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どうやって女性弁護士になるの?   (1) まずは、「司法試験」を知ろう

みなさんの一番の関心事は、
「どうやって女性弁護士になるの?」
「私でも、本当に弁護士になれるの?」

ということだと思います。

司法試験はいわずとしれた難関国家試験です。
科目数が多く、複数年にわたって勉強をしないとなかなか合格できません。途中で挫折したり合格を得られず撤退する人もいます。
そとから見ているだけだと、
自分とは縁遠い世界のように思えて、自分が実際に合格するっていうイメージがつきませんよね。

でもでも、大丈夫。
実際に、社会人経験者も、子育てママも、非法学部出身者も、アラフィフも、ちゃんと合格している人がいます!
数として少ないとしても、です(^_^;)

みなさんがどうやって女性弁護士になるのかをイメージしてもらえるよう、以下のように順を追って詳しく解説していきたいと思います。

HOW TO BE 女性弁護士
〜どうやって女性弁護士になるの?〜
1. 【敵】すなわち「司法試験」を知ろう
2. 正しい計画を立てよう
3. 自己管理=マネジメントをしよう

まずは、【敵】すなわち「司法試験」を知るところから始めましょう。
どういう試験なのか、合格するのに何が必要なのかをしっかりと理解してから、挑戦するかどうかを決めるべきです。
挑戦することを決断したら、次に、正しい計画を立てることが重要です。
せっかくのやる気も、せっかくの支援も、長年の努力も、間違った方向に進んでしまうと結果には繋がりません。正しい計画を立てることは合格への絶対条件です。
そして、正しい計画を立てたらその計画にしたがって確実に勉強を進めるためなければなりません。そのために、徹底的に自己管理すなわちマネジメントをしなければなりません。合格までの数年間は司法試験にだけ向き合うつもりで、ストイックに自己管理をするのです。

この記事では、まず、女性弁護士になるための第一歩として、乗り越えるべき【敵】である「司法試験」について詳しく説明していきたいと思います。


1. 司法試験の受験資格って?


司法試験は誰でも受験できるわけではありません。

司法試験を受験することができるのは、

1.法科大学院を修了した
2.法科大学院在学中で受験資格認定をされた
3.司法試験予備試験に合格した

のいずれか1つに当てはまる人です。

1.と2.は、法科大学院に入学するルートです。
この、法科大学院というのは大学院なので、入学するには大学卒業資格か特定の大学で飛び級が認められる必要があります。
これに対して、3.の予備試験は誰でも受験が可能な試験です。
大学卒業資格のない人や現役高校生・大学生はこちらのルートを進むことになります。最年少合格者という高校生はもちろんこのルートですね。

それから、司法試験には受験年数制限があり、ざっくりと言うと受験資格を得てから5年間(1年に1回試験が実施されるので5回が上限)とされています。

なお、年齢制限や国籍要件はありません。
それから、身体に障害のある方でも受けられます。全盲の方も、3人合格されているようです。すごい👏

2. 法科大学院ルートをおすすめする3つの理由


司法試験の受験資格を得る方法は大きく分けて2つあるということがわかったと思います。
法科大学院ルートと、予備試験ルートです。
では、どちらがおすすめなのでしょうか。

ずばり、
社会人経験者、子育てママ、非法学部出身者、アラフィフの女性のみなさんには、法科大学院ルートがおすすめです。
なぜ法科大学院ルートのほうが良いのかを、これから説明していきたいと思います。

(1) 勉強のリズム・モチベーションを維持しやすい

法科大学院をおすすめする1つ目の理由は、
たった一人で勉強をするのと違い、大学院では授業やゼミがあるので勉強のリズムやモチベーションを維持しやすいということです。

大学生や大学卒業まもない人と違い、社会人になって何年か経つ人、子育てママ、アラフィフなどの人は、そもそも勉強モードとはかけ離れた生活を送って久しいわけです。なので、そもそも論として、自分を勉強モードに持っていくこと自体がとても難しいのです。
法科大学院に入学することで、大学院のカリキュラムをペースメーカーにすることができて勉強のリズムを維持しやすくなります。
なにより、社会人経験者にとって「学生」という身分を再び手にすることはとても新鮮なことです。大学院に入学する行為が、「司法試験を受けるぞ!」という客観的な決意表明となり、勉強のモチベーションをぐっと上げてくれます。

(2) 勉強仲間ができる

法科大学院をおすすめする2つ目の理由は、同じ目標を持つ仲間ができるということもです。

司法試験の勉強は、基本的には孤独な作業の連続なのですが、それでも同じ目標に向かって机に向かっている仲間が周りにいれば、質問し合ったり、勉強会を開いたり、悩み・苦しみを共有したりできます。この科目はこの参考書がいいらしい、といった情報も得られます。
自習室でいつでも誰よりも勉強している同級生がいれば、自分はまだまだ甘いなとよい刺激を受けることができます。
親しい先輩や仲間が先に合格すれば、自分も続くぞ〜とやる気が出ます。

長丁場の受験生活において、仲間の存在は非常にポジティブに働くのです。

また、受験生時代からの仲間というのは、弁護士になって何年経っても結構仲良しというケースが多いです。芸人や俳優さんの下積み時代の仲間、と同じようなイメージです。苦しい時代を知っている仲間というのは一生の友となりあなたの財産となります

大学生などの若い受験生であれば、おそらく周りにたくさんの仲間がいるはずです。法学部なんて、司法試験受験生だらけですからね。
でも、社会人経験者がある日「そうだ、弁護士になろう」と思い立っても、周りに同じ考えの人なんてそうそうみつかりません。たった1人です。
法科大学院に入学すれば、年齢やバックグラウンドの異なるたくさんの同級生と出会えます。

(3) 保育園を利用できる

子育てママに関しては、法科大学院を強くおすすめするもう1つの理由があります。
それは、保育園を利用できるということです。

保育園の入園要件には、保護者の「就学」が含まれています。法科大学院就学もこれに該当するという点です。
小さいお子さんを育てながら司法試験の勉強、というと、かなりハードルが高いですが、法科大学院に在学中は少なくとも昼間の時間帯は堂々と保育園に預けることができるので、その間はしっかりと勉強に集中することができます。

さらに、今は保育の無償化という支援制度が整っていますので、経済的負担も少ないです。

でも、予備試験のほうがいいのでは?


予備試験は、
・ 誰でも受験することが可能
・ 学費の負担もない
のだから、やはりこちらのほうがいいのではないかという点について少し考えてみましょう。

法科大学院ルートも予備試験ルートも、どちらもメリット・デメリットがあります。どちらのルートを選択するかは、個々人の置かれた状況に応じた判断となります。

そもそも、もしあなたが、
・ そもそも大学卒業資格を保有していない
  (法科大学院の受験資格要件を満たさない)
・ 地域に通える法科大学院がない
・ 法科大学院に合格できない
・ 法科大学院の学費が支払えない
という場合は、法科大学院に入学することはできませんから、必然的に予備試験ルートを選択せざるを得ません。

予備試験のデメリットは、仲間がいなくて孤独な戦いになりますので、モチベーションを維持しにくいという点にあります。法科大学院ルートをおすすめする理由の反対のこととなりますが、学生の身分があるわけではなく自分が1人で決意しただけで、仲間もいない、ペースメーカーとなる授業などもない、という環境で、何年も勉強を続けなくてはなりません。

それから、予備試験のレベルはとても高いので、独学で合格するのが難しいという点もあります。予備試験合格者はほぼそのまま司法試験も合格しちゃいます(2024年の予備試験ルートの人の司法試験合格率はなんと約93%)。予備試験のレベルの高さは、本試験並みだということが言えるでしょう。
予備試験合格者は、そのほとんどが司法試験予備校を利用しています。司法試験予備校の費用はなかなか高額です。予備試験ルートだからといって、法科大学院と比べて費用がかからないというわけではないということです。

実際に、予備試験ルートで合格する人はどういう人たちかというと、ほとんどが現役の学生です。予備試験ルートは、わざわざ法科大学院に入学しなくても高校生・学部生のうちに司法試験に合格してしまうというエリートたちに好まれているルートなのです。彼らは、若くして法曹を目指しているという意志の強さも、親のバックアップも、体力も時間も豊富です。
また、結構な費用をかけて予備校の講座を取りまくって勉強しているのです。そんな恵まれた若者と戦うのが予備試験ルートなのです。なかなか厳しいですよね。

社会人経験者、子育てママ、非法学部出身者、アラフィフなどの女性受験生に関しては、継続して勉強に集中できる環境づくり及び合格可能性をできるだけ高めるという点からいって、やはり法科大学院ルートをおすすめしたいと思います。
(なおこれは余談ですが、法科大学院に在学しながら予備試験を受けるということも可能です。)

3. 法科大学院に入るには? どこがいいの?


法科大学院に入るためには、それぞれの大学院が実施する入学試験をパスしなければなりません。
2024年現在、出願が可能な法科大学院は全国に35校あります。国公立が17校、私立が18校です。
どの法科大学院を受験するかは、法科大学院のホームページや受験要項をしっかりと読みこんで、
・ 現実に通うことができるか
・ 入学試験をパスできそうか
・ 学費は支払えるか
という観点から慎重に選びましょう。

通うのが遠すぎると、勉強時間や体力が削られますので、できるだけ近場の大学院がよいでしょう。地方にお住まいの方の場合、残念ながらあまり選択肢はありませんが、都市部の場合はそれなりに選択肢があります。

学費に関しては、やはり、国立・公立のほうが安いのですが、それでも卒業までに200〜300万円はかかってしまいます。私立では、福岡大学法科大学院が特に学費が安いようですので、通えるエリアにお住まいの方にはおすすめです。私立で高額なところは、例えば慶應義塾大学の法科大学院で、3年間通うと450万円くらいかかります。
各大学院及びJASSO(日本学生支援機構)などにおいて、貸与・給付ともに奨学金が豊富ですので、そのあたりもしっかり調べて応募するのがよいと思います。
ちなみに私は、法科大学院入学時の成績優秀者に与えられる学費免除の奨学金は残念ながら逃したのですが、JASSO(貸与)を利用したり、在学中成績が良かったので外部の団体から給付奨学金をいただいていました。

法科大学院には、
・ 法律の勉強をしたことがない未修者コース(3年間)
・ すでに基礎学習が済んでいる既修者コース(2年間)
があります。
(学部からの飛び級のコースもありますが、その説明は割愛します。)
すでに大学の法学部や司法試験予備校で勉強を開始していて、ある程度の基礎があるという人は既修者コースを目指すことになります。既修者コースの入学試験は法律科目が出題されますのでそれなりの受験勉強が必要です。それ以外の人は、未修者コースに入学し、基礎からみっちり学ぶことになります。未修者コースの入学試験は小論文や書類審査・面接などで法律科目の試験はありません。

社会人経験者、子育てママ、非法学部出身者、アラフィフなどのみなさんは、書類や面接で自分の個性をしっかりとアピールし、どうして法律家を目指すのかしっかり説明できるように準備しましょう。多様な人材を確保したいと考える大学院に受け入れてもらうのが良いでしょう。
また、例えば東京大学法科大学院では外国語の能力を示す証明書の提出が必須とされています。外国語能力に特筆すべき点がある人はこういった大学院を受験すると有利になります。
司法試験予備校では、法科大学院入試の小論文や法律科目対策の講座を実施しているところがありますので、入学試験対策に不安が強い場合はそれらを利用するのもおすすめです。

4. 司法試験ってどんな方式なの?どんな科目があるの?


司法試験は、
・マーク式の短答式試験
・手書きの論文式試験
の2種類の試験で構成されています。

(1) 短答式試験(択一試験)

短答式試験というのは、俗に言う「択一試験」というもので、与えられた選択肢の中から1つを選ぶという方式の試験です。

イメージとしては、このような問題です。(いずれも令和6年の本試験)

憲法の問題(法務省HPより)
民法の問題(法務省HPより)
刑法の問題(法務省HPより)


令和8年試験からは、CBT(Computer Based Testing)方式が導入されるということになっていますので、おそらく今から試験勉強を始めるみなさんが受験することには、すべてCBTになっていることでしょう。ポチっポチっという感じになるでしょう。
(令和6年8月時点のCBT導入情報はコチラ

科目は、短答式は憲法、民法、刑法の3科目です。
時間は、それぞれ、50分、75分、50分となっています。民法だけ問題数が多くなっています。参考までに令和6年の試験日程を載せておきますね。
短答式試験は最終日に行われるんですが、でも実際は一次試験として機能します。短答式試験で足切りが行われるのです。どんなにいい論文を書いても、短答式試験で足切りされてしまうと論文を読んでもらえないという残念なことになりますので、短答式試験は何をおいてもまず突破しなければならない関門だといえます。

令和6年司法試験(法務省HPより)


(2) 論文式試験


論文式試験は、3日間連続で実施されます。1日目は合計7時間、2日目は6時間、3日目は4時間と非常に長丁場の試験となっています。
この3日間で、多くの論文を手書きで書かなければならないので、体力勝負な面もあります。私は気持ち悪くなるほど、肩がバキバキに凝ったのを覚えています。
とはいえ、こちらの論文式試験も、令和8年試験からCBT(Computer Based Test)に変更されるようです。CBTになれば体力面の負担はだいぶ緩和されると思われます。羨ましい〜!!

論文式試験は8科目です。
公法系科目として、
① 憲法
② 行政法

民事系科目として、
③ 民法
④ 民事訴訟法
⑤ 会社法

刑事系科目として
⑥ 刑法
⑦ 刑事訴訟法

というのが必修科目で、
残りの1科目は選択科目となっています。
選択科目は、
・ 労働法
・ 経済法
・ 倒産法
・ 知的財産法
・ 租税法
・ 国際関係法(公法系)
・ 国際関係法(私法系)
・ 環境法
の8科目の中から自分で選択した科目を受験します。
令和6年の受験生の選択科目の状況はこのようになっています。就職後に使えるかという意味で、一番使える労働法が圧倒的な人気となっています。

令和6年司法試験(法務省HPより)

私は、とにもかくにも勉強時間が足りなくて、選択科目にまで手が回らなかったので、「とにかく簡単だよ♡」というとある先輩の言葉を盲信して国際関係法(司法系)、いわゆる「国際私法」を選択しました。
たしかに国際私法はテキストが薄くて簡単でしたし法令も少ないので、短期間で仕上げることが可能な科目です。
ただ、考え方や内容がかなり特殊なので人によって好き嫌いがあると思いますし、マイナーな分野なのでいい先生や本と出会えるかが微妙です。
実務で国際私法の知識が役立ったのは2回くらいかな(笑)

5.どれくらい勉強すればいいの?


どれくらい勉強をすれば受かりますか?
この質問、Frequently Asked Questionナンバーワンです!

すでにご紹介したとおり、司法試験はとにかく範囲が広いんですね。
全科目を網羅的に学習し、さらに本試験の形式に対応できるようしっかりと訓練をするには、かなりまとまった勉強時間が必要となります。
他のことにかまけることなくしっかり集中して勉強することを前提としても、「2、3年は必要」と答えるようにしています。
これは、私自身を含めた周りの人達の経験上の数字です。
司法試験予備校などのサイトを見ると、合格にはトータルで3000〜5000時間の勉強が必要だとされています。3000〜5000時間勉強するためには最低でも2、3年くらいはかかってしまうことを考えると、妥当な線だといえるでしょう。
また、法科大学院のカリキュラムも未修者コースが3年、既修者コースが2年と設定されていますので、最短で行って2、3年というイメージで合っていると思います。

3000〜5000時間ということであれば、1日10時間しっかり集中して勉強できれば365日で3650時間の勉強量を確保することができるんだから、2、3年もかからないのでは?と思う人がいるかもしれません。
でも現実には、毎日毎日10時間勉強するということは難しいです。
具体的に1日のスケジュールに当てはめて考えてみましょう。

【10時間ソリッドに集中して勉強するとあなたの1日はこうなる!】
7:00 起床、トイレ、シャワー、身支度、朝ごはん
8:00 家を出て勉強場所(大学院や予備校、自習室)へ移動
     (移動時間を30分と仮定)
8:30 勉強場所に到着し勉強の準備をする
8:45 勉強開始
     90分毎に10分休憩、昼休憩は60分として、
     90+10+90+昼休60+90+10+90+10+90+10+90+10+60分
     で合計10時間の勉強時間を確保!
19:35 勉強終了
19:50 片付けをして勉強場所を出る
      帰宅途中に夕食を済ませたり食材や日用品の買い物をする
21:10 帰宅し、洗濯・掃除などの家事と翌日の準備をする
22:00 リラックスタイム
0:00  就寝(7時間睡眠)

どうでしょうか。
これ、人間の生活ではないですよね。ほぼ誰とも話せないですし、ルーティンを確実に守って機械のような無駄のない生活を送らないと、10時間の勉強タイムを確保することはできません。
そもそも、自宅から勉強場所までの移動時間がドアツードアで30分というのは結構恵まれた設定にしています。これが30分増えてしまうと、このスケジュールは破綻します。もし友達とばったり会って立ち話をしたら、スケジュールは破綻します。
もしあなたに恋人がいたらどうでしょうか。恋人と会ったり、電話をしたり、LINEを何度もやりとりしたり…これらの何気ない時間は着実にスケジュールを破綻させます。
恋人がいないとしても、髪を切りに行く、家族と少し話しをする、区役所に行く、携帯でなにかの手続きをする、メールやメッセージをチェックして返信する、というようなことも現実には必要な時間です。
要するに、相当ストイックに生活するとしても、毎日10時間勉強を1年間継続するということは不可能だということです。経験者の体感からして、頑張っても毎日6〜8時間が限度ですね。たまに好条件が重なって10時間やれる期間があるかもしれないという感じです。ただ、あまり無理をすると体調を崩すので結局トータルはおなじになったりします。
そんな感じで計算すると、最低でも2、3年はかかるのが一般的だと言えるでしょう。

2、3年も勉強しないといけない、長いな、と思いますか?
昔の司法試験は合格率も低く、予備校や大学院もなかったので、生活を切り詰めながら10年以上勉強している人が多くいました。
最近の司法試験は、合格率も高く、予備校や大学院によるサポートもありますので、たった2、3年で合格できるのです。
合格後の長い人生を考えれば、2、3年というのは実に短いといえます。

6.合格までにどれくらいのお金がかかるの?


だいぶ司法試験についてわかってきましたね。
最後に、司法試験について知るべきこと、それは、
合格までにどれくらいのお金がかかるのかです。

合格までにかかるお金は年100万円以上


法科大学院ルートを選択するとして、ざっとこういったお金がかかります。

・法科大学院を受験するための費用 
 〜参考書、対策講座の受講費、受験料
・法科大学院に入学するための費用 
 〜入学金、学費、教科書代
・大学院生活の費用 
 〜学費、定期代、参考書代、パソコン代、模試代
・司法試験受験の費用 
 〜受験料、交通費、宿泊費など
・合格するまでの生活費 
 〜住居費、食費、社会保険料、医療費など

これらの合計がいくらになるのかは、生活費の違いでかなりの幅があります。
とはいえ、法科大学院絡みの費用(学費、書籍代、交通費など)は確実に年間100万円以上かかってきますので、生活費を安く抑えても1年間で100万円くらいは余分に出費があるという計算です。
実際、私の先輩で、すでに結婚して小さいお子さんがいる男性が仕事を辞めて法科大学院に入学し、法科大学院在学中の学費や生活費をすべて貸与の奨学金でまかなった人がいました。その人は合格時に奨学金の債務が1000万円を超えていると言っていました。3で割ると年間300万円くらいかかったということになりますね。(この先輩、もちろん合格してバリバリ稼いで全額返済済みです!)

司法試験の受験を決意したら、合格までにかかるこれらの費用をどのようにまかなうのか、その計画をしっかり立てる必要があります。
法科大学院受験から司法試験合格まで3年というのは最短でいけた場合ですので、最短でいかなかった場合を考えれば5年分くらいの資金計画を立てる必要があります。

手元に資金が潤沢にある人を除けば、例えば、実家に住み住居費や食費を浮かす、貯金を崩す、奨学金を利用する、家族から借りる・支援してもらう、教育ローンを利用する、といった工面の方法が考えられます。
「司法試験にチャレンジする」という目標は、比較的応援してもらいやすいです。格好つけず、家族や信頼できる人に相談して金銭面のサポートをしてもらいましょう。ちゃんと合格して真面目に働けば、あっという間に必ず取り戻すことができます。

生活費を稼ぎながら受験勉強をすればいいのでは?

仕事をしながら、生活費を稼ぎながら受験勉強をすればいいのでは?と考える人がいます。
すでに安定した職業についている人に多いです。フルタイムで仕事をして生活費を稼ぎながら勉強をします。生活費も稼がないといけないんでね、というような具合です。こういった人たちのために、夜間休日コースや長期履修制度を設置している法科大学院もあります。

しかしながら、フルタイムで働きながらの受験勉強は、まったくおすすめしません。駄目です!
私の知る限りでは、全員が挫折して仕事に戻っていきました。
1日は24時間しかありませんので、圧倒的に勉強時間が足りないのです。仕事で疲れた体に鞭打って何時間か勉強しても頭は動きませんし知識は定着しにくいです。
しかも、慣れ親しんだ仕事と比べ、久しぶりの勉強は非常にストレスフルですから、ついつい仕事のほうが楽だと思ってしまうのです。

少なくとも2〜3年はフルタイムの仕事は辞め、試験勉強に集中する環境を整えることをおすすめします。そのほうが結果として短期合格でき、経済的にも早くリカバリーできます。
仕事を辞めるのは勇気がいりますが、二兎を追うものは一兎も得ず、です。
最近は「アルムナイ採用」というのが流行っているのはご存知でしょうか。会社を辞めても、合格してもしなくても、古巣に再度採用してもらえる可能性すらあります。人材不足の昨今です。司法試験に挑戦するような熱い人材を手放す理由はないはずです。仕事を辞めるときは、理由を説明して、よい人間関係を保つよう努めましょう。


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