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技術士建設部門【口頭試験】の傾向と対策//問われる資質能力・コンピテンシーごとの対策

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【当ページ掲載記事の要旨】--------------------■
・技術士建設部門【口頭試験】試験の内容
・技術士建設部門【口頭試験】確認される資質能力・コンピテンシー
・技術士建設部門【口頭試験】対策の基本
・技術士建設部門【口頭試験】業務経歴の見直しと筆記試験の論文の復元
・技術士としての実務能力に関する試問対策
 ①コミュニケーション、リーダーシップ
 ②評価、マネジメント
・技術士としての適格性に関する試問対策
 ③技術者倫理
 ④継続研さん
・口頭試験における資質能力ごとの対策のまとめ
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注記)noteのテキストエディタでは表の作成が困難であるため、一部の記事は.doc又は.xlsをダウンロードする形式としている。


技術士口頭試験の合格率は、筆記試験合格者の約90%が合格するといった非常に高い確率となっている。しかし、10%前後の受験者が不合格となっている。

不合格となった受験者の多くは、「コミュニケーション、リーダーシップ」または「評価、マネジメント」、あるいはこれら両方の資質能力が合否判定基準の60%に満たない場合がほとんどである。

そのため、当記事では、「コミュニケーション、リーダーシップ」及び「評価、マネジメント」の解説に多くのページを割いている。

🟧技術士建設部門【口頭試験】試験の内容

技術士第二次試験における口頭試験の内容は、
・「技術士第二次試験実施大綱」(文部科学省)
・「令和6年度 技術士第二次試験 受験申込み案内」(日本技術士会)
などに記載されているとおりであり、これらの資料から抜粋して以下に示す。

技術士建設部門の口頭試験の内容
出典)日本技術士会

ここで注意したいポイントは、”適格性を判定することに主眼をおき”との記述である。これは、試問事項のうちの「技術士としての適格性」に関する試問にウエイトが置かれるということではなく、「あなたが技術士としてふさわしいかどうか」に主眼を置くということであることに留意したい。

🟧技術士建設部門【口頭試験】確認される資質能力・コンピテンシー

技術士口頭試験では、前述したとおり、
【Ⅰ 技術士としての実務能力】
  ①コミュニケーション、リーダーシップ
  ②評価、マネジメント
【Ⅱ 技術士としての適格性】
  ③技術者倫理
  ④継続研さん
といった6つの資質能力の有無が確認されることとなる。

「専門的学識」と「問題解決」についても試問さされる受験者もいるが、これらの資質能力について問われる理由は、受験申し込み時に提出した「業務経歴」の記述内容について試験官の理解が及んでいない場合が考えられることから、問われたことに対して簡潔明瞭に回答する。

口頭試験で問われる資質能力の定義・解説は下表のとおりであり、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」などに掲載されているため、熟読しておく。

口頭試験で確認される「技術士に求められる資質能力」(その1)
出典)文部科学省
口頭試験で確認される「技術士に求められる資質能力」(その2)
出典)文部科学省

文部科学省によれば、技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)について、「国際エンジニアリング連合(IEA)」の「専門職としての知識・能力」(プロフェッショナル・コンピテンシー、PC)を踏まえながら、上表の通り、キーワードを挙げて示している。またこれらは、”別の表現で言えば、技術士であれば「最低限備えるべき資質能力」である”としている。

国際エンジニアリング連合(International Engineering Alliance, IEA)やAPECとの違いなどについて詳しく知りたい方は、下記のウエブサイトなどを参考にするとよい。

▼技術士に求められる資質能力・コンピテンシーに関連するウエブサイト等

日本における国際的通用性の現状(概要)(文部科学省)
ー4.IPEA国際エンジニア・APECエンジニア ー(日本技術士会)
IEA-PC、技術士コンピテンシー、段階別判定項目(案)(文部科学省)
Ⅰ.「卒業生としての知識・能力と専門職としての知識・能力」 IEA Graduate Attributes and Professional Competenciesの翻訳にあたって(文部科学省)
Graduate Attributes and Professional Competencies の翻訳にあたって(日本技術士会、他)

🟧口頭試験対策の基本

技術士口頭試験で最も大切なことは、
・1つ目:試問されたことについてのみ、簡潔明瞭に回答する。
・2つ目:試問されたことについて、謙虚に回答する。
の2つである。

■少し解説を加えると、1つ目は冗長な回答(話し)をしないということである。模擬試験においても試問された以外のことを冗長に話す受験が非常に多い。試験官より”3分程度で説明して下さい”といったような時間の指定や”ホワイトボードを使って説明して下さい”といった指示がない限り、簡潔明瞭に回答することを基本とする。「簡潔」とは、息継ぎをせずに一息あるいは二息程度で話すことができる長さである。回答内容に不足がある場合には、試験官が追加で質問をしてくれる。

令和6年度 技術士第二次試験 受験申込み案内」(日本技術士会)の「5.採点に際しての取り扱い」(下記に抜粋)において ”⑨試験問題に明記されている指示どおりに解答していない答案を提出した場合” は「失格」として、全ての答案の採点の対象から除外すると明記されている。この記載は筆記試験に対しての取り扱いではあるが、口頭試験にも通ずるものである。

採点に際しての取り扱い
出典)日本技術士会

事前に、全く面識のない第三者も含めて、模擬試験を何度も受け、冗長に話す癖のある受験者は、試験当日までに矯正し、口頭試験当日には、試験官とリズミカルな「会話」のキャッチボールができるようにしておく。

試験官によっては、「質問には簡潔に答えて下さい。あまりダラダラしゃべると、印象悪いので。」などと注意を促してくれる場合もある。試験官にとっても、問うてもいないことを冗長に話されることは、嫌悪感を感じるものである。

試験時間はわずか20分である。冗長に話すぎると時間切れになる可能性が高くなり、時間切れになってすべてのコンピテンシーに関する試問ができない場合は、「不合格」が確定となってしまう。

■2つ目についてであるが、「謙虚」とは、「Oxford Languages」(オックスフォード大学出版局)によれば、”自分を偉いものと思わず、すなおに他に学ぶ気持があること。”とされている。

具体的には技術士口頭試験においては、
・試験官と口論をしない。
・試験官を不快にさせるノンバーバル(非言語)コミュニケーションを取らない。
といったことである。

非言語コミュニケーション

以上の2つ以外にもよくある失敗例としは、例えば建設業界の最近のトピックスについて問われてそれに回答できない場合に、考え込んで沈黙してしまうことがある。時間がもったいないし、試験官の心象もよくないはずである。

回答できない試問をされた場合には、「分かりませんので、持ち帰って勉強します」「後学します」など、継続研さんの姿勢を示しておけば、「分かりません」と回答しても合格した受験者はいくらでもいる。

🟧業務経歴の見直しと筆記試験の論文の復元

当記事の冒頭で述べた通り、口頭試験は、
・筆記試験における記述式問題の答案
・業務経歴
を踏まえて実施されるため、

記述式答案の復元と業務経歴の再整理は必須の作業であり、これらの内容と口頭試験で問われるコンピテンシーの紐づけについても必ず行っておく。これらのやり方の詳細については、下記の記事にて述べているので活用していただきたい。

・「建設部門【口頭試験】業務経歴・業務詳細と資質能力の紐づけ(業務経歴・詳細の見直し)

上記の記事内で記載している「業務経歴・詳細業務×業務の種類・資質能力」のマトリクス表や、「技術者倫理・技術士倫理綱領×3義務2責務」のマトリクス表を活用していただきたい。

以上のことができていることを前提に、以下に口頭試験で問われる資質能力・コンピテンシーごとの対策を、過去の口頭試験で問われた試問例を基に解説する。

🟧専門的学識、問題解決の試問対策(実務能力)

👨🏻Q【⓪】「これまでの経歴と詳細業務の概要を3分程度で説明して下さい。」

この試問は令和元年度に試験制度が改正されるまでの、平成30年度までの口頭試験では頻出の試問であり、必ず問われていたといっても過言ではない。

令和元年度に試験制度が改正されて以降は、試問される受験者は少なくなったものの、全く試問されなくなったということではなく、「令和6年度 技術士第二次試験 受験申込み案内」(日本技術士会)においても ”業務経歴等の内容を確認することがある” としていことから、必ず準備をしておく。

具体的な準備としては、
①自身の業務経歴を3~5分程度で簡潔明瞭に説明できるようにしておく。
②技術士としてふさわしい専門的学識があることをアピールできるようにしておく。
③複合的な問題に対して、トレードオフの関係を踏まえた上で、複数の解決策を合理的に提案し、又は改善したことをアピールできるようにしておく。

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