見出し画像

占いをもっと明るくオープンに!シェアオフィスで気づいた”私だからできる仕事の進め方”

 IT技術者から転身し、昨年G Innovation Hub Yokohama(以下G)に入居した葵レオラさんの職業は、なんと占い師。多種多様な職種が揃うシェアオフィスGでも、かなりの異色です。にぎやかなランチタイムをのぞくと、楽しそうな葵さんの姿がいつもあります。積極的に交流し、入居者から相談を受けて占いをすることもしばしば。前職で培ったスキルで悩みを細かく分析しアドバイスする的確さと、持ち前の明るさでたくさんの人を勇気づけています。「占い師のイメージを変えたい」という葵さんに話を聞きました。


困りごとを解決に導くスキルは、ITも占いも共通

 2019年に占い師としてデビューするまでは、IT企業に勤務し、電話でお客様からシステムトラブルの相談を受けて対応するテクニカルサポートの仕事をしていました。好きな仕事でしたが退職することになり、次に何をするか迷っていることを友人に話したら「問題の原因がどこにあるかを探って解決に導く前職のスキルは、占いでも使えるんじゃない?」と言われて、突然私のスイッチが入ってしまいました(笑)
 その気になって占いスクールを見つけたものの、それまでの私は占いとは無縁だったので、まずはスクールの卒業生が働く店に相談者として行ってみることにしたんです。紫色のヴェールをまとった占い師が水晶玉を覗いて占うのかと思ったら、30代くらいのきれいな先生が誕生日や手相、タロットカードを見て占ってくれました。今、路頭に迷っていて占いスクールに入ろうと考えていることを正直に話すと、「運気も星回りも良いからやったほうがいい」と背中を押してくれたんです。スクールに入る人の多くは占いが好きで、すでにある程度知識を持っている人がほとんどですが、私はタロットカードを見たのもこの時が初めて。それでもそのまま入学しました。前職を辞めたのが3月、友人に話したのが4月で、入学が5月。しかも入学後1か月ほどした頃に、スクールと提携している店に欠員が出て困っていると聞いて、「絶対に頑張るのでやらせてほしい」と頼み込んでデビューしてしまいました(笑)。朝から晩まで猛勉強したとはいえ、最初はお客さんを相手に10分話すのがやっと。でも5、6回目には30分の鑑定依頼が入ってしまって。やるしかない状況に身を置いたことで自ずとレベルアップして、気付けば店の中で最上級の占い師に昇格していました。

「占いをやっていていいんだ」受け入れてもらえたことで変化した気持ち

Gに入居するきっかけを語る葵さん

 最初からいろんな場所で占いをしてみたいと考えていたので、積極的に人が集まる場に顔を出していました。その中で知り合った中小企業診断士の安永麻実子さんに相談をして、3年、5年先の目標を立てました。占い師としてさまざまな店で経験を積んで、昨年には目標にしていた横浜中華街の店でも鑑定するようになったのですが、自分が想像していたものと違ったことで心身に不調がでてしまって。どん底になった時に浮かんだのが安永さんの顔でした。Gにオフィスを移していた安永さんのもとに相談に行くと、ボロボロな状態の私を見て休養をすすめられました。でもここで辞めたらこれまでやってきたことが水の泡です。頑張りたい気持ちを伝えてアドバイスをもらい、私もGに入居して改めてスタートすることにしたんです。占いを始めてもうすぐ5年ですが、実は昨年10月くらいまで占いの仕事を続けるか迷っていたんですよ。世間では占いに暗いイメージを持つ人が多いので、占い師をしていることに自分自身が「あの業界にいるのか」と思っている部分があって葛藤しました。
 でもGに入ったことで知り合いから「すごく変わった」と言われるようになったんです。それはGにいる人たちが占いというものを受け入れてくれたからだと思います。話したことなかった人が話しかけてくれたり、スタッフが人を繋いでくれたり、交流会ですぐに仲良くなった人もいたりして、「私、占いをやっていていいんだ」と思えるようになったことが大きいです。興味を持ってくれる人が多くて、Gの入居者もすでに10人ほど鑑定しました。
 お客さんが来店した際は基本個室で鑑定するのですが、「リビングスペース(*)でもいいよ」という方もいるんです。恋愛やお金などの生々しい相談が周りに聞こえないか?と私はヒヤヒヤするんですが、お客さんは意外と平気で。こうなると占いの館のようなクローズした空間で占いをやる必要があるのかという疑問もでてきます。誰かが近くにいるような気軽な場所のほうが案外良いのかもしれないです。「占いの館のような閉鎖的な場所だけではなく、オープンなところでもできる」という一つの形を、私が確立したいですね。今、占い師を養成する立場でもありますが、生徒の中にも「自分で占いをする場所を作りたい」という人がいます。今後そういう人が増えて占いのイメージも変わればいいなと思います。
*接客や休憩に使うシェアオフィスの共有部

全く異なる前職の経験が、占い師としての“私の強み”に

 多数のお客さんと向き合っていると、私の人生経験からは想像もできないような悩みがたくさんあって衝撃を受けます。占い師のほとんどは一つの相談内容に対してタロットカードを1回だけ切りますが、私は相談の中身を細かく分けて都度タロットを切っています。実はそこには前職の経験が生きているんです。電話越しのテクニカルサポートでは、相手の状況が見えないので1つ1つ聞いて確認することでトラブルの原因を見つけていました。占いでも内容を小さく分けて見ていくことで当たる確率が上がります。
 前職の経験が生きている点はもう一つあって、「こうしたら成功します」とある程度しっかりとした確証を持って伝えていることです。前職では、電話口で私が責任を持って相手にボタンやキーを押してもらう必要がありました。それを押したら二度とパソコンが立ち上がらなくなるかもしれない、データが消えるかもしれないという作業をお願いする対応だったので、行動に移したらどうなるかを常に考えていました。その点は今でも同じですね。ただ、占いには「やらなくてもいい」という選択肢が存在します。テクニカルサポートはこちらが言うことを実行してもらって結果を残せましたが、占いは再び来店してもらわないとその後どうなったのかを知ることができません。最初はもどかしく感じましたが、今はそれもその人の選択だと思えるようになりました。自分が出した鑑定結果に責任を持って、その理由まで言えるのは私の強みだと思います。

聞く技術と勇気づける技術を、世の中に還元したい

「自分のままでいい」というアドバイスは、お客さんには言葉のお守りに。葵さんの鑑定はリピート客も多い

 私は子どものころからストイックで、コツをつかむのもうまいタイプだったと思います。でも親がその資質に目を向けたことはなくて、さみしく感じることもありました。目立つことは決して悪いことではなく、その人が持つ良い部分を見つけて伸ばすことができたらいいなって。「あなたはそれで良いんだよ」と、伝えていきたいです。鑑定結果を聞いた相手が、「自分は自分のままでいいんだ」と納得した時の目の輝き方や変わり方を見るのがとても楽しいです。そういう人が増えればいいと思いますし、そういう鑑定をしていきたいですね。
 自分のことを占ってみると、私は人のためになることをやったほうが良いようなんです。自分ではあまり感じていないですが、そういう力もあるらしくて。先日、駅で見知らぬ年配の女性に声をかけられて、電車に乗りながら心のもやもやをずっと打ち明けられました。占い店にいた時もお年寄りの悩みを聞くことが多かったので、今後はもっと「話を聞く」という活動をやってみたいですね。聞く技術と勇気づける技術を何かの形で世の中に還元できたらいいなと思っています。

関内のおすすめスポット

カラオケ館横浜関内店…最近プロを目指したいと思うほどハマっている「ダーツ」を楽しめるお店。隣の人の動きを気にせず矢を投げられる広いダーツエリアがとても良く、Gからも近いので、仕事の合間に行くことも。カラオケと同料金で投げ放題なのでワンドリンク付きでリーズナブルなところも◎。


いいなと思ったら応援しよう!