司法試験合格後はどうなるの?(2) 何が何でも就職先を探さないと!
司法試験に合格し、司法修習生になったら、就職先について考えなければなりません。
「若くない普通の人」の現実
司法試験に合格したときの喜びは本当に素晴らしいものです。
大きな目標を達成し、周囲からも祝われて、人生バラ色!!🌹👏という感じです。
でもでも、すぐに冷静になります。
あー、就職活動しなきゃ。
という現実が立ちはだかります。
私もそうでしたので、
とりえもキャリアもない「若くない普通の人」である合格者の就活の現実
について、この記事でしっかり書いていこうと思います。
弁護士の就活市場においては、若いエリートたちの需要が圧倒的に大きいです。東大の在学中合格、みたいな人たちがゴロゴロいる世界です。いわゆる大手の法律事務所は基本的にそういった若いエリートしか採りません。
若くない合格者も、人数的には少ないながらいますが、「前職が◯◯」(◯◯=すごい)のような人が結構います。別のキャリアが立派に成立していた人、人生の成功体験がすでにある人たちが、「弁護士資格も、とってみた」みたいな感じで司法試験に合格しちゃうというケースが案外多いのです。
そういう
・ 若くて優れた人たち
・ 特別な能力や経験がある人たち
がマジョリティーの世界なので、
・ 特別な能力や経験がない
・ そのうえ若くない普通の人
は、彼らと同じ土俵で就活をすることはできません。需要がありません。
夢のない話で申し訳無いですが、「若くない普通の人」は就活の序列において最下層なのです。
エリートがゴロゴロいるのにわざわざ「若くない普通の人」を前のめりで採用してくれるなんて理由がないですもんね、当然です。
もちろん、司法試験に合格して弁護士という資格を持つのですから、就職にあぶれてしまうということはありえません。年収や条件、仕事内容を選ばないのであればどこでも就職はできます。
しかしやはり、せっかく大きな投資をして資格を得たのですから、相応の条件で就職をするべきですし、最初に就職をする事務所ではしっかりと基礎の基礎を学べる環境に身を置かせてもらうべきです。
「若くない普通の人」の就職活動の進め方
では、「若くない普通の人」はどのように就活を進めたらよいのでしょうか。
ダントツのおすすめは、人のツテを頼ることです。
法科大学院の先輩、教員などに現役弁護士がたくさんいると思います。その方々と仲良くして(あるいは仲良くなくても、突撃して!)「就職先の斡旋をお願い!」するのです。
親戚でも遠い友人でもいいでしょう。現役の弁護士っていう人を徹底的に探して、突撃して採用OR斡旋してもらうのです。
弁護士というのはとにかく、人と人の横のつながりが大切な業界です。修習の同期もそうですが、先輩や後輩とのつながりも大事。情報を交換し合ったり、人や案件を紹介したり、仕事を手伝ってもらったり…ということが弁護士人生を通して続くのです。
なので、もしあなたが直談判した弁護士が直接採用してくれないとしても、知り合いの弁護士に声がけをしてくれるので、何かしらご縁をいただけると思います。弁護士は弁護士の知り合いがたくさんいるものです。
私の知り合いは、「そういえば中学のクラスメートの◯◯くんのお父さんが弁護士だったなあ」というツテで、全然親しくもない◯◯くんに久々の年賀状を送り、その勢いでお父さんの事務所に突撃して採用してもらいました
私自身も、法科大学院で一番尊敬していた実務家教員に頼み込みました。採用予定はないと何度か断られて、別の事務所を紹介してもらったりもしたのですが、その先生の下で働きたかったのでめげずにしつこく押して結果その先生の事務所に採用してもらいました。
それから、実務修習でお世話になった事務所にそのままお世話になるというケースも多いと思います。実務修習がいわば試用期間のような期間になるので、お互いに納得しての採用ですね。
出身大学の同窓会団体を通じて就職先を見つけた人もいます。
都心での就職をやめて、少し郊外の事務所に就職した人もいます。都心は弁護士の数がとても多く競争が熾烈ですが、少し郊外に行くと「弁護士過疎」に準ずるような、人口比の弁護士数が少ないエリアがあります。そういったところでは「若くない普通の人」でも就職口があります。
ツテ就活を激推ししてきましたが、求人情報を見て応募するという方法ももちろんあります。
ただ、ブラックなボス弁護士・法律事務所もないわけではないです。法律家なのにブラックって…?!とびっくりでしょうが、ボス弁護士のキャラクター次第で事務所の雰囲気やルールは大きく異なるので結構一か八かなところがあります。一般企業のように被用者として手厚い保護を受けるというわけでもないですし。
集客や報酬算出の方法が強引な事務所で性に合わないというようなケースもあります。売上のノルマがあるような事務所もあります。
なので、公開されている求人情報を見て応募する場合は、事前にその事務所について調査を尽くしたうえで、十分に疑問や不安を解消してから内定を承諾しましょう。
弁護士の就労形態って?
弁護士として法律事務所に就職するということがどういうことなのか、一般的にあまり知られていないと思いますので弁護士の就労形態について少し触れておこうと思います。
法律事務所の形態は2パターンあります。
1つ目は、昔ながらの法律事務所。
「◯✗法律事務所」という名称で事務所を構え、1人または複数の弁護士が所属しているのですが、「◯✗法律事務所」という法人は存在しません。実体は、個人事業主の集合体です。
多数の弁護士が所属している法律事務所も、実はこの昔ながらの法律事務所の形態だったりします。意外、ですよね。
2つ目は、法人である法律事務所。「弁護士法人」という名称がついていればこちらのパターンの法律事務所ということです。
こちらは、株式会社と同じように法人としての実体があります。支店を設けることができるので、ビジネスを全国展開している比較的新しめな法律事務所が法人化しているイメージです。
弁護士の就職先が1つ目の法律事務所の場合は、個人事業主であるボス弁護士(パートナー弁護士)と個人的に契約を締結する形になります。あなた自身も個人事業主となり、開業届を出して確定申告をしていくことになります。
個人事業主と個人事業主が契約する形態なので、固定給や歩合などの報酬、弁護士会費などの経費をどうするのかは両者間の取り決め次第です。事務所を通さず個人的に事件を受任できるのか、といったことも取り決めます。
個人事業主なので、そ国民年金と健康保険には個人で入ることになります。(条件次第では厚生年金加入となるケースもありえますがここでは割愛)
健康保険に関しては、弁護士国保という組合があり、加入要件を満たせばこちらに加入するほうが国民健康保険よりも費用を抑えられます。私もこちらに加入しています。
就職先が2つ目の法律事務所=弁護士法人の場合で、雇用契約を締結する場合は、いわゆる会社勤めと似たような立場になります。裁量のあるサラリーマンというような感じでしょうか。
法人に雇用されるので、厚生年金や健康保険は法人を通して強制加入となります。