福島第一原発のALPS処理水の海洋放出について #1
そもそもALPS処理水とは何かの定義
経産省の説明ページについて
論点1 トリチウムについて
ALPSにて取り除けないトリチウムについて、概ね論点はトリチウムの海洋放出の影響の話と、他の原発や再処理施設で放出している量との比較があると思っています
先に他の原発・再処理施設で放出している量の比較のほうで、反対派等の主張の一部を見ていると、他の原発と福島第一原発の違いは他の原発は冷却するための水が化学反応によって変質してトリチウムになるのに対して、福島第一原発はデプリに直接触れているので放出する処理水とは別のものという主張が見られる
ただ、これは処理水の問題とトリチウムの問題をごっちゃにしているという気がするので、少し整理したかった
デプリに触れて発生したトリチウムと直接触れていない化学反応によって発生したトリチウムに物質としての性質の差異があるのかというと、調べた限りでは差はないように思える
つまりトリチウムに関して言えば福島第一原発と他の原発・再処理施設で発生しているトリチウムの量はトリチウムの放出という観点だけ見れば比較対象になると考えられるのではないか
そういう意味で行くと海洋放出されているトリチウムを含んだ処理水に関しては、他の原発等に関してのトリチウムの量との比較により影響度の知見としては正しいように思う
論点2 トリチウム以外の放射性物質について
反対派の論点の一つの柱がこのデプリに触れている汚染水のトリチウム以外の放射性物質の危険性の指摘が考えられる
ただ、この指摘がALPS処理の現状を踏まえているのかがよく分からない感じがする
処理水に他の放射性物質が含まれていることを強調する人の中に2018年・2019年当時の記事を引用する人が多い気がする
東電の話で、早く分離するために当時は基準が緩かったという話は出ており、2023年現在のALPS処理を行った後、海洋放出に回せるALPS処理水の定義を以下のサイトで、ALPS処理水をクリックすると内容が出てくる
つまりこの段階で基準値以下の状態までトリチウム以外の放射性物質を取り除いているということが読み取れる
更にトリチウムが取り切れない対策として、海水による希釈があるが当然ながらトリチウムを含んだ処理水を希釈するのだから、他の放射性物質も希釈されるということだろうと思う
トリチウムの希釈が概ね100倍以上の海水が使われるとの話なので、他の放射性物質も同様に希釈されると考えられるのだが、この量で食物連鎖等による魚等に蓄積されていき人体に影響があるかというのは分からないとは言っても即座に否定するようなものではないと個人的には思う
あと気になっているのが、基準をオーバーしている処理途上水の存在について、タンク内に混在していることを上げて、一部は基準値を超えたまま放出されるのでは的な批判材料にしている人も一部に見受けられた
だが、この処理途上水については、ALPSにて再処理することがサイト内で明記されているし、再処理の効果についても記載されているので、まずは全体的に目を通して前提をしっかり把握したほうが良いのではという感想を持った
とりあえず、経産省・東電にやってみてほしいこと
個人的に経産省・東電のページの作り方は1度この処理水の内容表記で基準値以下まで、取り除いているからそれ以降はトリチウムの話だけに終始している印象があるが、本来なら不親切というほどのことでもなく、一度結論が出たことを繰り返すことを回避した程度だと思う
ただ、最近の流れを見ていて顕著なのはトリチウム以外の物質は?という意見だ
つまりは希釈する部分についても、「処理の時点で基準値以下にしているので、当然更に影響が出にくい状態まで希釈されます」とか、最終的な結論としてトリチウムの濃度が問題ないという部分でも「処理・希釈の結果、大幅に基準値以下の状態になっているので、モニタリングの対象に入れていません」などの明記をすることで、そういった意見の収束が図れるような気がするのだけど、文章の書き方的な部分で冗長と取られるのか、そういう書き方をしないなというのが少し思ったところ
論点3 国際社会に突っ込みどころを作ってしまったのではないかという話
この話題について少しX(twitter)でも書いてみたことがあるが、そもそも海洋放出という手段の前に事故発生当時、すでに福島県以外に広がった段階で、当然ながら放射性物質が陸地を選んで落ちるはずもない
福島県・福島第一原発の地理的状況において、海に面していて基本的には偏西風が吹いていることを考えると、この時すでに全く処理されていない状態の放射性物質が海に入っているのは間違いない事実だと思うので、日本の領海から、公海に海流等によって今とは比べ物にならないくらい放出されたのは間違いない
そのため、トリチウム以外の放射性物質の除去するための処理が他の原発・再処理施設に比して適切に行われているかを示すことで放出することは本来問題ないはずと感じる
望ましくない・意見保留に近い国々もある中で、米国等は賛成・理解を示すという態度を取っている
こういったときに即座に非難する中韓の両国に関しては、韓国の反応が今までの対応と違った面を見せている
与党が理解を示して、野党側が非難・デモ等を支持という形だ
与党の反応が科学的根拠について一定の理解を示しているという時点で、国内反対派の一部の非難スタンスの人の盲目的な反対にも見えてしまう
そもそも、太平洋側に放出したのに、すでに韓国での領海内での水産物さえ購入を控える動きが発生していて、冷静な判断なのか?と疑問を抱くところではあるし、中国に関しても少し過剰な反応の感じもする
トリチウムに関していえば自国の原発も相当数だしているからなぁ
個人的な現時点での考察
そもそもトリチウム「だけ」の各原発の放出量について、今回の比較対象にならないというような話をしている人たちを見ると、問題を整理するのではなく、混同して一部誤認させようとしているようにも見える
量の比較は妥当だと思う。
それに対して、トリチウムで問題を長引かせるのは、意図的なのかは不明だけど、問題の軸はそこではないと感じる
その上でデプリ云々の強調も軸でもないような気がしており、ALPS処理のきちんとした把握と検査のタイミングと希釈の度合いとの関連で、トリチウム以外の放射性物質の除去に関しての懸念点の調査等が必要だろうと思うのだけどな
個人的な論点1
反対派のトリチウム以外の放射性物質の懸念問題で、ALPS処理の対象物質を把握しているのかしていないのか
把握している場合に懸念している点はメルトダウンによるデプリの構成物質で、今回除去対象としている物質に足りないものがあるという認識なのか
個人的な論点2
十分な処理(除去)を行い十分な希釈を行った処理水に対して、モニタリングの対象とすることは必須なのか
個人的な感想としてはトリチウムのモニタリングで取っている海水を他の放射性物質の検査にも、取得回数とかで過剰な負担でないなら、国民を納得させる手段として、他の放射性物質のモニタリングもしばらくしてみてもいいのでは?とは思う
それはそれで危険性を感じているからモニタリングしてるのではという明後日の方向に反応が返ってくる可能性も無きにしも非ずだけど
この記事の一旦の結論
個人的な論点で示したように反対派の懸念点がはっきりしない
トリチウムのことと見せかけて他の放射性物質のことを気にしているように見えるのだけど、肯定派というか説明する側が、トリチウムの国際情勢とかを提示しているようにも見えて、議論が実はかみ合っていないのでは?という印象を持った
継続してこの問題は調べていきたいと思っているのですが、今回は一旦ここまでにします