都道府県議会の各党派議席占有率を分析する
2023年4月に統一地方選挙が行われ、多くの都道府県議会で議員の入れ替えがありました。
基本的に自民党が強いとされる地方議会選挙ですが、都道府県別に勢力に違いがあるのでしょうか。
各党派の議席占有率を可能な限り纏めましたので、ご覧ください。
まずは自民党の議席占有率からです。
データは2023年8月23日時点の各都道府県議会のHPから取得しております。
分母は各都道府県議会の定数、分子は会派名に「自由民主」あるいは「自民」が入っている会派の所属議員数合計となっております。
暖色系の色で塗られている都道府県では自民党系の会派のみで議席の過半数を占有しており、単独で条例案を可決できる状態にあります。
自民党系の会派が過半数を下回っているのは、岩手県、東京都、神奈川県、長野県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、沖縄県の10都道府県のみであり、その他の都道府県では過半数を確保しているため、全国的に非常に強い勢力を持っていると言えるでしょう。
尚、議席占有率のベスト5とワースト5は以下の通り。
北陸及び九州で特に強いことが伺われます。
ワーストにランクインしている都道府県は、日本維新の会が部類の強さを誇っている大阪府と、各党派が群雄割拠している東京都、残りは所謂リベラル勢力が強い3県となっております。
次に公明党の議席占有率です。
分母は各都道府県議会の定数、分子は会派名に「公明」が入っている会派の所属議員数合計となっております。
自民党系の会派率を示した図とは数字のスケールが異なることにご注意ください。
決して大政党ではありませんが、空白県のないことが特徴です。
議席占有率のベスト5とワースト5は以下の通り。
基本的には大都市に基盤を持っていることが伺われます。
公明党が関西圏で強いことを示す「常勝関西」という言葉が新聞紙面を飾ることがありますが、その言葉の通り、東京以外は全て西日本の府県がランキング上位に位置しております。
ワースト5にランクインしたのは、同率一位の福井県と山梨県を合わせて6県。
この6つの県だけが議席数1となっております。
東北・北陸での支持の薄さが伺えます。
次は日本維新の会の議席占有率です。
分母は各都道府県議会の定数、分子は会派名に「維新」が入っている会派の所属議員数合計となっております。
こちらもスケールの違いにご注意ください。
議席数がゼロの空白県は白地となっております。
本拠地である近畿で非常に強く、その他、関東・四国・九州・北海道で議席を確保しております。
北海道では新党大地と連携しておりますので、地力としては西日本で強い政党だと言えるでしょう。
議席を保有している都道府県議会での議席占有率は以下の通り。
京都府では国民民主党と、北海道では新党大地と統一会派を組んでおりますが、統一会派の数字をそのまま分子に採用しております。
地滑り的な大勝を果した大阪府議会をはじめ、近畿圏の府県議会で議席占有率が高くなっております。
大都市寄りの政策を掲げている政党ということもあり、東京都や愛知県、福岡県といった各地域で中心的な立場にある都県議会で躍進できるか否かが重要になってくるのではないでしょうか。
次は共産党の議席占有率です。
分母は各都道府県議会の定数、分子は会派名に「共産」が入っている会派の所属議員数合計となっております。
議席数がゼロの空白県を白地で抜いており、新潟県、福井県、静岡県、鳥取県、福岡県、熊本県となっております。
全国的に強い支持があるとは言えませんが、一部の都府県では10%超の議席占有率があります。
議席占有率のベスト5は以下の通り。
伝統的に支持の厚い高知県と京都府で15%を超えているほか、国政レベルでも比較的リベラル勢力が強い東京都、沖縄県、長野県が上位にランクインしております。
近年は国政レベルでも支持が退潮している共産党ですが、議席数を確保できている地域の政治で何か成果を挙げられれば底入れを図れるかもしれません。
最後に立憲民主党の議席占有率です。
国政の第二党である立憲民主党を最後に回したのには理由があり、それは、立憲民主党系の議員が所属する会派は必ずしも会派名に「立憲」を冠しているわけではないからです。
各都道府県議会の定数を分母、会派名に「立憲」が入っている会派の所属議員数合計を分子とすると、図は以下の通りとなります。
分子にカウントできる会派のある議会は以下の通り。
ただ、前述の通り立憲民主党は国政の第二党でそれなりに支持されている政党であり、所謂「立憲系」の議員が主に所属する会派は全国津々浦々にあることが予想されます。
そこで、参考情報として、会派名に「自民」「自由民主」「公明」「維新」「国民」「共産」が入っていない会派で、それぞれの議会で最も所属議員数が多い会派の所属議員数を分子として図を作成いたしました。
議席占有率のベスト5は以下の通り。
中部地方と東北地方の5県がランクインしました。
三重県議会は「新政みえ」で21議席、「草莽」という会派で4議席、「草の根運動いが」という会派で1議席、「日本共産党」が1議席ですので、「自由民主党」の19議席、「公明党」の2議席に頼らずとも過半数を制することができる状況。
岩手県議会も「自由民主党」と「公明党」の合計が14議席ですので、所謂国政与党もしくは維新系の組み合わせ以外で過半数を持っています。
日本維新の会が地方自治を梃子に勢力を拡大したことを思えば、国政与党の枠組み以外で政治を進められる条件が整っている地方での取り組み(と広報)が重要になってくるのではないでしょうか。
議席占有率のワースト5は以下の通り。
日本維新の会が議席を伸ばした大阪府、愛媛県、奈良県で非自民・非維新勢力が小さくなっております。
富山県は自民党系の議席占有率が88%の自民王国なのでさもありなんといったところ。
茨城県はやや特殊で、以下の通り自民党会派以外は極端に小さい会派が乱立しているため、この順位となっております。
(「立憲いばらき」がありますが、参考情報の統計では「茨城無所属の会」を分子としております)
恐らくですが、茨城県は参議院で4議席(改選は2議席)が与えられており、2議席目を自民党以外で争う構図が自民党以外の結束を難しくしているのではないでしょうか。
各党派議席占有率の分析は以上です。
自民党が議席を独占しがちな理由や、注目の議会等は後に特集していこうと思います。
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