町内会DXにメッセージングアプリを使って挑戦してみよう!
地方自治デジタル化のススメでは、地方自治体DXの事例紹介などを発信していきます。
今回は、町内会について調べてみました。
町内会とは、同じ地域に住む人たちがつながりを深め、暮らしやすい地域社会を自分たちで作るための任意団体です。
近年では社会のデジタル化の波も町内会まで到達し、便利なツールを用いて、より簡単で効果的な町内会活動が可能になる兆しが見えてきました。
しかし、町内会の役員が高齢化している例も多く、その環境ではパソコンやインターネットにあまり興味を示されないケースも少なくありません。
旧体制のままの町内会では、これからの地域を支える若手が興味を示さないのもやむを得ないことと言えるでしょう。
しかし、本当に町内会のデジタル化は進んでいないのでしょうか。調べてみると、総務省はこのような町内会DXの導入を推進・支援しています。
参考:地域社会のデジタル化に係る参考事例集(https://www.soumu.go.jp/main_content/000796326.pdf)
事例の中で、北海道札幌市での参考事例では、令和3年度は自治会や町内会や自治会で「リモート会議実施研修会」の導入や、「電子回覧板導入モデル事業」を実施するなど、積極的にDX推進に取り組んでいることがわかりました。
そこで、LINEを代表とする「メッセージングアプリ」を利用して、もっと若手の住人にも参加してもらえる組織作りを目指してみませんか?
特別なツールを購入しなくても現行の仕組みのまま進められる、町内会のDX化について考えてみましょう。
町会にメッセージングアプリを導入するメリット
町内会にメッセージングアプリを導入することで、多くのメリットを期待できます。これまで苦労しておこなっていたことが、簡単に解決できる可能性がありますので、ぜひ検討してみませんか?
連絡調整時間の短縮~役員の連絡網をアプリで
町内会での役員間の連絡の多くは電話連絡です。
しかし、昨今特殊詐欺電話の被害も増加し、固定電話の利用をやめる、設置していても電話に出ないお年寄りも増加していることから、スムーズな連絡も困難になりました。
そこで、メッセージングアプリなどを使用した連絡手段が注目されています。例えば、町会長を主な発信者としたグループメッセージングアプリを作り、役員がグループ登録しておけば、町会長の発信を全員が一度に受け取れ、誰かに伝達する手間も省けます。
「連絡がつかない」「電話するのを忘れた」などのトラブルを回避できるのも良い点です。打ち合わせはオンラインで!~オンライン会議の導入
昨今の新型コロナウィルスの流行を機に、一時期大勢の人が一堂に会することができなくなりました。
一度に集まって話すことが出来ないと、解決すべき問題が長期間放置されて、大事に至ってしまう場合もあります。
しかし、一か所に集まることはできなくても、同じ時間に架空の「会議室」にログインすることで、家に居ながらにして一斉に会議がおこなえるオンライン会議を使えば、話し合いが可能です。
慣れないうちは発言しにくいなどのデメリットもありますが、まずはツールに慣れていくところから始めると良いでしょう。情報共有を手軽に~回覧板の代わりとしてのメッセージングアプリ活用
昔ながらの「回覧板」は、紙をめくりながら目で確認できるのが良いところです。
しかし、うっかり家に放置してしまったり、留守宅のポストに入ったまま期限を迎えてしまったり…。
これも、メッセージングアプリで解決可能です。
町内会でメッセージングアプリの公式アカウントを取得し、会員にともだち登録を呼びかけます。
ともだち登録さえしておけば、町内会からの必要な発信を、その都度受け取ることが可能です。
メッセージングアプリを活用することで、回覧板の管理からも解放されます。「自助」「共助」の強化~町会での安否確認
災害時には、地域のお年寄りの安否確認を迅速におこなう必要がありますが、メッセージングアプリであれば簡単に安否確認が可能です。
居場所や健康状態、必要なものなどを書き込むことで、自分の状態を伝えられます。
しかし、あまりに多い人数を一つのグループで管理しても、個々に書き込めば、書き込んだ情報を必要とする人が確認する前に流れて行ってしまうかもしれません。
ですが町内会には、地域の範囲を細分化し、いくつかの番地ごとにまとめ役の「理事」産がいると思われます。
理事が担当する地区の会員とメッセージングアプリで繋がっておき、災害時には訪問が困難な場合でも、お互いに呼びかけをおこなうことで、安否確認ができます。
地域の民生委員も、情報を基に動くことが容易になります。町内の危険な場所はどこ?~防災・防犯マップの作成
町内で死角になりやすい場所や、事故の発生頻度が高い場所、ゴミの集積所、防犯カメラが設置されている場所……。
それらを手書きで地図に書き込んでいくのは、なかなかに骨が折れる作業です。
また、その地図が町会会館にしかないのであれば、多くの人の目にも触れないので活かすことは難しいでしょう。
しかし、それぞれをアイコン化し、パソコンで作った町内の地図に載せていくだけだったらどうでしょう?
用途に合わせ、「防犯マップ」「ゴミの集積所マップ」などを作って町会のページに設置し、定期的に更新して行けば、誰もが見られる強い味方となります。活動が簡単なら若手も参加できるかも?~町会の若返り
メッセージングアプリを用いることで、これまで町会活動が簡略化されれば、仕事に忙しいパパママ世代も、役員に取り込める可能性が高くなります。
パパママ世代は、これからの地域を担う強力な味方です。
新しい世代が使いやすいツールを積極的に導入していくことで、組織の若返りを図れるでしょう。
町内会でDX化する際のデメリットと対策
しかし、メッセージングアプリの操作は、パソコンやスマホに関わらずに暮らしている高齢者にとっては簡単ではありません。
これらを解決するには、どのような対策が必要でしょうか。
メッセージングアプリに詳しくない人が多いと導入が難しい
例えば、メッセージングアプリひとつでも、これまで利用してこなかった高齢者にとっては、使い方を覚えるのは時間がかかります。
これまでは、役員名簿もその都度すべて手書きだった……そんな町内会がいきなり難しいメッセージングアプリを導入するのは困難です。
新しいことを覚えるのは面倒くさいからと、責任を放棄する役員も出てくるかもしれません。
ですが、メッセージングアプリに詳しい人が町内会の役員にいれば、詳しい使い方を説明することができます。
多世代交流のきっかけにもなり得ますので、町内会長や若手の役員が、積極的にメッセージングアプリに触れていきましょう。
役員向けの講習会を開くのも効果的です。
多くの会員に町会会館へ足を運んでもらうことによって、知り合いが増え、将来的に役員を引き継いでくれる若手との出会いも期待できます。使い方をはっきりと決めておく必要がある
メッセージングアプリは便利なツールですが、多くの人がグループに登録する場合は、ある程度のルールを決めておかないと、混沌とします。
例えば、連絡用のメッセージングアプリなのに、自分が書きたいことを書き連ねれば、大事な情報がどんどん過去の情報として流れて行って、読みにくくなります。
また、深夜や早朝など、迷惑な時間帯に書き込む、関係のない人を勝手に招待するなども、混乱を招く原因となるでしょう。
そのため、グループメッセージングアプリを作る時には、最初に使い方や書き込みの時間、正体の権限など、最初にルールを作っておくと、問題が起きにくくなります。
町会のDX化には自治体の支援が必要
しかし、役員の多くがメッセージングアプリに触れた経験が少ない場合には、導入だけを促しても効果はありません。
行政が必要な支援を継続的におこなうことで、より効果的なDX化が期待できます。
端末の貸し出し
町会によっては、パソコンやタブレット端末の用意がない場合もあります。
自治体で一括購入し、各町会に一定数を貸し出し、活用を促すと良いでしょう。
必要であれば、貸し出しに併せて使い方の研修も行います。町会でのインターネット環境構築への補助
インターネットを有線だけではなくWi-Fiでも使えるよう、導入を支援しましょう。
月額料金がかかりますが、町内会が予算化していない状態で導入する場合には、補助金での対応も挿入促進につながります。
まとめ
働いていて時間がない方、町会活動から遠く触れることがなかった方にも、メッセージングアプリなどのメッセージングアプリを用いることで、活動が身近になり、関心を持ってもらうことができます。
しかし、町会役員がスマホやパソコンを持っていない場合や、あってもメッセージングアプリを利用した経験がないと、導入は困難です。
そのため、行政は、インターネットの用意や、使い方について継続的な支援をしていくことが必要です。
しかし、使い方を一度覚えてしまえば、年齢の離れたお子さんやお孫さんと交流できる便利なツールとなります。
便利なコミュニケーションツールを駆使し、町会での作業の簡略化や、多世代が関われる環境づくりを検討していきましょう。
参考:地域社会のデジタル化に係る参考事例集(https://www.soumu.go.jp/main_content/000796326.pdf)
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