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技術士総合技術監理部門「出題者側からのメッセージ」

2025年の技術士総合技術監理部門の『総合技術監理 キーワード集 2025』の原案はもうすでに発表されています。

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この原稿を執筆している2025年1月3日現在、日本技術士会からの正式発表はまだありません。
ただ、文部科学省からは令和6年11月に文部科学省技術士分科会での配布資料として、すでに『総合技術監理 キーワード集 2025』が発表されています。

この総合技術監理部門のキーワード集の改定ですが、ここ数年でようやく一つのパターンにたどり着き、ようやく落ち着きを見せているようです。

改訂そのものは今後も毎年実施されるようなのですが、ここ数年はそれが次のようなパターンに落ち着き始めています。

・新しいキーワードがいくつか増える
・古いキーワードがいくつか消える
・キーワード集の中での登場順がいくつか入れ替わる

以前は「ごっそり」と言ってよいほどキーワードが入れ替わる年もありました。
しかし、総合技術監理部門が始まっておよそ20年を経てようやく一つのパターンにたどり着いたようです。
改訂として、ようやく本来あるべき姿に落ち着いた、と言えるでしょう。

では、2025年度の改定は、実際にはどのようになったのか。

さきほどのパターンに当てはめて表現すると、

・新しいキーワードが10増えた
・古いキーワードが3つ消える
・キーワード集の中での登場順が3つ入れ替わった

まあ、小幅な変更と言ってよいでしょうね。

前出の文部科学省技術士分科会の議事録を眺めると、

「できるだけ受験生の御負担を考えて、あまり急激な変更をしないという方針の下で」

と委員の方が発言されている下りがあります。

きちんと受験者のことも考えていただいていて、この小幅な変更に至ったんですね。

確かに、「キーワード集」しか発表されていない現状からすると、大幅な変更は受験者にとって相当の負担を強いることになります。

負担になるのはもちろんながら、大幅な変更があった場合の影響は、それだけにとどまりません。

前年度を否定せんばかりの大幅な変更は、
「いったい昨年のキーワード集は何だったの?」
という、余計な疑念を受験者に抱かせてしまう恐れがあります。

すなわち、キーワード集の大幅な変更は、総合技術監理部門というものについての正当性、信頼性を揺るがせる行為にもなりかねないと考えられます。

先ほど、総合技術監理部門が始まっておよそ20年を経て、という表現を用いましたが、20年が経ってもいまだに総合技術監理部門の在り方についての議論が止むことがありません。

きわめて有意義な部門であることは論を待たないのですから、キーワード集という技術力の根本、すなわち部門の礎については揺るがせにしてほしくないものです。

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なお、今回の小幅な変更について、議事録には次のように述べられています。

「ただ、いろいろ社会情勢も変わっておりますので、例えば新規追加したワードは、法律でいくと子ども・子育て支援法ですとかといったものも入っていますし、あるいは最近かなり注目を浴びている、アンコンシャス・バイアスですとか、ネイチャーポジティブですとか、バイオエコノミーとか、そういった言葉も入っております」

社会の動きに応じて数語を新規追加しています、という内容ですね。
それはそういうことで結構なのですが・・・

それは結構なのですが、興味を引いたのは、議事録のそのあとにある総合技術監理部門の専門委員の方の次の発言。
 
「・・・それから、キーワードとしてどうかという問題もあるんですが、出題者側からのメッセージを伝えたいという意味で、インフラ老朽化対策ですとか、あるいはデジタルトランスフォーメーションとか、グリーントランスフォーメーションに対する安全対策といった、キーワードというよりはこういったことも勉強しておいてくださいねというようなメッセージ的なものも追加をして、今回修正を行いました」

ほお。
キーワード集に、「出題者側からのメッセージ」が込められている、ということのようです。

キーワードというよりはこういったことも勉強しておいてくださいねというようなメッセージ。
この一言は大切に受け止めなくてはなりません。

試験には出ないキーワードがあるゾ! と言いたいわけではありません。

技術者として大切なのは、試験そのものではありません。
むしろ試験の合格後にその資格を生かして業務を行う場面で技術力をいかに発揮するか、です。

専門委員の方の発言の意図はそこにはないのかもしれませんが、総合技術監理部門の技術士として持っておくべき視野、視界というものの広さを文科省側できちんとグリップしてくれているというのは、なんとも心強い。

無論、政府のやることですから多少政策の色が混ざってくるのは仕方がないとしても。

この総合技術監理部門の在り方についてはいまだに議論が続いていて、海外の資格との関係性が明確でない、といった不安を文部科学省は抱いているようです。

でもねぇ。
いいものなんだから、国際的な横並びなんて、あまり気にしなくてよいのに。

むしろ、国際的に広げていくという視座に立てばよいのに。

国際的な観点からの位置づけがあれば総合技術監理部門の在り方について云々いわれることもないのでしょうけど、もっと自信を持ってほしいですね。

資格を取得し、それを実践してきた立場からすると、総合技術監理部門の学習で養える技術や感覚は、技術者にとって極めて重要な資質であって、優れた技術者、それも特に管理職になるには必須と言っても過言でない、我が国初のすばらしい技術者資格です。

そして、それは世界のなかにおいても普遍です。

文科省、もっと自信をもって!

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