりPMにリサーチャーと同じ振る舞いをすることを求めるのは酷です。
特に、インタビューで「どんなことを、どんなふうに聞くべきかわからない」という戸惑いをもたれることが多いです。

インタビュー手前のインタビュー設計ではリサーチャーがファシリテートし、最初の1〜2回のインタビューではリサーチャーがメインインタビューを務め、徐々にインタビューの進行をPMに預けていき、インタビュー終盤ではリサーチャーは補足役に回る、のような形をとっています。

事後アンケートでいただいた感想

以下のような感想をいただきました。

  • インタビューの体制や流れ、ツールなど参考になった。

  • 実例に沿った内容で、イメージしやすかった。

  • 現在抱えている課題に対してピッタリあてはまる事例を聞けた。

  • リサーチの進行における、コミュニケーションの重要性がわかった。

  • PMをクライアントに置き換えれば、クライアントワークにも有効そう。

などなど。
たくさんの良い反応をいただけました。

お伝えしたかったポイントがしっかり伝わっていたようで、安心しました。
また、いくらか話しそびれていたこと(クライアントワークにも役立つ知見であること等)があったのですが、そのあたりも汲み取っていただけたことがわかり、ありがたい次第です。

進行中のプロジェクトに関わる箇所もあって随所を抽象的に表現せざるを得ず、かつ私の拙い話術では伝わりづらいのでは、と不安でした。
それなりの人数の方に響いていた様子がわかって嬉しいです。事後アンケート大事ですね。

スピーカーとしての感想

一度ブログ記事化したお話しを改めてスピーチするような形だったので、スライドを作り始めた頃は
「この話に聞く価値はあるのか…?記事読んでもらえば済む話では…?」
みたいな疑問あったのですが、口頭で説明することを想定して再整理していくと、新たな気づきがあったり、知見が深まることを感じたり、私としては良き経験でした。
ご参加いただいた皆様にも、記事を読んだだけでは得られない知見や実感をお届けすることができたようで、嬉しい限りです。

最後に

登壇内容やいただいた感想を見返しつつ改めて思ったことを、以下にお書きします。

「リサーチャーとPMで一緒にリサーチすると良いよ」と連呼するような内容をお話ししたわけですが、実のところ 『一緒にやると良いよ』と言われても、そんな状況そうそう作れないよなぁ という想いもあったりします。
何故かと言うと、実際私も独力ではそんな状況は作れないので。

上司であるデザインマネージャが「リサーチが有効そうなPJ探しと声かけ」に尽力してくださり、それに反応してくれたPMが「ものすごいモチベーションとオープンマインドぶりでリサーチに挑んでくれた」おかげで、うまいこと成果を上げられた(そしてうまくリサーチを回すサイクルを見出せた)、というのが実情です。

突き詰めると、「チームで動くこと」「チームメンバー全員が主体的に動くこと」という仕事の基本みたいなところに行き着くのだな、と思う次第です。

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