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女性弁護士になることをおすすめする5つの理由

女性にこそ弁護士を目指してほしい!
と考える理由を、現役女性弁護士が丁寧に解説します。

法曹志望の若いエリート学生さんはもちろんですが、

  •  転職を考えている社会人経験者

  •  仕事と子育てを頑張っているママ

  •  非法学部出身者

  •  アラフォー・アラフィフ

といった女性たちにも、女性弁護士になることを検討してほしいと思っています。国家資格なのでいつでも取得可能ですし、後で述べますが女性に向いている職業だと思うからです。

自分が弁護士になるなんて考えたこともなーいという人も、
実は興味あるんだけれどもっと情報があればなーという人も、
まずはこの記事を読んでみてご自分が弁護士になる可能性について考えてみてください!!



現役女性弁護士が考える
女性弁護士になることをおすすめする5つの理由は以下のとおりです。
それぞれについて詳しく説明していきます。

  1.  フレキシブルに働くことができる

  2.  Payがよい

  3.  やりがいがある

  4.  社会的地位が得られる

  5.  女性に向いている



1. フレキシブルに働くことができる


まず1つ目の理由は、弁護士になるとフレキシブルに働くことができるという点です。

女性の仕事をめぐる状況・環境

女性のライフスタイル、ライフイベントは様々です。それらに応じて、仕事をめぐる状況・環境も変化に富みますので、フレキシブルに働くことができると女性のQOLはとっても上がります。
(※最近だと、こうして女性・男性とを区別して強調することがいけないことのような風潮がありますが(汗)、、、現実的なお話として書いていますので男性を差別するような意図はありません!)

例えば、「若くて独身のとき」と「子供を産んでまもないとき」と「いろいろ経験済みの50歳」では、仕事に注ぐことができる情熱と時間と体力が大きく異なりますよね。また「パートナーの有無や属性」も大きな影響を及ぼします、いずれの要素にしても、必ずしも自分でコントロールすることができないものです。子供を持とうと思ったがなかなかできない、出産後体調がいまいち、親が病気になった、パートナーと別れた、パートナーの海外転勤が決まった、などなど…人生は予測不能なイベントにあふれていますので、その時々の状況に応じて自分で働き方を変えることができる仕事を持つことは大きなアドバンテージになります。

弁護士業のフレキシビリティー

弁護士は国家資格を保有する専門職なので、一般の仕事よりもフレキシブルに働き方を選ぶことができます。ライフイベントの多い女性にとって、ということは大きなアドバンテージです。

弁護士がフレキシブルに働けることの具体例としては、
子育て中の多くの女性弁護士が「インハウス」と呼ばれる企業内弁護士の仕事に就いていることが挙げられます。企業の法務部に従業員として所属し、その企業に関する法律問題に対処する仕事です。
インハウスはサラリーマンなので、
・ 自分で営業しなくていい
・ 安定した収入
・ 研修制度や福利厚生の恩恵
が得られます。
法務部という業務内容からして、基本的にあまり残業なども要求されないケースが多いですし、オンラインでも仕事がしやすいです。
なので、子育て中の女性弁護士にはとても好都合。
子育て中の女性弁護士の多くが、このインハウスという働き方を選んでいます。子育て中の期間だけインハウスをしてその後は転職するということも可能なので、自分や家族の状況に応じて働き方を変えることができるという好例だといえます。

法律事務所に所属または経営する場合も、ある程度フレキシブルに働くことが可能です。事務所やボスのルールによりますが、プライベートが立て込んでいて仕事に全精力を注ぎ込めない時期に仕事をこれ以上抱えられないと思えば、新規の依頼を断ったり他の弁護士に回すというようなことができます。もちろん報酬量が減少したり、クライアントとの信頼関係を失ったり、というリスクはあります。そのあたりのバランスを考えながら、ということになりますが、そもそも弁護士の業界では(専門外、忙しい、報酬が見合わない、クライアントと折り合いが悪いなどの理由で)仕事を断ることはよくあることです。
仕事量のコントロールという点においては、普通に雇われている人と比較するとかなり自由度があるといえます。

それから、
日々の仕事のフレキシビリティーについてです。
裁判の期日やクライアントとの会合は日程の希望を先に聞いてくれますので、毎週何曜日はできるだけリモートで働きたいと思えば、その日に外での予定を入れないということができます。どうしてもいますぐに連絡ください、いますぐお目にかかりたい!みたいな、一分一秒を争うクライアントは少ないです。(逮捕された、のような刑事事件の場合はあり得ます。)

企業内弁護士の場合は、それぞれの企業のルール次第ですが、
一般的に法律事務所の場合、コアタイムのような勤務時間を採用していることが多いです。あるいは、完全に個々人の裁量に任されている場合も多いです。
法律事務所では、朝型の弁護士は朝はやく仕事をして夕方には帰る、夜型の弁護士は午前中は全然いなくて午後からのそのそ仕事を始める、というようなことがよくあります。ある法律事務所にふらっと挨拶に行ったとき、午前11時だから誰かいるだろうと思ったら、所属弁護士が全員不在だったということがあります。外出ではなく、まだ来ていないという不在でした。秘書や事務の方たちはもちろんいました。「うちの先生がた、夜型なんで・・・」と事務の方が苦笑いして恐縮していました。
基本的に、人に迷惑をかけずに仕事を終わらせることができるのであれば、勤務中に用事を済ませることも問題になりません。スケジュールを自由に調整できる職場なのです。


2. Payがよい

2つ目、とても大事な💰️の話です。フレキシブルに働くことができたとしても全然稼げないのであれば、おすすめの仕事とは言えません。

この点、弁護士は国家資格を保有する専門職ですので、専門性のない一般的な職業と比べると、それなりに稼げます。
「それなりに」と言わざるを得ないのは残念ですが、最近事件数が減っているのに弁護士数が増えているので、都心部の弁護士がレッドオーシャン化しているという業界事情がありまして(汗)…昔ほど「すごく稼げる資格」とはいえないです。
そのあたりの事情は、↓
こちらの分析太郎さんの記事をお読みください。

↑こちらの記事を読むと、弁護士って将来性ないなー(T_T)と思われたでしょうが(^_^;)
とはいえ、
ですよ、
専門職なので、例えば時給で仕事をする場合であれば最低でも時給5,000円くらいにはなります。それなりに経験がある弁護士になると時給は1万円〜数万円、大事務所のパートナークラスになると時給10万円とかになります。

かなり多様な働き方があり、専門分野や営業力にも違いがあるので、一概に平均値を示しても参考にはなりませんが、フルタイム弁護士の年収平均値のイメージとしては、最も低くても年収5〜600万円、大多数は1〜2000万円、稼ぐ人で数千万円〜数億円、という感じだと思ってください。

さきほどのフレキシブルに働くことができるというメリットと合わせると、仕事に全精力を注げる時期はがむしゃらに働いてたくさん稼ぎ、何らかの事情で少しトーンダウンする時期であってもそれなりの稼ぎが期待できるということになります。

ライフイベントが多い女性にとって、そのときどきの状況に応じて働き方を変えても、「それなりに」=生活を維持できる程度に稼ぐことができるという点が女性弁護士をおすすめする理由の1つです。


3. やりがいがある

フレキシブルに働けてPayが良い。そういう仕事であっても、仕事自体にやりがいがないときついですよね。
逆に、やりがいがあっても、あまりに拘束時間が長くてPayが悪いという仕事も苦しいです。

その点、弁護士という仕事は、フレキシブルでPayが良い上に、実にやりがいがあります。
基本的に、弁護士は困っている人の問題解決を助ける仕事です。困っている人を助けるというのは、社会的動物としての人間の本能なのでしょうか、多くの人がやりがいを感じるものです。
また、企業法務であれば、弁護士は法的知識や法律家としての経験を駆使して、クライアントのビジネスを支えます。多様な業種に関わることができますし、時にはこんなことも起きるのか!?とびっくりするような裏側を見ることもあります。
もし、あなたが刑事弁護もやりたいという場合は、重大な刑事事件に携わることもあり得ます。
いわゆる人権派弁護士として、時代を変えるような画期的な裁判に関わることもできるかもしれません。
民事であれ刑事であれ、クライアントが個人であれ法人であれ、
そこには弁護士にしかできない仕事がたくさんあります。普通の人は経験できないような社会の機微・裏側を垣間見れ、面白いことをたくさん経験でき、更には誰かのためになるので、非常にやりがいがあります。

4. 社会的地位が得られる

女性弁護士をおすすめする理由の4つ目は、社会的地位が得られるという点です。

「社会的地位」というとちょっと定義が曖昧ですが、ここでは「世間からの信頼」とか「なんとなく下に見られない」というような意味合いで言っています。

女性にとって、社会的地位を得ることはとてもいいことだと思っています。
というのも、
なんだかんだいってもやはりこの国はまだまだ男社会です。シングルマザーの貧困率なんかを見ればわかるように、女性が1人で社会を生き抜くのは大変なことです。若いうちは平等あるいはちょっとチヤホヤ気味に扱われても、年齢を重ねるにつれ男性との格差は広がっていきます。
社会的地位が得られれば、女性が1人で生きていく、あるいは扶養家族を支える立場として生きていく場合に大いに役立ちます。

社会的地位という意味で言えば、「弁護士」という肩書はとても強いです。
はっきりいって、世の中の人に一目置かれます。
「お仕事は?」
「弁護士です。」
「おぅぅっ」
こんな感じです。
各種審査も通ります。賃貸物件とか、ローンとかやすやす。
これは、年収が高いというのもあるのでしょうが、弁護士会に登録されているかどうかを調べられるので身元が確かということが大きいと思います。
また、裏切ったりする確率が低い(最近は耳を疑うような不祥事弁護士も結構いるのですが…基本的に要求される職業倫理が他の職業よりも高いのでプライベートでもあまり悪いことはしないはず…)と思われているからだと思います。

「弁護士」という肩書はあくまでも肩書に過ぎません。けれども、いまのところ我が国ではもれなく社会的地位がおまけとして付いてきます。
社会的地位を得られるということは特に女性にとって大きな力になります。女性としてこの国で1人で生きていく、あるいは扶養家族を支える立場として生きていく場合に、これがあるとないとではまったく生きやすが違うと言えます。

それから、これは個人的な感想ですが、
社会的地位の副次的作用として、自分に自信が持てるということも大きなアドバンテージです。
社会で生きていくうえで、人から下に見られないということはとても大事なことなのだと思います。社会的地位を得て、人から一目置かれるようになると、自分の仕事に誇りが持てる。自分という存在に自信が持て、幸福度が上がります。


5. 女性に向いている

女性弁護士をおすすめする理由の5つ目は、女性が弁護士という仕事に向いているという点です。

平和的解決

弁護士の主な仕事の1つは紛争解決ですが、紛争というのは基本的に和解で解決するのが理想です。和解とは、話し合いで、互いに譲り合って着地点を見出すことを指します。
よく、「弁護士=裁判で相手を負かす」みたいなイメージを持っている人がいますが、我が国の裁判はそんな好戦的なものではありません。
基本的に、裁判になってもほとんどの場合和解をする努力をします。裁判官の方から猛烈に和解をプッシュしてくることもあります。
クライアントの意向次第ですが、実際問題として、和解で終えることは非常に多いです。

一般に、女性は協調的で非好戦的だと言われており、話し合いによる平和的解決に向いていると思います。
和解というのは、いろいろ腹に据えかねることをお互いに抱えつつも、ちょっと冷静になって一歩引いて解決の道を探るという作業なんですね。なので、クライアントと向き合って、譲れないポイントはどこなのかをとことん話してもらったり、和解をするメリット・デメリットをしっかり説明して理解してもらったりしなければなりません。根気よく、対立構造から和解という平和的解決へとクライアントを導く作業・・・女性に向いていると(私個人は)思うのです。
「国のリーダーが女性になったら戦争は起きない」とシェリル・サンドバーグさんが言っていました。少なくとも男性ほど好戦的ではないということだと思います。

人に寄り添える

一般に、女性は男性より共感力があると言われています。女性は太古より群れで行動してきたため、共感力がある個体のほうが生き延びたのだ、とハラリさんが言ったとか言わないとか笑。
弁護士は、人の話を聞く時間がとても長いです。紛争解決のためには、紛争自体はもちろん、その背景にある事実関係や、クライアントとして何にプライオリティを置いた解決を期待するのか等、多くの情報を得る必要があります。
ところが、弁護士とやり取りをすることに慣れている企業のクライアントではない限り、弁護士に対して要点をまとめて端的に状況を説明できる人は多くありません。必然的に、弁護士は、必要なこと不要なことも含めて、人の話を長時間聞くことになります。
多くの情報を聞き出すためには、共感してくれている・寄り添ってもらえていると感じさせることが大事ですし、長時間人の話を聞く忍耐力も必要です。
クライアントの感情にも一定の理解を示し寄り添いつつ、忍耐強く話を聞いてあげることができる点で、女性は弁護士に向いていると思います。

また、クライアントの心情に寄り添ったサポートができるという意味では、メンタルサポートという点で大いに実力を発揮できると思います。(※このあたりは、男性・女性というよりは、個々の属性によるところが多いですけれどもね。)

ニーズがある

女性弁護士が少ないからだと思いますが、女性の弁護士に依頼したいというニーズが一定数あります。
主に男女問題や家庭内トラブルのクライアントさんにそのようなニーズが見受けられます。男女問題や家庭内トラブルは、性的なことや子どものことなど、かなりプライベートな部分に立ち入る必要があるので女性のきめ細やかさ・デリケートさを求める方が多いのかもしれませんし、男女問題などをウリにしている女性弁護士が多いからかもしれませんが、いずれにしても女性の弁護士に相談したいというニーズが見受けられる分野だといえます。
ちなみに、必ずしも女性のクライアントが女性の弁護士を求めるというわけではなく、例えば離婚の調停で、夫には女性弁護士、妻には男性弁護士がついているというようなこともよくあります。
また、先ほどご紹介した分析太郎さんの記事のグラフにありましたが、全体としての訴訟件数は減少していますが、家事事件は増加しています。離婚件数の増加や、高齢化に伴う相続案件の増加、そして家庭内の紛争が積極的に外部に持ち出されるようになったことが主な原因だと思われますが、女性弁護士の需要が期待できる分野の事件数が増加しているということは、おすすめ理由の1つです。

また、最近では、ジェンダーギャップを埋めるという意味合いから女性の社外取締役を探している企業が多いです。女性大臣と似たようなイメージですね。下駄を履かせられているケースもありますが、そうだとしても、ニーズがあるという意味では変わりありません。
それから、企業内弁護士の話をすれば、法務というポジションは比較的女性リーダーを置きやすいと言われます。体力も人脈もさほど使わない専門的な部門だからだと思います。社内で根回しなどの調整をする必要もないですし(どちらかというと根回しされる立場?!)、部下との人間関係も法務の場合ウェットな関係にはなりにくいためジェンダーがハンデにならないのだと思います。


ここまで、
女性弁護士になることをおすすめする5つの理由を解説してきました。

  1.  フレキシブルに働くことができる

  2.  Payがよい

  3.  やりがいがある

  4.  社会的地位が得られる

  5.  女性に向いている

    女性にとって弁護士という仕事は大変魅力的です。業界自体はかなりレッドオーシャン化しているとはいえ、業界自体が消滅するほどのリスクはありませんので、興味が湧いた方はぜひ選択肢の1つに検討してみてください!


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